35話
これで終わりです。始まりにも書きましたが出来れば『必ず』コメントをください。自分じゃアリなのかナシなのかすら判断できませんし、実際、これが面白いのかどうかという事についても分かりません。なので感想をよろしくお願いしますといつにも増して真剣な僕が画面越しに頭を下げます。
「咲月先輩、先輩ってもしかしていじめられてるんですか?」
ある日あたしはひとつ年下で後輩の男の子にそう質問された。
あたしはこの子とは出会えば挨拶を交わす程度だった。
でもそんな子がいつそんな情報を手に入れたんだろう。あたしはそれが気になった。
でもここで、はいそうです。と言えば彼は何をするんだろうか。あたしを助けるのだろうか。
それともあたしの相談に乗るのだろうか。でも、そんなことしたら彼の居場所も無くなるかもしれない。馬鹿馬鹿しいけどいじめはふとした拍子に始まる。ここで彼に対して沙耶があいつのことは無視しなさい、いいわね?とでも言えばそれはひとつの火となりその日が徐々に広がり彼を苦しめていく。だからあたしはその火を決して灯させないよう嘘をついた。
「んー?何であたしがいじめられなきゃならないの?巧は心配性だねぇ」
そうあたしが笑いながら言うと驚くことに彼は急に怒り出した。
「止めてくださいよそういう態度!何で嘘つくんですか?!僕だって最初は違うって思ってました。でもこの間のあれはないでしょう!なんであんなことされないといけないんですか!?」
いきなりの大声に驚きつつ彼を見る、気づけば彼の瞳には涙が浮かんでいた。それを見てあたしはハッとした。
この気遣いが逆に相手を傷付けるのだと。そして彼は今現在あたしがとった態度によって悲しんでいる。
「咲月さんがいじめを受ける必要は無いです、だって何も悪いことしてないでしょう?それに姉ちゃんも知ってましたよ。僕が、もしかしたらって話したら『やっぱり巧もそう思う?』って言ってました。僕はまだ1年生だから中学っていう雰囲気が良くわからないけど、沙耶さん、いや。あんのカスがやっていることは小学生以下だって事はよく分かっています。3年生の姉に聞いても『あの子のやることは幼稚だよ』とも言ってました」
「そっか……」
あたしはそれ以上言葉が出なかった。なんて話せば良いのか分からなかった。
でも巧は言ってくれた。
「その……僕はいつでも咲月さんの味方ですから、もちろん姉、いや、綾姉も味方です。」
「ありがとう……巧」
あたしは家に帰ってそのこと言葉を思い出すだけでしきりに涙が出た。
◆
家に帰るとお母さんがいつもあたしを温かく迎えてくれた。
だからあたしは家では何一つ不安にさせるような態度はとらなかった。
「おかえりー咲月!今日はオムライスよーお母さん頑張ったのよ?だから早くテーブルにいらっしゃい」
玄関のドアを開けるだけでお母さんはすぐに出迎えてくれた。
あたしはうん、すぐ行く。と言って素早く自分の部屋に戻ってカバンを置いて部屋着に着替えてからテーブルへと急いだ。
「おっお父さんじゃないかーもう帰ってたの?おかえり」
「ただいま……咲月ーお前まだ彼氏なんて作ってないだろうなぁ?」
あたしをからかうかのようにお父さんはいつもそんなこと言ってくる。
でもあたしはそれを迷惑だとは思ってない。あたしはそんなお父さんが好きだから。
まぁ、好きとは言ってもLOVEじゃなくてLIKEの方だけどね。
「か、彼氏なんているわけないじゃん。うんいないいない」
ワザと動揺して見せるとお父さんはさっきまで読んでいた新聞を閉じて、いやまさか。いやいやまさか……な。と動揺していた。あたしはその反応が少し面白かった。これだからお父さんは好きだ。
「馬鹿ねーあなた、咲月に彼氏なんているわけ無いじゃない」
「ちょっとー失礼じゃない?」
お母さんがオムライスを人数分お盆に載せてテーブルに次々と置いていった。
それを見たあたしは一応それを手伝った。
でもさっきの発言は聞き捨てならない。
「そっかーそうだよな母さん、咲月に彼氏なんて出来ないよな」
「お父さんも失礼だぞー、そんなこと言ってると彼氏どころかお婿さん作っちゃうからね~」
「またまたそんな事言っちゃってーあんたにはまだまだ早いわよ」
そうお母さんが言うとお父さんもそれにうんうん、と頷いていた。
「いいもん、高校になったら一人で生活して旦那さんと共同生活するもん」
こうなったら意地になってしまう。絶対作ってやる。
「な!咲月、それはお父さんが許さないぞ!」
お父さんが過剰反応してきた。やっぱ愛する娘を手放したくないのね。
「まぁまぁ、あなた。いいじゃない、一人暮らしだなんて。それに高校のときから一人で生活できるようになっておけば何処の大学に行っても安心じゃないの」
「……ま、まぁそうか」
「だからこの際咲月の家買っちゃいましょうよ」
お母さんが思いついたかのようにそう言った。初耳……いや、お父さんの収入も凄いけど。
でも家を与えるだなんて行き過ぎた親だと思う……。
「えええ!?馬鹿か!?それはいくらなんでも」
お父さんが反発した。やっぱお父さんはちゃんとしてる。
「そうだよ?!お母さん家なんてプレゼントあたしには」
事が事なのであたしもお父さんの意見に便乗する。
「それは高校生になったら言うって約束だったじゃないか!俺だって言いたくてたまらなかったんだぞ?それをお母さんは……」
お父さんは前々からそのつもりだったらしい……さっきの発言取り消しする。
もう、このときのお父さんはあたしに関するいじめのことを知っていたらしい。
そしてそのいじめの事を聞いたとき、あたしに一人暮らしをさせ、この地から離させる決意をしたんだと後で知った。
◆
それからもいじめは続いた。でもあたしはそれに負けなかった。
負けなかったのには理由がある、それはお母さんとお父さんの存在だ。
この二人がいつもあたしを優しく包み込んでくれるからあたしは負けなかった。
確かに辛いけどその辛さは家に帰るといつもお母さんが癒してくれる。
お父さんも可能な限り自慢の愛車を運転してあたしをいろんな場所へと連れて行ってくれた。
他にも巧が休日になったら遊びに来てくれてあたしを一生懸命笑わせてくれた。
お母さんは巧が来るたびにあたしをからかった。でもあたしはそれが楽しかった。
それから無事とは言えないけどあたしは中学を卒業した。
それから数日後のある日、いつも忙しくていつ家に帰ってこれるか分からないお父さんが珍しく家で新聞を読んでくつろいでいる時に、そのお父さんがこう言ってきた。
「咲月、今度の日曜映画でも見に行くか?」
前書きに書いたとおり、感想をよろしくお願いします。
もしこれで感想こなかったら……あぁ、いや。何でもないです。
兎に角、僕はよろしくお願いしますと頭を下げます。