51話
「ねえねえ、今日さうちらの体育でさ……」
(はぁー!衛君と一緒に帰ってるよ私!さっきからしゃべりっぱなしだったりして!ドキドキしっぱなしだったりして!)
楽しそうに二人の男女が日が暮れかけている商店街の真ん中を歩いていた。周りから見ればもうカップルにしか見えないそれを、後ろから追いかける高校生が居た。彼はとある少女に頼まれ子の二人を監視、いや、彼からしてこの二人を見守っていた。そして今日もその最中だったわけなのだ。それからもう十分だろうと判断した彼は、
「まぁ問題なさそうだし、帰るとすっか」
と、言いながら、彼はくるりと身を翻した、すると目の先に一人の少女が立っていた。一瞬彼女が居ることに驚きながらも彼はその子に声をかける、
「こんなところに居るなんて珍しいな、詩織」
◆
「ひゃっほーい!」
「おふぅっ!」
「あはは『おふぅっ』だってー!」
「兄をなめんなよ、こよいぃ!」
「やぁぁ大人の階段上っちゃうよー!」
「ぶっっ!!どこでそんな言葉を覚えてきたんだよ!」
「って、汚ねーぞ有二!ったく唾飛ばすんじゃねぇよ」
「仕方ないだろ、お前もさっきの聞いただろ?!噴くわ!」
とまぁ、とても楽しそうにコミュニケーションをとる高校生一同。そんな彼らを一人の女子が楽しそうに見つめていた。
(善人ホントに楽しそうだねぇ、でもちょっっっとこよいちゃん調子に乗ってるかもね、ってかあたしも混ざりたいなぁー)
彼女は混ざりたいなーと思い、そして次の瞬間、よし。と心の中で何かを決めて席を立ち旦那の下へ近寄っていった。
そんな彼女を見て彼は声をかける、
「お、ちょうど良いところに咲月さん!こよいをちょっとどうにかしてくれる?」
そんな旦那の頼みを二つ返事で返し旦那にまとわり付く少女を引き剥がす、その少女は頑張って抵抗する。
「やだよーこよいお兄ちゃんから離れたくない」
「お兄さんは、あなたが離れてくれることを切実に願ってますよ?こよいさん」
そう言って彼女は旦那の妹を引き剥がす作業に取り掛かる。そんな彼女のセリフに違和感を感じた本日のゲストは、
「咲月さんのキャラ変わってる……何キャラだ」
と、苦笑していた。そしてそんな彼を見て目の前で行われている作業を目の当たりにしながら、
「あぁ、咲月さん演じる人だからね、気にしてる暇なんてないかもよ」
「ふーん、そうなんだ」
と、有二が補足した。とかなんとかそうこう言っているうちにとりあえず彼の一難は去った。のだが、その直後。
「有ちゃん大好きだよー!あたしもこれやりたかったぁー!」
「え……ええええ!?」
と、さっきまで我慢というか自重していた妻が旦那に直接攻撃し、旦那はそのまさかの行動に驚きながらもその手はしっかりと抱きしめに動いている。そんな兄をみて妹はジェラシーを感じ声を張って、
「ちょっと!?咲月姉ちゃんだけずるいよー!」
と、兄の妻に指を指す、とにかく、離れてよと引き剥がそうとしたがさっきので力の差はもう目に見えて分かっているのでどうしても行動に移せなかった。無駄だと分かったからだ、そんな彼女がくそーと心の中で悔しがっていると隣のゲストがいつの間にか立ち上がってまでなにやら言っていた。
「有二テメェ、お前なに見せ付けてんの?こよいちゃんだけならまだ許したがコレは許せなくなってきたぜ、ふざけてんのか?なぁ、ちょっくら俺がぶっ飛ばそうか?あぁ?」
「―――せいっ!」
「ぎゃふっ!」
そのセリフが聞き捨てならなかったこよいはいつの日か兄の指を踏むおばさんを蹴っ飛ばすようにけりをお見舞いした。
「ふふふ、お兄ちゃんをぶっ飛ばそうだなんてこのこよいちゃんを倒してから言うんだね!」
「しまった……これは口が滑ったようだ、そしてこの蹴り、うちの妹のそれにも勝っているかもしれないな」
この楽しそうな4人、今の彼らには後に悲しき運命を辿ることなど誰にも想像できなかっただろう。
高校で誰かが呟いた一言。「石原都知事ばっかじゃねーの、薄いのはあんたの言葉の内容じゃなくてあんたの髪の毛だけにしとけよw」
ったくなに言ってんでしょうねwってかまずいですよね青少年健全育成条例……でしたっけ?なんか話し合いもすぐに終わったみたいですよ、えぇ。それこそ
「今日コンビニ行く?」 「うん、いこっか」 みたいに。
え?なんですか?「そいつ都知事馬鹿にしてんのか?」ですって?
あはは、ばれてますね、だって「僕」の将来についてつぶすようなことするんですよ?一体腹立てなくてどうしろって言うんですか(誰か=柴わんこ説浮上)大体中学の14歳あたりから高校の18歳辺りまで結構な数の生徒(人間)が好き好んでラノベを買うってのにそれを規制する気かよ。ただでさえ低いかもしれない収入を削るんですねーはいはい。とにかく全国区に広がらないことを祈りましょうか。僕の予想だと広がりそうな気もしますがね、しかも『あそこもやってるんだからこちらもやっておこう』ってノリで。(ちなみにうちの中学の図書館にはラノベが置いてありました)
ってか収拾が付かなくなるので失礼します。感想下さいね、原動力になりますよ!ではでは次回もお楽しみに。
(最終回みたいな雰囲気になっているのは気にしないでください、ラストで無理やりその雰囲気を無くして置きました)