表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/29

チートの勉強

「今日学ぶ、そして習得しようとしているのはノーマルスキルの『空中浮遊』。これを習得すれば空中戦が多少できるようになる。スーパースキルの『空中乱舞』は空中浮遊の上位互換で、空を自由に飛び回れるようになる」

 ジルラギル先生のわかりやすい授業。

 まぁ本来、空中浮遊は卒業義務になっている学校もあるぐらいのポピュラーなスキルなんだけど。

 俺は学校に行っていないから、スキルは全くと言っていいほど習得していなかった。

 それでも、『タイムブレイカー』だけは何故か覚えていた。

 産まれた時から時々無意識のうちに使ってたらしいんだけど、ジルラギルさんやリミュ、ホーリーから制御の仕方を教えてもらった。

 最初は測定不能という意味でコモンスキルと言われていた。

 制御していくうちに、スーパースキルの1種であると判断された。

 勇者のホーリーや魔王のリミュですら使えないらしい。

 今は2人の足手まといにならないように、少しづつスキルを覚えている。

 授業で、空中浮遊の原理と、イメージを教えて貰って、あとは実践。

 最初は一瞬だけ浮いたり、空中に吹っ飛んで、ものすごい高さから地上に落ちていくみたいなことを何度も繰り返していた。

 お昼休憩して、ずっとやり続けた結果。

 ジルラギルさんはまた呆れていた。

「こいつはなんでこれまで眠っていたんだよ」

 まぁそりゃそうだよね、空中浮遊通り越して空中乱舞を習得しちゃったんだから。

 空中浮遊はノーマルスキル、空中乱舞はスーパースキルと教わったけど、このふたつは雲泥の如く、習得難易度が違う。

 学校はせいぜい、この国では10歳ぐらいまでしか入らない。

 つまりはそんな小さい子でも習得できるスキルが空中浮遊。

 だけどスーパースキルは、通常ならば1人ひとつ覚えたらすごいと言われるぐらい。

 修行さえすれば習得できるけど、それをしなくても生きていけるからなどの理由で習得しない人はいるけど、空中乱舞は完全に実力。

 スーパースキルの習得の中ではいちばん難しいと言われる。

 その理由は空中である以上、正しい対処をしなければ即死する。

 雲の上からスキルの制御が効かなくなり落ちた人もいるし、そのまま空に飛んでいってしまった人もいる。

 それをいとも容易く覚えちゃったら呆れるよね。

 今やってる自分でも呆れてるんだから。

 スキルの授業で難しいと聞いたけど、ポンってできちゃうと拍子抜けだ。

 スーパースキルはこれで2つ目。

 けどこれだとリミュやホーリーに追いつけるはずもない。

 あの2人はスーパースキルを5種類習得している。

 この空中乱舞も両方覚えている。

 もっと頑張らないと。

「あれ、グラディ空中乱舞覚えてるじゃん」

 会議が終わった2人が見に来た。

「俺でも覚えるの3日かかったのに」

 ホーリーがあっけらかんと言うが、ジルラギルさんが四つん這いでうなだれながら。

「本来スーパースキルは1年以上かかるんだよ。なんでこいつら合計しても1週間程度なんだよ」

 うん、お察しします。

 俺たち3人の教育係だけど、多分ストレスとかすごいだろうな。

「そういやグラディ〜、リーズィーって言うやつ知らない?」

 リーズィー?だれそれ?

 首を傾げている俺を見て察したのか、

「いや知らないならいいんだ、ジルラギルいつまでうなだれてんだよ、早く帰ろうよ」

 そこまでうなだれることなのかな?

 確か過去にジルラギルさんもスーパースキル1週間位で覚えて驚かれたって聞いたんだけどな。

 まぁ、難易度が違うんだろうな。

 自分で納得して、魔王城に帰った。

 勇者と魔王が仲良くて、一緒に魔王城に帰る。

 昔話で見る魔王じゃ考えれないんだよな。

 昔は魔王と勇者は殺しあっていたらしいし、魔王は世界を征服しようとしていたらしいし。

 今の2人からは信じられないな。

 先祖が見たら癇癪起こして倒れそう。

 ご飯を食べて、お風呂に入って、寝室に行って遊んでたら、ジルラギルさんに怒られた。

 みんな不貞腐れながら布団に入って目をつぶる。


「はい、計画は万事順調でございます。ブルワルド様、このリーズィーは貴方様の為にこの身を捧げます。」

 暗闇に照らされる月の光の下で、不穏な会話をする人影。

 その手元には勇者ホリレスト、魔王リミュオーバ、そして、グラディバスディアの顔面に穴が空いている写真。


「ジルラギルさん許してぇ」

 そんなことを知る由もない3人はぐっすり寝ていた。

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ