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17話

「早く治らないかなぁ?ホントに」

俺の手が傷を負っている事はもう分かっていると思う。

だから俺はこよいと咲月さんに好き放題やられている。

抵抗しようとするといつも手が出る。そしてその度に痛みが走って…




いつも通りの登校。俺は咲月さんと必ずと言っていいほど一緒に登校をするようになった。

ほら今日もあそこの角から…


「有ちゃーん…っていっけね~こんなことしたらケガに響くよね」

ほら来た。しかも有ちゃーんって言いながら両手を広げていたとなると恐らく怪我さえしていなければ抱きしめられていただろう、少し状況分析をしてみればこの手の傷についてのイライラが増してきたような気がする。それから俺は少し嫌味っぽく、

「あははーまだ治らないんだよねーこれ」

と、開いて閉じる行為もままならない手を見ながらそう言った。


「早く治ればいいのにねー」

全くですよ。こよいといいあなたといい、俺は好き放題されてますからねー

「そうだね~全く」

とりあえず今日は何も起きませんように…




咲月は今日もあーんしてやろうと思いながら有二に声を掛けていた。


ふっふっふ、有ちゃんが恥ずかしいことは分かってるんだよー。

でもさーあたしだってあーんってしたいんだよねーそしてされたいんだよねーでも「あーんってして」なんて言えないよねぇ……でもまぁ今は怪我しているから仕方ないとして、でもそれが治ったら頑張って……へへ、照れちゃうかも、ってか言えるわけないよー。



頭の中で楽しいことを考えていると、そのムードを壊すかのような何かがいるかもしれないということにあたしは、

「―――ちょっと待って」

「ん?何?」

と、有ちゃんを呼びとめた。あたしはどうも誰かに見られているような気がした。この感覚は嫌でも忘れない、誰かにジッと見られている感覚、多分後ろの方から見てる。


そうなると当然のごとく後ろが気になって後ろを振り向いてみた、けれども結局何もそれらしきものは見えなかった。

そうなってくるとこの不思議な行動をなんでもないと思わせないとかえって有ちゃんに心配を掛けるかもしれない、そう思ったあたしは靴を履きなおすかのようにコンコンと鳴らして前を向いた。


「おっけーいやいや今ねー靴に足がちゃんと入ってなかったから直したんだー。じゃいこ」

「ふーん。ちゃんと履いて来ればいいのに」


良かった有ちゃん気づいてないみたいだね。それにしても…何だったんだろ。勘違いならそれが良いんだけど。


「って、今あたしのこと軽くバカにしただろ~?このこの~」

「やっやめろ頭を撫でるな撫でるなってこら」


でも、絶対誰かがいたって……絶対。




弁当弁当!今日も有ちゃんにあーんってしてやるぞ~おー!


というわけであたしは有ちゃんが教室にいないうちに有ちゃんの弁当からあらかじめスプーンを取っておきましたー。

あれさえなければあーんしかなくなるでしょ?食べる方法。ふふ、あたしっていたずらっ子だね。


有ちゃんがイスに座って弁当の中身はなんだろうな、と言わんばかりの表情を浮かべながらその弁当箱を開けた。

「弁当オープン!ていつも通りスプーンが無い!?」

有ちゃんはすぐあたしを見た。まさか……犯人は咲月さん!?って感じ。

この反応がかわいいんだよな~早くあたしだけのものになればいいのにー。


あたしの仕業だと気づいてそうだからここは少し意地悪そうに、

「あっはっはー見たまえ旦那さん、スプーンはここだよー」

と、さぁさ弁当箱を渡してもらおうかー。そんな感じにあたしは頂戴の手を差し伸べた。


すると有ちゃんはポツリと、

「もうスプーンは懐に持っておこうかな…?」

なんてことを言ったもんだからあたしは少しムキになって、

「えー!そんなことしたらダメだよー!」

と、説教してやった、全く有ちゃんって子は……まぁそんなことしてもあたしがスプーンを持ってきて有ちゃんのスプーンを奪えばいいだけの話なんだけどねー。



「ほら最後だよ~あーん」

最後の一口も終わった。

「……ん」

どうやらまだ恥ずかしい様子です。かわいいなー有ちゃん。

「はい昼食終わり~」

「ったく。恥ずかしい事この上ねぇよ」

「またまたーそんな事言って~うれしいんじゃないの~?」

「別に…うれしくなんか」

うわーやっぱこの子独り占めしたい、有ちゃん最高!


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