会議の結末
張り詰めた空気が身体に刺さるような空間。
この会議はひとつすれ違えば、世界の戦争を招きかねない。
これまでの仲の良さからは一変した会議、最初に口を開いたのはリーズィーだった。
「では、確定事項の説明から。終焉の神に関してだが、その復活が無くなった訳じゃない。リフュレスに聞いた話だと、私が終焉の神の復活を願う神官であり、私を殺しさえすれば終焉の神の復活は無くなり世界平和となるという目的だったはずだ。」
その言葉にみんなが頷き、それが事実であると示す。
「この話で間違いは1つ、神官が私であるという点だけ。神官は潜み、終焉の神の復活を願い、今なお暗躍している。もし、私が何もしなかった場合、容易く世界は闇に堕ちていたでしょう。」
スレイとセバルを始めとしたオーガ族、獣人族は目を見開いた。
リレイヤ、ホピリス、魔族もその事実を知らなかった者は皆驚いていた。
俺もその話は知らなかったので、相当驚いていた。
その中で驚いていなかったのは、リーズィー、リフュレス、リミュオーバ、ホリレスト、賢絃だけだった。
その事実を知ってそうな3人は分かるけど、ホーリーと賢絃も驚かないんだな。
「あなたは驚かないんですね、賢絃さん。」
リーズィーは賢絃には驚かないことを疑問に思っていた。
ホーリーも驚いていないことは気づいてないのかなと少しの違和感があった。
「まぁ、多少話を聞いていればすぐに結論は見える。」
流石の頭の回転の速さで状況の理解をしている。
「流石ですね、では話を続けます。」
違和感が無くなることはなく、リーズィーは話を続けた。
「今現在私は神官の正体を掴めていません。そのため皆さんが持っている情報があるのならば教えて欲しい。そして、次の件。何故このような行為に及んだのか。終焉の神を永久の封印にかけるためには、魔勇将皇神と、時の繋ぎ手が必要です。」
「ちょっと待ってください、魔勇将皇神はグラディでは無いのですか?」
そのアロリエルの問いにリーズィーは首を横に振った。
「終焉の神を封印するキーマンではありますが、グラディは時の繋ぎ手であり、魔勇将皇神ではありません。そして、申し訳ありませんがその情報は0に等しいとしか。」
申し訳なさそうに話すリーズィーに、激昂したセバルが円卓を叩いた。
会議室に響く轟音。
「貴様は我々を納得させる気はあるのか。今の情報で我々が協力するメリットがあるのか。神官の情報は0に近く、もしその話が正しかったとしても封印する方法の情報も0に近い。どう足掻いても世界の終焉は招かれる可能性の方が高いだろう!ならば貴様を殺した方が!」
その言葉を遮るようにもう一度轟音が響いた。
「セバル、少し黙れ。」
その冷たい言葉は、スレイから発されていた。
その言葉にセバルも驚き、自らの愛する人物からの冷たい言葉に、口を閉ざした。
「リーズィー、今セバルが言ったように今現状ならば我々が信じるメリットは0に近い。極端にいえばその低い可能性を信じるならばあなたを処刑し、あなたの話が嘘であると断定し、世界の終焉を待つ方がまだいい。あなたが協力を願うのならば、それ相応の何かが欲しい。」
リーズィーは何も言葉を発さなかった。
「しかし、リーズィーとやらを処刑したとして、片方を潰しているだけ。両方を確実に潰すのならば、リーズィーを即刻処刑できる環境に置き、本当に神官が実在する可能性も模索するというのが1番いいと思うがね。このメリットの少なさで我々に協力を依頼するというのは自殺行為に等しい。それは理解しているはずだがそれでもなお、この場に居るのであればその度胸がひとつの担保になると思うが、それはどう思う。」
賢絃がリーズィーを庇うように提案した。
リーズィーから見て、協力は確実に必要だが協力を得るための材料は限りなく少ない。
その状況は確かに信用の材料になってもいい。
それを簡潔に伝えた。
「そうですか、その場合私が伝えることは監視下に置くのはストレイグを始めとしたこの場にいる獣人族4人になりますね。しかし、賢絃あなたの頭脳を無駄にするのは惜しいため、別の監視下となります。それで良いですか?あなたは獣人族の判断役です。今獣人族の発言で1番権利を持つものとしてお聞きします。」
ホーリーの言葉に間髪入れず、賢絃は了承した。
「ではナイト、ドーリー、捕縛を。」
その命令に2人は黙って立ち上がり、抵抗するストレイグ、ビスレイグ、靂時雨を捕縛し、会議室から退室した。
「では私も退室した方が良いだろう、誰が見張り役となる。」
抵抗の意志を見せることなく賢絃は立ち上がる。
「では本題に入りましょう。まず最初に私のスキルを説明しましょうか。」
賢絃はその発言を訝しむ。
「今の状況になにか関係があるのか?」
その答えを返すことはなく、ホーリーは続けた。
「私のグランドスキルは『信命共鳴』です。この効果は私が信頼していて、かつ相手も信頼している時に長期的な思考を見ることが出来るというスキルです。」
「それがどうした?」
少しずつ賢絃が苛立っているように見える。
「単刀直入に言えば、賢絃、あなたが神官ですよね?」
リーズィーの伝えた言葉は、先程まで激昂していたセバルも呆気に取られていた。
「いつから気づいていた?」
その言葉は自らが神官であると自白している。
その時の賢絃の顔には叡智を感じない。
覗かせる牙がギラリと光る。
何が起きている。




