5話
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有二は目が覚めた。と同時にうわぁっ!?と大声を出した。
何故そんな声をあげてしまったのかと言うと、有二のすぐ傍で咲月が寝ていたからだった。
思わず有二は口を塞ぐが遅かった。咲月はその声で起きてしまった。
「ふぁ~あ、あれ~?有ちゃん起きたんだぁー」
「……有ちゃん?それって俺のこと?」
急に有ちゃんと呼び名が変わっていることに少々有二は戸惑った。
「そうだよ~有二だから有ちゃん、おかしくないでしょ?」
「そりゃそうだけど…」
もしかしてこれが寝ボケているってやつか?
なんか結構危ないオーラが出てるんですけど…こう…大人なカンジが……ちらリズムが。
半開きの目に、ニヤッと笑う口元、何かたくらんでるとしか有二には思えなかった。
その予感は的中した……。
「さて問題で~す、今日は一体何曜日でしょ~う…か?」
嬉しそうなトーンで問題を出してきた。
「今日は…土曜日だっけ?」
昨日が金曜だから今日は土曜で間違いないはず……。
「正解!なので~今日は学校はお休みで~す、というわけでデートだ~!」
えっ?…デート?……俺にとって始めての…デート…それが…咲月さんとか~。
いやいや待て待て、もっと冷静になれ何か忘れているぞ俺…何かを忘れているんだけど…わからない。
とりあえず有二は何とな~く、ケータイを開いた。そして目を疑った…!
「ええええ!!!着信履歴が36件も!!?」
一体何があったんだと下に下に履歴を確認する有二、確認するにつれどんどん顔が引きつっていった。
「全部こよいからだ……!まさか!俺が昨日帰らなかったから心配していたのか……!?」
こよいの事だ。きっとそうに違いない…そう感じた有二は頭をフルに回転させ始めた。
こよいの様子を見ておきたい。でもデートに出かけるんだからどうにか一旦家に帰る口実を……。
ん?待てよ?そういえば俺は今制服のままじゃないか……!
そっかそっかこれはいけるぞよしっ!
「ね、ねぇ咲月さん、デートって何処へ行くの?」
「う~んそうだねー……あっカラオケにしようカラオケ」
と言うわけでとりあえず二人はカラオケ店に行くことが決まった。
それから有二はさっき思いついたことをそのまま咲月に話した。
「でさ、咲月さん」
「何?有ちゃん」
「俺さ、制服のままじゃん、だからさ私服に着替えたいんだけどいいかな?」
「う~ん…まぁいっか、私服の有ちゃん気になるし」
「じゃそういうわけでいったん家へ戻るね。なるべく急ぐからそれまで待っててね?」
「うん待ってる、あたしずっと待ってる…あなたが戻ってこなくてもあたし待ってるから」
「…まだ寝ボケてるの?それに何?その戦地へ行く恋人を送り出すようなセリフは」
「う~ん、ここはスルーして欲しかったな~」
「あっそうなんだ、ここスルーなんだ」
俺なら突っ込んで欲しいけどな~そう思いつつ有二はドアノブに手を掛け、部屋を出て行った。
「有ちゃん早く戻ってきてねー」
ばいば~い、と咲月は有二の背中に手を振った。それからじゃああたしも私服に着替えようかな?そう思い立ち上がったその時
「―――ごめん!玄関って何処にあるの!?」
有二はすぐに戻ってきた。
「おぉ、お帰り旦那さん」
少しだけからかい気味に咲月はそう言った。
「ただいま奥さん…って何やってんだ俺…」
有二はちゃんと答えてあげた。
「今の良かったよ~」
「ありがと。ってか玄関どこ?」
◆
咲月に教えられた通りに行くとちゃんと外に出ることが出来た。
案外咲月の家の中は広かった。
そこからはもう道が分るから問題なく真っ先に家に帰ることができた。
全速力で我が家へと走った有二、そーっと家のドアを開ける…中に入り
こよいを探す……すると案外すぐに見つけることができた。その後周りを見渡して有二はため息をついた。
それもそうだお茶わんが片付けられてない所を見て有二はこよいがまだ食べてないことが分ってしまったのだから。
一つため息をつき、有二はこよいをそっと抱きかかえ、ベッドへと運んでやった。
運んだら丁寧に布団を掛け、有二はごめんな…ごめんな…と謝りながら頭をさすった。
心なしかこよいが笑ったように見えた。そして有二はさっさと着替えて置き手紙を書いて
咲月の家へと走っていった。
◆
ゼェ…ハァ…やばい。きっつー流石に往復を全速力はきついぞ…ハァ…ハァ
全力で坂を上がり、右へ左へ曲がる有二、そしてまた右へ曲がろうとしたその時
「おっと!!!」
有二はあちら側から来た女の子とぶつかりそうになりこのままじゃぶつかると直感した有二はとっさに次の行動に出た。
ぶつかると予想した上でその子を受け止めに入ったのだった。
「ごめん!大丈夫っ?!」
有二はとっさに無事か確認する。
有二は受け止めることについてはすごく得意なのだ…誰かさんのせいで……。
「あっ、はい大丈夫です」
彼女は本当に有二のおかげで何ひとつの怪我もなかった。
「良かった~じゃ俺急いでるから」
「あ!待って待って!」
急に大声を出しその子は有二を引きとめた。
「ん?どうした?」
「あのー名前を聞いても良いですか?」
少しの間を置いてその子は名前を尋ねた。
名前?…まぁ助けてくれた人の名前を聞くのはおかしくはないよな
「ぁぁー俺の名前は平沢有二、じゃというわけで」
さっさと咲月さんのところへ戻りたい有二はすぐに名前を告げ、回れ右をして歩き始めた。
「呼び止めちゃってすいませんでした」
「いやいや良いって」
そう言って有二はまた走り出した。
◆
ようやく有二は咲月の家へ戻って来た……。
「咲月さーん、帰って来たよー」
その声が山彦のように繰り返される…返事が無いからだ。
あれ?聞こえてないのかな…上がっても良いのかな?
たしかこの上の所が咲月さんの部屋だったよな…そう思い4歩5歩後ずさりをし、有二は道路まで出た。
上を見上げ、カーテンが閉まっている窓に向けてもう一回呼ぼうかと思っている時だった。
「おっかえりー有ちゃん!」
咲月が有二へ向けて走ってきた。ドアが開いていることもありその勢いは止まることなく
有二のところまで走ってくる。これは多分、よしっ!俺の胸に飛び込んでこいっ!ってシーンだ。
テレビで見たことがあるぞ。そうとなればこちらが取る行動はもう分かっている。
【受け止めればいい】そう、こよいみたく受け止めてやればいいんだ。
有二は両手を前に突き出し咲月を受け止めた。
「咲月さんって軽いんだね」
まず最初に俺はそう思った。
「えー?…もう~有ちゃんったら~」
何が有ちゃんったら~なのかが分からない。
「じゃあそろそろ行こうか」
その日、2人は夕方まで歌いつくしたんだとか……。
◆
有二と咲月がカラオケ店で熱唱している頃。こよいは目が覚めた。
「あれ?ベッドだ……あっ!」
こよいは有二の置き手紙に気づき、その文章に目を通す。
「まぁいっか、お兄ちゃんが無事だったことが分かっただけでも……」
良かった~心の底からこよいはそう思った。
ちなみに手紙には6時半頃に帰ると書かれていた。
それを見るとこよいはもう一度ベッドへ入った。まだ眠いからだ。
「起こしてよね?お兄ちゃん……」
そう願ってこよいはもう一度眠りに入った。
さっき見たらPV2222で驚きました、そんな事どうでも良いですよね
すいませんでした
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