43話
放課後の教室、外でサッカー部と野球部がそれぞれ練習に打ち込んでいる姿を見守る生徒が居た、この生徒はもう間近に迫った文化祭の出し物の準備をするメンバーのうちの一人だった。
「ぁ、顔面からズサーって行ったよ……ありゃあ痛ったそうだなーははっ、まぁ頑張れや神崎先輩」
直後、そう呟くこの少年の背後から2人の少女が現れた。なにやら怒っている様子だ。
「篠崎ぃ、あんたまたサボるのぉ?ははっ命知らずねーいてこましたろうか?」
「そうよー篠崎君、美咲にまたアレ喰らわされたいの? 結構悶絶してたよね?だからそんなところでサボっていないで早くみんなの輪に戻りましょうよ」
一人は落ち着いた様子で腕を組みながら、もう一人はスカートのポッケに手を突っ込み、いかにもイライラしてんだけど?と言わんばかりの口調で少年を注意、警告した。
「あぁ、ごめん。すぐ行くよ、少しだけ校庭を眺めていたかっただけなんだ」
「何あんた清清しくつまらない事言ってんのよ、結局サボってたんじゃない、ほら早く行くぞ篠崎」
男口調になりつつある美咲が篠崎と呼ぶ少年の腕を掴み教室の外へと連れて行く、一方詩織は篠崎を拉致する美咲に気を遣ってあらかじめ進路方向にあるドアを開けておき、二人が出て行くや否や自分も外へ、そしてドアを閉め二人の後ろに付いて行った。
階段を上がり、長い廊下を歩きその突き当たりにある部屋に3人は入っていった。そこが美咲たちの出し物をする場所なのだ。
入るや否や連れてきたと美咲が一言。続いて拉致された、解放してくれと篠崎、最後にはいはい、皆ただいまーと詩織が。
そしてそれを聞いた部屋の中央に居る男子生徒が皆に始めようかと告げた。
「おかえり詩織さん、じゃ早速準備に取り掛かるから、篠崎お前も手伝えよ?」
「あぁ、分かってるよ。くそ、じゃんけんでチョキを出していればこんなことには……」
「篠崎」
そう注意され篠崎は機嫌を損ねた、何が悲しくて放課後残されないといけないんだ、そんな事だけ考えている篠崎だった。
「はいはいすんませんでしたよ、やるよやりゃあいいんだろ?」
そう篠崎から返事を聞いた生徒は
「よっしゃ今日も頑張るぞ!」
とその場に居る皆に言った、が正直なところ彼を除くみんなはダルイとしか思っていないので弱弱しく「「おー」」と一応彼に返しておいた。
「ったく、メイド喫茶なんてやってらんないのよ、ねぇ詩織?」
この期に及んでも美咲はやってらんない発言、一応あそこで張り切って準備してる男子には聞こえないよう声のボリュームは下げていた。
「まぁね、私も正直なところ恥ずかしいし、女子からしたらあんまり面白くないのよね、ってコレなんて羞恥プレイ?」
と、詩織は近くに居た男子こと篠崎に聞いてみた。
「そこで俺に振るのかよ、ってかアレだろ?どうせお前らのメイド服姿見たさにメイド喫茶やろうって事になったんじゃね?まぁ俺はメイド服より巫女服だけどな!」
「なんだと?!巫女服よりメイド服がいいに決まっている!いいか今から俺がメイドのよさを教えてやろうではないかご主人様!!」
「はぁ?!あんなもんより巫女の方が良いに決まってんだろうが!清楚で清潔で!メイドなんて客に媚びうるだけじゃねーのご主人様!?」
刹那、この男子に美咲が背後からハイキックをお見舞い、メイドを語る男はげふっと一言の後膝から床に倒れた。
「ぱ、パンツ見え」
「ふんっ!!」
「がはっ!!?」
不幸なのか、はたまたラッキーなのか。篠崎は美咲の上段蹴りを目の前の男越しに正面から見ることが出来た、しかしスカートから覗くそれは体操服だった……。
やっぱし短いですね、しかも前回の話とは繋がらないという……。まぁいいや。