21話
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では面白い(?)本編は↓からです。
あのストーカーは何だったんだろうか。悪いやつではなかったけど。そんなことを思いつつ自宅へと足を運ばせる。
八百屋や魚屋のおっさんが安いよー!と声を張って客を呼んでいる。
そんな中を俺は歩いていき、いつも通り商店街のポスターに目をやった……すると夏祭りの他にも、もう一枚ポスターが増えているのに気がついた。
「そういや明日は七夕か」
どうやら七夕の祭りがあるようだ。まぁ祭りといっても広場に竹がいくつも並べられ勝手にお願い事を書いた紙をくくり付けると言う内容になっている。これで祭りと言えるんだろうか。
七夕かぁ、今年は何をお願いしようかな~。
ふと俺は気が付いたかのように怪我をした手を見た。相変わらず治っていない、ヒール痛かったなぁ。
だが、正直なところもう大丈夫だったりする。でも念を入れて安静にはしている、医者に言われたんだ大丈夫だと思ってからもう一週間は安静にしましょう、と。
とりあえず、ちゃんと治ってますように、とかにしようかな。
そんなことを考えながら玄関に立つ。思わずこれから起こるであろう事を思うと思わずため息が出てしまう。嫌な予感しかしないのだ。
嫌な予感しかしないが帰らないわけにもいかず、ドアノブに手を掛け、家へと入る。
◆
「お兄ちゃんお帰り!ご飯にする?お風呂にする?それとも……言わせないでよもう~」
と、こよいが出迎えてくれた。
「……ご飯にする」
とりあえずそう答えておいた。
「あいあいさー」
そう言ってこよいは台所へ行った。
七夕さぁマジで何お願いしようか……うーん。こういうのが治りますようにって方が良いかもしれない。
そうやって考えているとこよいが戻ってきた。
「お待たせー」
「お疲れさん」
「今日はカレーですよーはいあーん」
平然と『あーん』をしてくるこよい。
「自分で食べるって」
当然のごとく俺は断る。
「でもー?折角作ったし?昨日のあーんが楽しかったし?っかまたやりたいしー」
だそうです。身勝手すぎます。こっちの事考えてはいるけどもそれ以上にこっちのことを考えてください。
「こっちは恥ずかしくて死にそうだったんだけど」
ちょっと大げさだけどまぁいいか。どうせ聞いちゃいない、筒抜けなんだよ。
「死んでないからいいじゃん?じゃ、あーん。ちなみに抵抗すれば」
なにその脅し……。
「それ以上言うな、分かったよ。言っておくけど治る間だけだからな」
「はいあーん」
……聞いてんのか?こよい。
恥ずかしい時間が終わった。何故だろう嫌なはずなのに、でも最近は……。
◆
今日は7月6日で明日は七夕。学校でも少しだけイベントがある日。
美咲は『彼氏が出来ますようにー』とかお願いするんだろうねー。
そう思っていると
「こよいー明日は七夕だろ?」
と。お兄ちゃんがそう聞いてきた。
「それがどうかした~?」
多分『お願い事何?』って話かも。
「いや、何お願いするのかなーって」
当たった。
「知りたい?でもね教えない~」
「何かそう言われると気になるな」
「人間の心理?そんな感じだよね」
入るなと言われると入りたくなるってあれだよね。
「まぁな」
七夕。どうしよっかなー何お願いしようかな?ちなみにお兄ちゃんは何お願いするんだろ?
◆
七夕祭り。咲月さん誘って一緒に願い事書いたりってのも悪くないよな。
出来ればこよいも一緒になんだけど……今年は無理そうだな。
そんなことを考えていると
「お兄ちゃん。大好き」
こよいがそう俺に言った。
「急にどうした?」
久々に聞いたからか少しドキッとした。
「ううん。何でも無いけどー?」
その意味ありげなその顔は何だよ。深くは追求しないけどさー。
「……そうか、ならいいんだけど」
◆
「じゃあ寝るぞ」
そう言うとこよいがソファーから急いでこちらへ来て俺の肩に手を伸ばし
「へいおんぶー」
と言った。仕方なく、【仕方なく】おんぶしてやることにした。
「はぁ。いいけど背中で寝るなよ?」
どうせ寝るんだろうな。まぁさっさと寝るのはいいんだけど。それ以上何もしてこないって意味だからな。
「おっけー」
それからしばらく。寝室のドアを開けてベッドにこよいを降ろす。
「……寝てるじゃん」
なんだか嬉しそうな、少しだけ微笑んでいるような、そして目を閉じすぅすぅと音を立てていた。
その顔を見るとこよいがとても可愛くて、とても大切で。そんな気持ちがゆっくりとこみ上げてきた。咲月さんも好きだけど、こよいのそれとはまた別なんだよな。
俺も布団に入って寝る事にした。
入ってすぐに寝られるわけじゃない。眠りに落ちるまでの少しの間
隣に寝かせたこよいの頭をさすり続けた。
何だろう。やっぱりこよいの事が……愛おしく感じる。
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