15話
とある事件のおかげで俺の手は骨折した。
字は書けないし箸も使えない。俺はものすごく困っている。
「有ちゃんはいこれノート」
咲月さんが俺にノートを差し出す。
「あ~ありがとーいつもごめん」
感謝を述べつつそれを受け取った。
「全く~良いんだよこれくらいー」
俺は怪我をしてから咲月さんに代わりのノートを取って貰っている。
字が満足に書けない俺にとってはとてもありがたいことだった。
唯一困っているのがこの状況を楽しむ人がいるということだ。
「有ちゃん~一緒に食べよー」
「うん、いいよー」
今日もあれが始まるんだろうなーと思いつつカバンからこよいお手製のお弁当
を取り出した。
「おぉーこよいちゃん今日もがんばってるねー」
「そうだね、じゃ早速―――てあれ!?スプーンがない!?」
あるはずのものが無い…こよいが入れ忘れるはずも無く、俺はすごく驚いた。
「ふっふっふ」
咲月さんがなにやらわざとらしく笑った。
「まさか…咲月さん…!?」
半信半疑どころではない。完全に咲月さんが犯人だ。……と思う。うん。多分。
「ピンポーン!正解したのではいあーん♪」
そういいながら咲月さんは一口サイズのハンバーグを乗せたスプーンを差し出してきた。
「……ちょ、まっ、ほら周り見て咲月さ―――」
「へへへー周りなんて気にしなくていいんだぜ~旦那さん」
ほら、この状況を楽しんでる。咲月さんはこの状況を楽しんでる…
ん?【お前も楽しんでるだろ】だって?…う、うるせえ。
「はいあーん」
「………………」
どうしても周りが気になる。
「はい次ー」
でも咲月さんはお構いなし。
「…………………」
言うまでも無くクラスの男性陣の視線を痛いほど感じながら昼食を終えた。
「なぁ有二」
善人が声を掛けてきた。
「なんだ?」
「殺していい?」
「やめとけ」
…どうでもいいことだった。
放課後となり下駄箱へ行き咲月さんに靴を取り出してもらう。
「ありがと」
そう言って靴に足を入れた。
「どういたしまして~お礼に頭をなでてくださいな」
「はいはい」
咲月さんの頭をなでるとえへへーと照れたような声が出てきた。
それから手を離すと俺の手からシャンプーのいい香りがうっすらと漂ってきた。
「じゃ、帰ろうか」
「そだね」
家に帰ると今度はあいつがいる。テープでグルグルな手を見てひとつため息をついた…
明日も投稿するんで短いとか言わないでください><
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