46話
善人を見送り、さて家事でもやりますかと中に入る、かばんを置いて居間へ行って見るとまたか……と呆れる光景を目のあたりにした。
「何やってんの有ちゃん、それとこよいちゃんも……」
「えへへー姉ちゃんが居ないうちに兄弟の垣根を超え、いたっ!何するのー咲月姉ちゃん?!」
咲月はこよいを羽交い絞めにし近くのソファーへと運んだ。だめじゃない、こよいちゃん。そうこよいの耳元でささやく彼女はとてつもない恐怖をこよいに与えた。目が笑ってないのだ。
「何するのー?はこっちのセリフだこよい、咲月さんありがとう!助かったよ!」
「あはは……結構やられてるね」
それにしてもひどい有様である。カッターシャツは胸元がはだけており、ズボンに関してはベルトがどこにも見あたらな……ぁ、あった。ベルトに関しては有二の手首を縛るのに使われており、コレは行き過ぎな愛情だと咲月はため息をついた。
まぁ、とにかく大事には至らなかったようで咲月は安心した。
そしてそんな場合じゃなかったと気づくと有二の拘束を解きながら二人に笑顔で
「ぁ、そうそう、今日金曜だから善人泊まりに来させるよ、いいよね?」
と訊いた、こよいに関してはすこしふてくされていた。数秒前までガクガクしていたのになんだこの切り替えの速さは……。そしてそのふてくされた少女がこう言った。
「えー?泊まりに来るの~?こよいおもてなしとか出来ないよ?」
遠まわしに嫌だといっている様子だった。
「いいの、そこはあたしがやるから、有ちゃんはどう?許可してくれる?」
有二を見ながら訊いてみると彼は首を縦に振った。
「うん、もちろん。ちなみに今日はここで布団を敷いて寝ることにするよ」
そう返され少し咲月は落ち込んだ、つまりは夜は一緒に寝られないってわけなのだ。
「…………分かった、仕方ないね」
仕方ないと諦める咲月に対し、もう片方の少女はその言葉に噛み付いてきた。
「えー!?お兄ちゃん一緒に寝てくれないの?そんなにこよいのこと嫌い?」
甘えた声で兄を誘惑する妹、兄は目を逸らしながら答える。
「嫌いじゃないけど、せっかく泊まりに来てるのに俺がこよいと寝てたらあいつ一人ぼっちじゃん」
「そりゃあそうだけどさぁ……」
まだ何か言いそうだ、そう思った咲月はこよいに釘を刺すかのように言った。
「はいはい、こよいちゃん、明日からまた一緒に寝ればいいだけのことでしょ?ふふ、今日はとことん可愛がってあげるわ……」
「こよいは一瞬恐怖を感じましたお兄様!一体明日を無事迎えることが出来るのでしょうか?!」
先ほどの恐怖が上乗りした様子、もう咲月に逆らうことはないだろう……。
とにかく話が落ち着いたところでさっさと準備をしなくてはいけない、そこで咲月は二人にそれぞれ役割の指示を出す。
「話はその辺にしておいて、夕食の準備とお風呂を沸かしてください!有ちゃんはお風呂!こよいちゃんはあたしと一緒に夕食作るよ!おっけー?」
そう訊くと兄妹は口を揃えて
「「まっかせろー」」
と答えた。ふふっそれじゃ早速取り掛かろうか、そう言うと有二は立ち上がり風呂場へ、こよいはソファーから腰を上げて思いっきり背伸びをした。その姿を見てまたスイッチ切り替えたか、まぁいいやと咲月は心でため息をついた。そしてエプロン取ってこよう。と呟き早速仕事に取り掛かった。
善人、早く来ないかな。と一人楽しそうな咲月なのであった……。
クスッと笑える瞬間的に終わる小説?
ちょっと一週間休載しますね。話を整理しないと今の通りグダグダなので(笑)
よければ評価してください、お知り合いにこのサイトを使用している方がいらっしゃったら紹介してみてください。
それでは失礼します。
PS.あれ、予約掲載になってないじゃん……こんな深夜に投稿して読者増えるかよ……orz