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29話

今回でこの話はラストです。ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございました。評価をされていない方は評価をしてから去ることを願います。

「有ちゃん早くー!」

そう言われ俺は急いで靴を履き、ドアを開ける。


後ろからサンダルを履く咲月さんとこよいが続く。

二人とも浴衣を着ている、今日は夏祭りの日だ。


咲月さんは黒をベースとした紫の花を散りばめた感じの浴衣でこよいは白をベースとした水の流れを感じさせるような青が彩られている感じだ。


これはレンタルしたもので、選んだのは咲月さん。

近所のデパートで入手したらしい。



「じゃ、出発しようか」

「「うん!」」

こうして夏祭りは始まりを告げた。





賑わう会場、漂う匂い、声を張り上げてお客を呼ぶ店員さん。

これぞ祭りって感じに盛り上がっている参加者を横目に俺たちはひたすら歩く。

こよいが前で俺と咲月さんは後ろ。こよいの行きたいところに一緒に行くということにしている。ちなみに俺の左手は密かに咲月さんの右手を握っている。

正直こよいに見られたらどうしようとドキドキしている。



射的してみようよ!とこよいが言った。俺はやってみるかーと言いお金を払って銃口にコルクを詰めて狙いを定める。こよいが狙っているのは熊のぬいぐるみ。正直ビクともしなさそうだ。

なので撃った後に撃って熊に2連撃を与える予定。後ろでは咲月さんががんばれーとはしゃいでいる。はしゃぐ咲月さんは中々見られない、そしてはしゃぐ姿が目に留まりあのかわいい子誰?と口々に呟いているのが俺の耳まで聞こえてきた。



パァン!とこよいが撃つ、俺もすかさずパァン!と撃ってみる。結果は残念だった。

あぁー後もう一回か。まぁもう一回同じようにやってみるか。そう思っているときだった。


「ねぇ、お願い。あの熊さん取るの手伝ってくれない?」

咲月さんだった。近場にいる男複数にそう言っていた。

それを言われた男たちは手伝わせてください!とそれぞれに銃を持つ。


そしてこよいがパァン!続けて俺、それから男達が順番に撃った。

なんということでしょう。熊さんノックダウン!そしてそれを受け取るこよい。

こよいは嬉しそうにこちらに熊さんを見せてくる。俺は銃を置き、よかったなこよい、と一言。


役目を終えた男たちは特別欲しいものはないし、でも後一発あるし……でも結局商品はいらないからと横で座っていたおじさんの輝く頭部へと発砲。するとあらまノックダウン、良かったね、大物じゃないか。







やれやれ一通り回り終えてしまった。熊を手に入れて急に目的が無くなったのかこよいはもう疲れ果てていた。


カキ氷を食べつつ花火の時間まで待つ。

俺とこよいはメロンで咲月さんはイチゴだった。


「有ちゃんはいあーん、これ食べ比べだから勘違いしないでよ?」

「分かってるって………イチゴも美味しい」

にしてもイチゴって買いにくいんだよなー。そこの所女子って得していると思う。

……ん。口を開けてスタンバイしてる……やれと言う事か。


「ほら、俺のも食べてみな」

「ん………メロンいい感じだね、あたしメロン食べた事なかったからなー」

そうなんだ。あぁ、例の如くこよいがじーっと見ている、残念だったな、こよい。



「お兄ちゃん、こよいともやろうよ、食べ比べ」

「こよいと俺同じじゃん、お兄ちゃんと一緒がいいって言ったのはこよいだぞ?」

うう、と悔しがるこよい。熊さんの手を操りパンチを繰り出してくる。

「こよいちゃんちょっと失敗だったね」

咲月さんがそう励ましていた。



所々に設置してあるスピーカーからお知らせが入る。

『ええー只今から打ち上げ花火を行いますので上空に注目ください尚、只今射的の方ですが事情がありまして一時的に営業しておりませんのでご了承ください』


あぁ、おじさん……。



「ねえ有ちゃん、ちょっと良い?」

咲月さんがそう言ってきた。何?と返すと咲月さんは立ち上がって俺の手を引っ張る。


「こよい、少し咲月さんと話があるからそこで待ってろよ。後で膝枕してやるから」

「おおぉ!膝枕~!うん!ここで待ってる」




咲月さんに連れ出された俺は質問する。

「どうしたの?」

それに対して咲月さんは重要な話がある、と返事をした。

何だろ?と思っていると咲月さんは口元を俺の耳に近づけこう言った。


「あのさ、あたしと結婚してくれる?」

そう言うと咲月さんは口元を耳から離した。そして恥ずかしそうに下を向いた。

やっぱり恥ずかしがる事あるんだね、可愛いかも。



そして俺は返事をした。



「……う、うん!改めてこれからもよろしくね有ちゃん!」

「当たり前だ、ってか昔っから結婚する事になってたんじゃなかったっけ~?」

「えへへ、まぁね……っ!」

咲月さんは言葉を失った。俺は咲月さんを抱きしめた、何故だか分からないが抱きしめたくなった。



「ゆ、有ちゃん……」

「ったく、先にプロポーズする奴がいるかよ」

「ごめんね。へへっ、有ちゃんが他の女に取られたくないからさ……」



抱きしめ寄せ合う二人の体を優しく照らす光は夜空を彩り儚く散っていった。


第一部終わり。


第2部はいつになるか分かりません長期にわたって連載を休止すると思います。


次の作品が来週から投稿するつもりなのでそちらへ移って頂けるとうれしいです。

まぁこれを越す作品は当分書けないでしょうが……。


ご愛読ありがとうございました。またこの作品で会えることを願っています。

それまで当分の間次の作品で会いましょうということで失礼します。

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