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歓喜の声


 唐突に会議室に起きた告白の連続。

 将軍と皇帝、女神と勇者、そして冥王と俺。

「告白タイムは一旦置いといて、何故あなたがここにいるのでしょうか、リフュレス。」

 リレイヤに珍しく攻められていたホーリーが、逃げるようにリフュレスに何故ここにいるのかを聞いた。

「1つは今現在の敵リーズィーがどれだけの兵力を持っているのかの報告。次に、魔王リミュオーバの現在の情報。これを伝えに来たら面白いことになっていたから便乗して気持ちを伝えただけよ。」

 つまり、リフュレスの気持ちは本当、、、え?本当なの?イタズラとかじゃなくて?

 急に顔が熱くなる。

 告白なんてしたことも無いし、されたことなんてもってのほか。

「ホーリー、あなたは私に対して都合がいいと言ったわね。少し間違いよ。私はグラディに一目惚れをしただけ。だからグラディを助ける為ならリーズィーにだって従うフリをする。」

 リーズィーに支配されているからこの円卓に参加したという訳ではなく、俺を助けるためにリーズィーに情報を渡していたということ?

 リフュレスの告白を受けて、頭の中には迷路をうろつく自分が浮かぶ。

「なるほど、とりあえず今現状まともな会議は出来ないだろう。小休止を取り、皆が落ち着いてから再開するものとする。」

 ホーリーも冷静を装ってはいるが、内心は相当恥ずかしがってそうだな。

「そんな簡単に休ませるわけが無いだろう?私とオガセバルはこの場で婚約をした。同時に女神、冥王の告白も起きている。その返事はどうするつもりかな?」

 俺とホーリー以外は口を開いたら死ぬ。

 そう思えるような3人の重圧だった。

「俺はその、リフュレスからの告白は嬉しいよ。けどさすがにその、付き合いが短い気がするから、せめて恋人から始めさせて。」

 心臓が飛び出すのでは無いかと思うほど動悸が激しい。

「わかった、よろしくねグラディ。」

「初心だな、見ていてとても微笑ましい。さぁホーリーはどうするのかな?」

 ナイトレストがこれまで振り回されてきた恨みを晴らすかのようにニヤニヤしながらホーリーの返事を催促する。

「そうですよ、お兄様。グラディは返事をしたのですよ?」

 ドリグレストもこれまでに見た事ないような卑しい笑顔を浮かべながらホーリーに詰め寄る。

 その返事に期待の眼差しを向けるリレイヤ。

「くっ、こいつら。分かったよ。リレイヤ、私と一生を共にしてくれ。」

 そう言って右手を差し出す。

 その短い言葉には、恥ずかしさと男らしさが詰まっていた。

「はい、喜んで。」

 リレイヤは涙をうかべ、ホーリーの掌にそっと重ねた。

 この日の会議で皇帝と将軍の婚約、女神と勇者の婚約、そして俺と冥王の恋人が誕生した。

「その感動的なシーンに水を差すが、そのような行為をした後の戦争では死ぬ確率高いから気をつけるように。」

 気絶から覚めた賢絃の言葉にみんな現実に戻った。


 一度解散して、俺とホーリー、リレイヤ、リフュレス、ホピリスが部屋に残る。

「グラディとリフュレス様の恋人関係は嬉しいことだけど、それを公表は出来ないな。」

 ホピリスの言葉にホーリー、リレイヤ、リフュレスも難しい顔を浮かべる。

 俺は何故か分からず、疑問をなげかける。

「グラディには二つ名が無いということ、もうひとつはその実力をエルフ族を始め、みんな知らないのよ。」

 リレイヤが簡単に説明をしてくれた。

 二つ名とはホーリーだったら「勇者」、リフュレスだったら「冥王」というように、実力者にはその力が認められ付けられるもうひとつの名前がつく。

 今の会議でも、全員二つ名を持つ実力者だ。

 二つ名はそう簡単に付けられるようなものではなく、戦争の褒賞や発明したスキルや道具のランクや数などの実績がないと貰えない。

 リフュレスの名前は既に各国に知れ渡っているが、その恋人が二つ名を持たない、いわば一般人であるというのは批判の対象になってもおかしくないことらしい。

「最悪私が声掛けをすれば簡単に付けれはするのだが、今現状私は死んでいることになっているのは継続中だからな。」

 そうか、今ホーリーは死んでいるという扱いになっている。

 あれ?でもそうなると勇者ってどうなるんだ?

「今って勇者はどんな扱いになってるの?」

 新たに浮かんだ疑問を投げかける。

「今現状で言うのであれば勇者を継げるものを探している最中だ。五種族の王の二つ名は特別だからな。その国ごとの儀式を終えないと名乗れない。」

 リレイヤもうんうんと強く頷いた。

「グラディには両親の加護がある。それだけでも二つ名を授かることは出来ないかしら。」

 リフュレスの提案に、リレイヤ、ホーリーは賛同する。

「確かにそれは1つの強みでもある、しかし、その強みは我々しか知らない情報でもある。エンディア様、スティリア様を知っているものは数多くいるが、グラディがその血を継いでいると知っているのはこの会議の者のみだ。それを勇者や女神が公表したとて信じられるような話ではない。」

 うーんと3人で唸りながら解決策を模索する。

「もし五種族の王全員がそれを話したら少しは信じられるんじゃない?俺の両親のことは各国に伝わってるんでしょ?」

「とりあえずそれも会議の議題の1つとしようか。」

 そして、会議が再開された。

「まず最初の議題で、皆様にお力添えを願いたい件が新たに出来ました。」

 ホーリーが話を切り出した。

 しかし、その話をオガセバルがさえぎった。

「グラディの二つ名の話だな。至極簡単な事だ。」

 オガセバルが解決法を知っている口振りで話す。

「我々の国に伝わる話だ。時の導き人の神殿は勇者、魔王、女神、皇帝、将軍、そして、時の繋ぎ手の二つ名を護る部屋なり。相応しき人物が現れた時、光刺して五種族の王である加護を授けん。時の導き手の血が輝く時、五種族の王達の願いと共に時の繋ぎ手の加護を授けん。」

「今オガセバルが話した伝説は我々オーガ族に伝わる時の導き人の遺言です。この言葉から察するに、オガセバル様を初めとした五種族の王、そしてグラディ様が揃えばグラディ様には二つ名が授けられることと思います。」

 昨日の取り乱していたアロリエルとは別人のようだ。

「会議の報告がひとつ増えそうだな。」

 賢絃が言うには、その遺言は獣人族のものとは全く違い、時の導き人の神殿にそのような力があるとは知らなかったらしい。

 人間族、魔族、エルフ族も同様で、五大国に違う内容が伝わっているとの事だ。

「オガセバル、その情報は我々にとってありがたい事だ。感謝する。」

 ホーリーの感謝にオガセバルは手を振った。

「その感謝は無用だ、我々は既に一心同体。隠す情報もない。あと、ホリレスト、いやホーリーと呼ばせてもらおうか。これからはセバルでいい、敬語では距離を感じる。」

「私も同じだ。これからはスレイでいい。我々からも遺言の情報を渡す。何よりこれから一生を添いとげる伴侶を約束したのだ。共に生きるための情報なら惜しまない。」

 これまでの五大国の亀裂はどんどん無くなっているようだ。

「ありがとう、これからはホーリーと呼んでもらおう。では遺言の情報の後、リフュレスの情報の議題に移る。」


「私の勝利は揺らがぬ、冥王の水晶に映るこの様を早くこの目に焼き付けたい。」

 妖しく輝く水晶。

 そこには息絶えた戦士達の姿があった。

 

 

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