19話
評価、感想大歓迎です。
咲月さんと一緒に下校。2人で手を繋ぎまだ明るい町を歩いた。
「はぁ~有ちゃんの家に遊びに行きたいんだけど妹ちゃんが面倒なんだよね?」
勝手に思い込んで失礼なんだけど…俺の部屋に行きたいだけだったりして?
「あぁ~。まぁねこよいが何をするか分からないからなー」
でもこよいの奴女の子を連れ込んだら…下手すりゃあの時のバットで襲い掛かりそうだ…。
「ぁでもさ有ちゃん。有ちゃんの部屋に何とか上がりこめば大丈夫なんじゃない?」
普通はそうだよね。
「それがさ…俺の部屋こよいに占拠されたんだ。ごめん」
「え!?どゆこと何で?!」
もう笑うしかないよこれ。
「なんか…トイレから帰ったらベッドがあって。それから占拠されていった」
「ちょっと待って…じゃあ何?有ちゃんはその…こよいちゃんと同じ部屋で寝てるの?」
うわー恥ずかしい質問来た…正直に言ったほうが良さそうだなー。
「…まぁそういうことになる」
「ええええ!!?マジ?!兄妹とはいえお年頃の男女が一つの空間で一夜を過ごすって危なくない?!」
「その一夜って言うのやめて、なんか危ないものを連想させそうだから」
何があってもそれだけは避けたい。全力でそう思う。
「…そっかごめん」
「でも俺だって抵抗したんだけどねーあっちは武器持ってた」
バットですよバット。あんなの反則だっつーの。
「それで逆らえなくなったと」
「そゆこと。じゃまた明日」
繋いだ手を離し、俺は咲月さんに手を振った。咲月さんは笑顔でじゃあね~と手を振り返してくれた。
それにしても。一つの空間で男女が一緒に寝るということはそれだけで何かがあってもおかしくは無いと思う。うん。でもまぁ……うちの場合はいたずら程度に収まるから大丈夫だろ。
一人になってから、カラスや飼い犬の声を耳に、電柱や電線。商店街のポスターを目にしながら帰っていた。
するといつもより一枚ポスターが多い事に気がついた。
「夏祭りか……」
嫌でも覚えてるぞ。去年はこよいに振り回されっぱなしだったっけ?
しかも「これおいしそう!」の連発……んで俺がお金を取り出そうとしたら
「こよいちゃん!これサービスだよ!」とタダで様々な食べ物が手に入ったんだ。
……お面が欲しくて同じように「これおいし……」と言いかけたのには笑えたけどな。
今年は何とかして咲月さんと一緒に居たい。
浴衣姿の咲月さんと一緒に夜空高く打ちあがる花火を見たい。
できれば本当に邪魔が入らないで欲しい。二人っきりで居たい。
だからそれを叶えるべく、とりあえず俺は立ち止まりこう言った。
「いつまで隠れてるんだ?」
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