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空白空  作者: 退学者
第1章
4/5

Ⅲ:機械少女よ友を討て

基本不定期更新になります。なるべく3日に1話は投稿するよう努力致します。ご了承ください。

また、予告なしに本編を修正する場合がございます。

セキュリティの頭部に刺さったままの短剣を抜き取り、大きく空へと飛んだ。下には数十ものセキュリティが待ち伏せている。


本来、機械を殺すならコアを破壊するのが常識である。だが、そんなことを重々承知していて対策していない者などいない。

もちろんコア付近は重装甲になっていることだろう。


コアを破壊するために装甲を削るとなると、短剣が摩耗してしまう。だから基本機械との戦闘で刃は向かない。銃などの方が圧倒的に有効だ。

が、今回はそんなことを一切無視した方法でセキュリティを無力化させることが出来てしまう。


着地と同時、横にいるセキュリティ達に向かって短剣を半月状に振り払った。

狙ったのは、制御盤がある頭部。


まずは二体。


背後からの奇襲を仕掛けてきた一体の攻撃を短剣の持っていない左手自らで受け止め、蹴りを入れて距離をとる。


斬れ味も問題なし、棺くんも全く劣化していませんね。

しかしこの数・・・短剣が持つでしょうか。


近づいてくるセキュリティを壁を蹴って避け、もう一度空を飛んだ。

今度の着地点は敵の中心部分。

ちょうど下にいたセキュリティに剣先を向けてそのまま着地。

案の定、下にはボロボロと残骸が落ち落下の衝撃でこちらに飛び散った破片が自分の頬に当たった。


頬からは微かに血が流れている。

機械人なのに、血が流れているなんてなんともまあ精巧なこと。

その血を親指で拭った。


私はセキュリティに囲まれている。いや、囲まれるように中心部分に着地した。

何故血を拭っている時に隙があったのに、彼らは攻撃をしてこなかったのだろうか。


・・・そういえば、セキュリティにも感情があるのか。

なら挑発が効くかもしれない。


「そんな驚いていないで私を殺しにきてください。それとも、同胞が更にぐちゃぐちゃになればやる気になりますか?」


私の声が聞こえているだろうと予測し、セキュリティに刺さったままの短剣を縦横に振りながら多少煽ってみた。

するとどうだろうか、私の目の前に四体の大柄なセキュリティが台頭してきた。おそらく主戦力だろうか。


一斉に詰め寄ってくるセキュリティ。彼らが持っている剣には侵入者を排除する目的以外に何か殺意のようなものを感じた。

殺意を込めた攻撃は通常より強靭な攻撃となる。

しかし、それはかえって剣先を読みやすくなってしまう。


血気迫った正面のセキュリティの横薙(よこなぎ)を足を屈めて避けた。

2メートルもあるセキュリティの体では避けることなんて動作もない。


そのまま懐まで走り首から制御盤に向けて剣を一刺し。セキュリティはその体勢のまま動かなくなった。

だが、気づくと前を除く三方向からセキュリティが刺突の構えをして私を狙っていた。


自己犠牲による隙の生み出し。あえて殺意を剥き出しにし彼だけに対象を向けさせられた。そして、避けようにも三方向は避けられず正面は動かなくなったセキュリティによって進めない。

詰みともいえる状況。


ただ、彼らは少し甘い。


私は瞬時に動かなくなったセキュリティの腕を斬り横方向からの刺突をセキュリティの腕に刺させた。そして後ろは動かなくなったセキュリティの剣を利用し上へと剣を反らせる。


彼らはもっと死体に興味を持つべきだった。


私はセキュリティ達の隙を見逃さず、制御盤の位置の高さまで跳んで一回転。


今度は三体のセキュリティが立ったままの状態で固まった。

そしてすぐさま前を向く。

動揺なのだろうか、セキュリティ達は何故かその場から一切動かず唖然としていた。


「こないなら私から行きますね。」


三体から剣を奪いそれを正面に投げた。セキュリティ達はそれでやっと正気を取り戻したのか、多少掠りながらも刃を止めた。

だが私の存在を忘れないで欲しい。投げた剣を隠れ蓑とし、私は既に彼らの真正面にいた。


セキュリティは私が瞬間移動をしているように見えるのだろうか。

敵を見逃さないなんて、戦いの基本なのに。


両手に持った短剣は敵を逃すことはない。

まずは一体、簡単な一振。そしてまた一体。一体、一体と機械の体を最大限利用した奇怪な動きで敵を惑わしながら仕留めていく。


最初こそ威勢が良かったセキュリティ達はさらなる動揺により私にされるがままだった。


そしてものの数分。


「・・・これでだいたいは片付け終わりましたね。」


手をパンパンと叩く音が、戦いを終了する音となった。


たったの5分で起きた出来事である。


◇◇◇


「クウ!怪我は?大丈夫?」

「はい、全く問題ありません。」


先程、あれほど動いたはずのクウは一切息を切らさず、そして優雅に私の元へと戻ってきた。

クウには色々と聞きたいことがあった。

だが、まずこれを聞かないと何も始まらないことがある。


「ねえクウ、さっきからあの子とてもツーンってしてるんだけど、何か変なことでもした?」

「いいえ。」


即答。


「そんなわけないじゃん!」


私がクウにツッコミを入れる前に、口を大きく開いたのは助けた少女だった。


「あなた、私に向かって邪魔だから早く居なくなれって言ったもん!」

「いえ、それですと誤解が生まれます。正確には"あなたは足でまといなので早く逃げてください"と言いました。」


うん、あんまり言ってる意味は変わらない気がするし、圧倒的にクウが悪いとしか思えない。


「あのね、クウは感情が・・・と、とてつもないほどの人見知りなの!」

「は、はあ。」


あ、危なかった。まだ今の人達が機械をどう思っているか分からないのに、自分達が機械人だって明かさない方がいいよね。


「だから、ごめんね。」


「・・・謝ってくれるならこの話はもうおしまい。それに、口は悪くてもあたしを助けてくれたわけだし。」

「いえ、私は口が悪いわけではありま」

「はいはい、もうこれ以上話をややこしくしないで。」


また何か反論をしようとしていたクウの口を手で塞いだ。


「それで、あなたたちに聞きたいことがあるんだけど・・・」

「何?知っていることなら答えてあげるよ。」


まあこの世界のことなんて殆ど知らないけど。


「あなたたちは誰なの?」

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