2話
ごめんなさいまだ本編ですらありませんね(汗
楽しく見ていただけるなら結構です、声に出して笑うのならなおさら結構です
俺は今日こそ咲月さんに声をかけようと思う!
と、やる気満々なのは有二である。彼は昼休み、友達の善人を連れて咲月を待っていた。
その連れの善人は案の定フラれるであろう有二を全力で笑ってやるつもりだった……のだがそんな二人に予想外な出来事が待っていた。
「よしっ! 今が絶好のチャンス! 咲月さんの周りには誰もいないッ!」
有二はガッツポーズし、善人に小声で行って来ると言うと有二は咲月の元へと走り出した。
「おう、ビシッと言って来い」
と、善人は脳内で逝って来いと変換し、それの意味を込めグッジョブ! と勢いよく親指を有二に突きたててそのまま会話が聞こえる範囲へと移動を開始した。
有二の胸はドキドキ高鳴っていた。
やべぇ…今ごろになって緊張してきた。
それでも有二はその足を止めない、言うだけ言おうと思っているからだ。
結果がどうであれそんなのは有二には関係なかった。
有二は咲月に近づき声を掛けようとした、その瞬間―――。
『姫川さんっ! これ受け取ってください!』
『姫川さん俺と…付き合っううおうあぁああ!』
『ハッ、お前らに告白する資格はないっ! なぜなら俺が先に来たからだ!』
と、まぁ数名の男子が咲月の下へ群がっていた。
『うっせぇ! んなの関係ねえよ!』
『いいやあるねー! だって割り込みはいけないことじゃんかよ』
『ハァ!? そんな理由で俺は殴られたのかよ……って姫川さんが俺に近づいてくるぞ!』
『バーカ! これは俺のところへ来ているんだッ!』
『うっせぇヴァーカ!!』
いつの間にかケンカが始まっていた、それを見た有二は巻き込まれたくないと思いそのまま回れ右をして善人のところへ戻ろうとしていたが、彼は呼び止められた。
「ねぇねぇそこの~もしかして…有二君?」
と、有二は言われた。しかも咲月に言われたのだ。
当たり前のように有二はドキッとした。跳ね上がる心拍数、止まらないドキドキ。
それはまるで一瞬心臓が止まったかのよう。いや――心臓が止まった。
◆
どうやら本当に気絶しているらしい、咲月は申し訳なさそうに有二の顔を覗き込む。
有二は口を開いたまま白目をむいていた……カオスな光景であった。
それを見ると咲月は、うわぁ~なんかあまり見たくなかったな~。とだけ言うと有二の口を閉じ、目を瞑らせ、そして、よっこいしょ~。との掛け声とともに有二を担ぎ何故か自宅へと歩き始めた……ちなみにけんかしている奴らは皆気づいていないようだ。
しかし、それを見たものがいた……そう付添い人の善人だ、善人はこの光景を見るや否や目を何度もこすってはもう一度、こすってはもう一度を繰り返していた。
そんな目の前の光景に唖然としている彼の視点で見てみよう。
◆
やっべぇ超ウケルんですけどあはは! あはは! 有二のやつ気絶してんじゃねえのかぁ? うっわー姫川さん思いっきり見てるーははは……ウケルははは。でもさっきのあれはなに? 今何が起きた? 姫川さんが有二をおんぶしていったように見えたけど……お願いだ夢なら醒めろッ!
俺は……俺はッ! 俺は全力であいつの不幸を笑ってやるんだ!!(問題発言)
なぁ夢なら醒めてくれよ……あいつまで幸せになったら俺は……。
◆
そんな善人を見て、一人の生徒が話しかけた。
「お~い善人~起きろ~目が死んでるぞ? えっと……こういうのなんて言うんだっけ?」
「俺なんてただの…くそっ……」
「あぁそうだったあれだ、ようやく思い出した」
すると彼は善人にもう一度声を掛けた。
「お~い、善人? ……ゴホン。『返事が無い! ただのしかヴァアアァァッッーー!』」
何かを言いかけた彼は善人の目覚めのパンチを喰らってしまった。
善人は彼を殴った後、ふらふらと千鳥足で歩き、そしてあっ……とか言いながら倒れた。
もう立つのさえ面倒になってしまったのだろうか……善人はそのままほふく前進で教室へと帰っていった。
起き上がった時の彼の制服は……言うまでもないだろう。もし彼の悲惨な制服を見たのなら「モップ掛けお疲れ」と言ってやってほしいものだ。
◆
その頃、有二を拉致って行った咲月はというと?
「なんか知らないけど有二君ゲットぉーへっ……へへッ」
と、彼女を知る者が見たら恐らく耳を疑うであろうセリフを呟きながら彼女は有二を背負い自宅へ無事、帰宅した……。
いや、詳しく言うと咲月自身は無事だった。
と、言うのも、いつもは頭すれすれでセーフの看板が背中におぶった有二の頭に直撃したのだった。
ともあれ、自室へ行き、咲月は有二をベッドへ降ろした……と同時になんかドキドキしてくるのを彼女は感じた。
「やっぱり恥ずかしいよね~でも見てるときはもっと恥ずかしいんだろうな~」
やっぱり……寝てるときにされちゃうってかわいそうかも……。
「でっでも? やるなら? 今しかないんじゃ……でもなんだか恥ずかしいな~」
だよね……だってこんな事するの初めてだもん……。
有二には少し申し訳ないな~思いつつ、咲月は有二にそれを近づけていった。
咲月のと有二のが近づいていく……咲月側からすると自然に有二の顔が近くなってくるのだから咲月の頬はますます赤くなった。もう心臓の音なんてこの部屋隅々に聞こえそうなくらいだった。
でも今がチャンスなのだ、今自分が彼に対して何をしたって当の彼にはそれがわからない。
そう、バレなければいいバレなければ……。今がこれ以上とない絶好のチャンス……彼女ははバレなきゃ良いバレなきゃ良いんだ、どうか起きないで……どうか起きないでと祈りつつようやくその行動に出た―――
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