40話
学校が終わって家へと急ぐ、別に何があるから急ぐというわけじゃない。ただ早くゆっくりしたかったんだ。そんな理由で俺は急いで自宅へと向かう。
最近、咲月さんは学園祭のクラス実行委員だとか何とかで放課後も何やら忙しそうだ。毎日のように委員だか何かのメンバーは残ってまで作業を行っている、まったくもってご苦労なことだ。
一緒に帰れないのは寂しいけどなんだか同居する前のことが思い出せてこれはこれで懐かしくて面白くとも思えた。でもやっぱり寂しいかな、いつも隣にいたからなんだか違和感を感じてしまう。
ともあれ家へと着いた俺は肩からカバンを下ろしながらドアを開ける。
「ただいま」
そう言うとドタドタとこよいが出迎えてくれた。
そしてこよいは微笑みながら
「ポテチにする?クッキーにする?それともこ・よ・」
「水」
「ちょっと!? こよい全部言ってないじゃん! しかもそれ選択肢に無いやつだし!」
「いいから水をくれ……膝枕してやっても良いから」
「――了解っすよお兄様ぁ、早くそれを言わなきゃ!」
そう言ってコップを取り冷蔵庫を開けてと水を持って行こうとしているのを横目に俺は床にカバンを置き、ソファーへと腰掛ける。今日も一日疲れた……特に何にもしてないけど。けど何にもしなくても疲れることはあるよな?
冷蔵庫を閉めたのかバタンという音がした、すると
「はいどうぞお兄様」
「あぁ、ありがと妹様」
と、ソファーに腰掛けている俺の元に水を持ったこよいがやってきた。
どうぞ、と受け取った水を飲もうと口を近づけると、こよいがわーいとか言いながら膝に頭を置いてきた。
「妹様、それだと水飲めないんですけ」
「ふぁいとー!いっぱぁーつ!」
ダメだ話通じねーよ。
「膝枕ーへへひざまくらー」
頭を何度も何度も置き換えるこよい、膝の上でそういう風に動かれるとくすぐったくなってきた。
手に持つコップが小刻みに震えている、頑張って目の前のテーブルにコップを置こうとしているのだがこよいのおかげでくすぐったいのをこらえるのが精一杯だ、ここから逃げ出したい、膝枕してやるなんていうべきじゃなかった。
俺の膝の上に腕を組んでいるこよいの後頭部をみているとそのこよいが何かを思い出したかのように
「あっそうだった!」
「あがっっ!!」
と、自らの頭を俺の顎へクリティカルヒットさせ急に起き上がった。そして俺の頑張りもむなしくコップの水は床にぶちまけられてしまった。
「うーん…………気のせいか」
「ちょ、待て、おい! 顎だぞ顎! 少しは心配しろっての! しかも気のせいかよ?!」
「ぁごめんお兄ちゃん、痛かった?」
「痛いに決まってるだろうが……」
「ごめん! せめてものお詫びにさすってあげるー」
「や、やめっ、くは、はははっ止め、くははっや、やめ……」
猫の喉元を指先で弄ぶかのようにこよいは指先を転がしてくすぐってきやがる。不幸なことに俺は大抵のくすぐりには弱い、ヤバい。ヘルプ咲月さん……。漫画やアニメみたいに良いタイミングで助けてください、膝枕してあげますから!!
「こよっ! くすぐった、はははっはは! ぁああはっはは、もう止めっくはははは!」
もうダメ、ほっぺが痛い。笑いすぎだよな……仕方ないこうなったら最後の手段だ……。
あっという間に終わる小説と化したこれ。
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ではまた近いうちに!




