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亀裂


 会議室に戻り、リーズィーは縛られている縄を呆気なく解除する。

「今見てもらったように、私は簡単にこの拘束を外せる、なのにここに来るまで外さなかったというのをひとつの信用の担保として欲しいな。」

 その行為に殺気を隠さず、武器を構える賢絃達。

 少し前まで最終決戦のボスだと思われていた人物が目の前にいる、身構えるのも当たり前だ。

 縄を少しまとめて机の上に置いて、近くの椅子に腰掛ける。

「武器を構えたままでもいいから、話を聞いてもらおうか。」

 賢絃達は武器を構える姿勢を崩そうとはしない。

 リーズィーは何故このような行為に及んだのかを話し始めた。


「まず確定事項から、終焉の神の復活が近いこと、終焉の神の復活を待っているものがいることだ。今の時点で質問はあるかな?」

 今の空間はいつ、誰が動いても死者が出てもおかしくない、そう思えるほどの緊張感が張り詰めていた。

「では、私から聞こうか。」

 静寂の中で口を開いたのは、ホーリーだった。

 ホーリーはリーズィーが座る椅子とは反対の椅子に腰掛けて、少し息をつく。

 そしてリーズィーに問いかけた。

「今現状でそのふたつについて我々に話せることがあるか、ないかを質問としたい。そして、もしあるのならば全て話してもらった上でこの会議の責任者として、人間族の英雄勇者として判断を下したい。」

 その言葉に、リミュも真面目な顔に変わり、リーズィーからひとつ離れた椅子に腰掛けた。

「俺はリーズィーに生かしてもらったと言っても過言では無い。最初に断言させてもらう。魔族の王である俺の名を持ち、リーズィーに仇なす者は魔族の敵と認識する。」

 この発言はもしリーズィーの言葉を信用しないといった国が出た場合、確実に戦争が起こることを意味する。

 たとえ、それが人間族や女神族でも。

「では私も、リミュと同じ意見とさせてもらいます。女神族が敵となるかはリレイヤの判断です。」

 そう言って、リフュレスはリーズィーの左の椅子に座った。

「我々魔族は王たるリミュオーバ様に従います。」

 ネロムの発言に、シルディラス、スオルドも同意してリミュの隣の椅子にネロムは腰かけ、シルディラススオルドは後ろに立った。

「俺はみんなとは戦いたくない。けど、俺にとっての唯一の血の繋がりだ。もし、敵になるのであれば、俺は全力で大切な人を護りたい。」

 俺はリーズィーの右の椅子に座った。

「私はホーリーの判断に任せるよ。」

 ナイトレストの行動に、ドリグレストも頷き左右の椅子に座る。

「私は姉上が間違っているとは思えません、例えホーリーと敵対するとしても私は姉上を守りたい。」

 リレイヤはリフュレスの隣に座り、その隣に無言でホピリスも腰かけた。

「私は話を聞くまでは信用ができない、少なくとも先程までは生死をかけた戦いをしていた敵なのだ。そう簡単に信用ができるわけもない。」

 そう言って、ストレイグを挟み靂時雨、ビスレイグの3人がナイトレストの隣に腰掛けた。

「では私は殿の敵となるかもしれませんね。」

 賢絃は自らの国の長、仲間の隣ではなく、魔族の隣に座った。

「何故お前がそのような行動を起こす!お前がこれまでそのような血迷った判断は起こさなかったであろう!お前の頭脳は信頼しているが、今現状の判断では混乱を疑うぞ!!」

 普段はあまり喋らない靂時雨が声を荒らげた。

 この2人はここに出席するほどにストレイグに忠誠を誓っており、2人の絆は相当深かった。

「時雨、済まない。今現状ならば私は既に信頼するに足る人物であるとおもえるのだ。」

 その言葉で、ストレイグたちも動揺はしていたが、席を立つことは無かった。

「私もオーガ族の長として戦ってきて、元は打ち倒すべき敵であった者だ。そう簡単に信用出来るものでは無い。」

 オガセバルもドリグレストの横に座った。

「私は何時でも穿てるようにしておきます。警戒するに超したことは無いので。」

 そう言って!ドリグレストの隣にラムリエル、オガセバル、サクリアルの順で座った。

 左右に一席ずつ開けて、円卓を埋めた。

 その空席はこの円卓の亀裂を表しているようだった。

 その亀裂が埋まることはあるのだろうか。

 

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