最終決戦?
「よし、行くぞ」
ホーリーの強い声に皆が「応」と力強く返事をする。
目的地は魔王城。
そこに終焉の神を復活させようとしているリーズィーと操られているリミュ、リフュレスがいる。
俺にとって大切な2人だから絶対に助けないと。
全員が武装して、いつにもなく厳かな雰囲気が静寂をもたらす。
巨大な弓や槍、刀、剣、鎧や兜を全員が装備している。
俺もホーリーから装備を借りている。
腰に提げる剣の重さに本当にこれから最終決戦だと覚悟する。
「さて、一気に行くか。」
リフュレスが準備したワープポイントに全員が触れる。
「勝つぞ」
賢絃の静かで、それでも力強い一言に全員の目付きが一気に変わった。
一瞬で周りの景色が変わり、闇に囲まれる魔王城に着いた。
呆気なく最終決戦の場に着いて少し拍子抜けだが、ここからはいつ死んでもおかしくない。
目の前には無数のリミュが並んでいる、一人一人が正気を失っていた。
「さぁまずは我々の力を見せますよ、セバル様。」
アロリエル、サクリアル、ラムリアル、そしてオガセバルが決戦の火蓋を切って落とした。
『メテオアロー』『龍豪撃』『天地開闢』『鬼仙剣』
エクストラスーパースキルのオンパレードから開幕した最終決戦。
操られているとはいえ、リミュが消されていく様子はあまり見たくは無い。
簡単に吹っ飛ばされる友人の姿、弱くなっているとはいえその光景は始めてみる。
「さぁ、次は我々ですよスレイ様」
ビスレイグ、靂時雨、賢絃、ストレイグが畳み掛ける。
『熊爪嘶閃』『虎哮雷斬』『廻冥狼波』『獅子魄帝』
目の前で起きるエクストラスーパースキルの乱舞はそうそう見れるものでは無いだろう。
もはや人形のように吹っ飛ぶリミュ達、友人とはいえ少し面白くも見えてきた。
「リミュがあんなに吹っ飛ぶの面白。」
おいホーリー、言わなかったのに。
「確かに」「確かに」「確かに」
おい種族の王達。
『冥鎖叫喚』
大量のリミュの間をぬけて、紫色の鎖が俺たちを狙う。
俺たちに向かって向かってくる鎖。
全員笑っていたが、その鎖を見逃すはずもなく各々の装備や身体能力で防いだ。
しかし、一瞬だけ速度が緩んだ気がした。
その違和感はなんだろう。
その違和感を解決する前に、その鎖の持ち主が現れる。
「流石実力者の皆さんですね、死角から確実に殺ったと思ったんですけど。」
そう言って前に出てきたのは、リフュレスだった。
本当に操られているんだな。
、、、でもなんだろうこの違和感。
何かがおかしいけど、分からないもどかしさ。
それに身悶えそうだ。
「さぁ殺り合いましょうか。」
普段の話し方に近いけど何かが違うような、、、
「グラディ、今は余計なことを考えている暇はないぞ。」
その思考をホーリーに遮られる。
確かに、今は死ぬ可能性もある。
リフュレスは今では仲間であろうと、恋人であろうと、命を奪おうとしてくる敵だ。
「お姉様、絶対に助ける。」
リレイヤの小さな声が聞こえ、俺にも勇気をくれた。
剣を抜き、リフュレスの瞳を見つめる。
『大丈夫』
見つめるリフュレスの口がそう動いたように感じた。
勘違い、いや違う。
その言葉で全ての違和感が繋がった。
「ホーリー、俺が出る。リレイヤ手伝って!!」
その力強い提案にホーリーは笑顔で答える。
「早速想定外だな。俺も護衛としてでる。行くぞリレイヤ。」
リレイヤも強く頷き、一気に駆け出し、3人でリミュの群れを突っ切った。
「グラディ、よく見えたわね。」
リフュレスの言葉に呼応するように、額からキスマークが浮かんだ。
浮かんだキスマークはリフュレスを包み込んだ。
「やっぱり、念には念を入れる方がいいわね。」
そう言うリフュレスから殺意は全く感じられない。
洗脳が解けたのか?
「ホーリー、グラディ、城の最奥の魔王の間にリーズィーとリミュはいる。けど、人数によってリーズィーの能力が上がる結界が張られている。多くて4人しか行けない。今の4人で行くわよ。」
洗脳が解けたリフュレスの冷静さは頼りにしかならない。
『賢絃、リフュレスとの合流に成功した、人数が多くては敗北の可能性がある、あとは任せるぞ。』
ホーリーは賢絃と連絡を取り、今の状況を雑ではあるが説明し、賢絃はすぐに察し、残る者でリミュの大群を抑えることを了承した。
俺たちがリミュを救うためにかけ出す。
目の前の邪魔なリミュが、俺たちが通ろうとすると矢に射抜かれる。
アロリエルがサポートしてくれているのだろう。
「グラディここからは飛ぶぞ。一気に魔王の間に行く。」
ホーリーは周りのリミュを蹴って、空中に飛ぶ。
同時に『空中乱舞』を使う。
リミュはそれを止めようとスキルを使おうとするが、アロリエルがそれを制する。
俺も一気に地面を蹴り上げて、『空中乱舞』を使ってホーリーを追いかける。
リフュレス、リレイヤも同様に空を飛ぶ。
スレイ、セバル、皆絶対に生きてくれ。
『聖剣ライヴァー』
ホーリーは壁に剣を向け、スキルを繰り出す。
魔王城には大穴が開き、闇に染っていた部屋に光が指す。
「貴様がリーズィーか、覚悟しろよ。」
普段は聞かないようなホーリーの怒りの声は玉座に鎮座する男に刺さる。
「酷いな、少し前までジルラギルと呼んでくれていたのに。」
ニヤリとした時に覗かせる歯。
こいつを倒さないと世界は終わる。
剣の柄をしっかり握る。
「あまり、夢は見ないようにな、ガキども。」
その声の後に、空へ飛ぶ武器。
「お姉様!?」
鎖に飛ばされた剣。
その鎖の持ち主はリフュレス。
何故だ、洗脳は解けたんじゃ。
3人の驚く目、ホーリーですら予測できていないんだ。
ダメだ、失敗だ。
武器を飛ばし、丸腰の俺たちを貫くように鎖は向かってきた。
死を恐れて、目をつぶる。
もう、死ぬのかな。
ドクン、ドクン
『タイムルーラー』




