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11話

暇つぶしになれば幸いです、ではどうぞ

「いてぇ…頭痛いんですけど」

頭をさすりながらそう言った。

「知らねぇよ、そんなこと俺に言うな」

現在、有二は善人と登校している最中だった

「だからさー頭痛いんだけど」

ちなみに何故頭が痛いかというと今朝、善人は妹の美咲により頭をカバンで殴られたからだ。何故そんなことになったかは前回を見れば明白である。




ふと善人に目をやると善人はジッと何かを見つめていた。

善人の目にはカップルでイチャイチャしている奴らが写っていた。

「あぁーあぁーあいつら…人前で堂々とイチャイチャしやがって…なぁ?有二」

もしかしてうらやましいのか?コイツは…ってイチャイチャかー…いいなぁー…襲われてばかりだもんなー俺


「お前顔がにやけてるぞ気持ち悪い」

「おっお前に言われたくねえよ」

「うるせえ…にしても…俺の春はいつ到来するんだ?」

さぁな、そんなこと知らねえよ俺は

「まぁ気長に待ってろよ、あははっ」

笑いながらそう言ってやった

「ふんっだ!少なくともお前より…は」

善人の声がどんどん小さくなっていた。

善人の視線の先、俺の背の方を見てから小さくなっていったことに気づいた。


「―――有ーちゃん!!」

「おわっ!!」

思いがけぬ襲撃に遭った……ほら襲われてばかりだろ?

声ですぐに咲月さんだと分かった…俺はうつ伏せのまま目を横にやると

男子生徒共の『テメェ…!朝っぱらから何してんだこの野郎!!』という厳しい視線が俺へ向けて放たれているのを察知した。

…俺は目を閉じた。


目は見えなくても耳は機能している、真上から呟かれる嫉妬満載の善人の言葉にはただ笑うしかなかった。




それからというもの咲月さんの積極的な行動は止まらなかった。

「おい平沢!お前姫川さんの何なんだ!?」

1人の男子生徒が俺に詰め寄ってきた。

急にそう聞かれた、咲月さんの何って…どう答えれば良い?

「…彼氏だけど」

「「えええええええ!!???」」

教室中がざわめいた。

男子共ならまだしも女子も騒ぎ始めた。

『ありえない!そんなのありえないわッ!』

『姫川さんは何処に行ったの?!本当か確かめなきゃ…!』


「おい!有二!お前本当の事言ってんのか?!」

…あえて答えなかった…ってか周りがうるさくて聞き取れなかった

「お前!答えないってどういうことだよ?!…まさか…!いや!そんなはずは…!!」

だから聞こえないって…何言ってんの?

何かを言った直後その男子生徒は膝から崩れ落ちた。

何言ったかが分からない俺にとっては『何やってんだこいつ?』としか思えなかった。

でも何らかのショックを受けたんだと俺は感じた。




未だ騒がしい教室でふと、とある女子生徒は冷静にこう言った

「ありえないわよ、だって平沢よ?あいつが姫川さんと付き合えるわけないじゃない」


その瞬間、面白いくらいに教室が静まり返った。

なんかムカつくんですけど…?


そしてしばらくした後…

「そっか!有二!お前面白い冗談言うようになったのか~!!あははっ!」

膝から崩れたはずの男子生徒が生気を取り戻し、同時に教室も今まで通りの活気を取り戻した。


それから付け加えるかのようにとある女子生徒は言った。

「それにさぁ二人が手を繋いでたのを誰か見たの?それくらいの情報がないと2人が付き合ってるって決め付けるのには早すぎると思うな、んまぁ繋いでるわけないと思うけど」


そう言った後『だ、だよなー』『そういうやそうだった、俺、どうかしてたよあははっ』

などともう教室の雰囲気はほぼ元通りとなった。


――――この騒ぎはこれで終わりではなかった。


さっきの言葉を聞き、善人は『じゃ…あれってデートだったんだ…』と呟いた。

ちなみに善人はこの間買い物に行ったときの事を思い出していた。


「おい…今お前…ナンテイッタ?」

そんなことあるはずない、そう願う生徒が善人に問い詰めた。


善人は答えた

「あぁ…この間俺が買い物に行った時見ちまったんだよ」

「「何を!?」」

皆が声を揃えてそう言った…こいつら面白すぎるわ

俺はただ善人が言う言葉に耳を傾けていた…大丈夫、今度こそ聞き取れるはずだ。


善人は続けた。

「俺は買い物袋を両手に持った有二を見つけたんだ、そんで有二がベンチに腰掛けるだろうと思ってあえて邪魔しに行ったんだ、まぁただの悪戯だが」

「それで…?!」

「そしたら有二は『べっべつに座りたいわけじゃないんだからねっ!』と言ったんだ」

「―――言ってねぇよ!」

「な!有二はいつからツンデレに…!いやそんなことはどうでもいい!続きを…!」


「そのあと…来たんだ、あの人が、そしてその人は有二と手をつなぎソフトクリーム片手に帰っていったんだ」

「あの人って!?一体誰なんだ?!」

そう生徒が質問したところ善人は指を指した。

その指の先に居た人は――――咲月さんだった。

咲月さんはあたし?と自分に指差し『一体何のことだろ?』と呟いた。



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

少しの間沈黙が走った。


「――――姫川さんだッ!!!!」

誰かがそう叫んだ、そして咲月さんの元に駆け寄り『有二とはどんな関係なんですか?!』

と、ニュースの取材陣並みの質問を繰り出した。


「あの…えっと…え??」

咲月さんはいきなりの展開に戸惑ってた。


何も答えない咲月さんに次の質問が襲い掛かった。

『平沢有二は姫川さんの彼氏なんですか!?』

その質問への咲月さんの回答は意外なものだった。


「―――え?違うよ?」

「あれ?」

…今度は俺が戸惑った。

「有ちゃんはあたしの彼氏なんかじゃありません」


咲月さんの答えを聞いた皆は『良かったー』『びっくりしたねー』

等と、中には拍手までする奴もいた…


「え?ホント何ですか!?平沢有二は姫川さんの彼氏じゃないんですか!?」

その生徒はもう一度確認を取った…


咲月さんはもう一度答えた―――


「―――だってあたしは有ちゃんのお嫁さん、だから有ちゃんは彼氏じゃなくて旦那さんだよ?」


感想待ってます!一言でも充分です!

感想もらえると元気が出ます。

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