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女神の隠し事


 数週間をかけて、決戦に向けての訓練を積む。

 幾度となく会議を重ね、スキルの共有、連携、役割を各々理解する。

「基本的に攻撃は人間族と魔族が行う。治癒やサポートなどをエルフ族が行い、獣人族、オーガ族は間に入り主にエルフ族の守護、人間族、魔族のサポートとなる。」

 俺が各種族にひっぱりだこの間に、各種族の特徴も教わった。


 人間族は近接戦闘においては、他種族より優れていて、剣や刀、槍などの武器を使い、武器に魔力を付与しての戦闘に長けている。

 ホーリーも剣を使い、ドリグレストは両刃剣を使う。

 ナイトレストはあまり戦闘には参加しないらしいが、刀を使って戦うらしい。

 他種族の印象的には、ホーリーは疾さ、ドリグレストは技、ナイトレストは力と言っていた。

 最初はハテナが浮かんでいたが、対戦してみて理解した。

 ホーリーの攻撃は一撃一撃で仕留めるようなタイプではなく、複数の攻撃で削るタイプ。

 ドリグレストは技の多彩さで相手を翻弄するタイプ。

 ナイトレストは自ら攻撃はあまりせず、1つの隙を一撃で仕留めるタイプ。

 兄弟ということもあり、他種族と協力して3人対3人で戦った時も、何も出来ずに負けた。

 ホーリーが攻撃の起点となり、ドリグレストが隙を作る、その隙をナイトレストから貫かれ、完敗した。

 こちらも実力者ではあるが、容易く分断され、簡単に突破された。


 次に魔族は魔法戦闘に長けている。

 リミュも近接戦闘はできるが、魔法戦闘に関してはホーリーは足元にも及ばないと言っていた。

 今出席している魔族、シルディラス、ネロム、スオルドの3人も基本的には魔法戦闘らしい。

 武王シルディラスは、戦場においての広範囲魔法スキルにおいては現在の魔族でも1.2を争う。

 2つのエクストラスーパースキル『龍閻魔の咆哮』と『麒麟の嘶き』をよく使うらしい。

 『龍閻魔の咆哮』は風が刃に変わり、広範囲の敵を簡単に切り刻む。

 『麒麟の嘶き』は、無数の雷を起こし、その雷は塵となるまで対象者に落ちる。

 その話をしている時他種族は本当にあれは使われたくないと嫌な顔をしていた。

 霊王ネロムは自らの使役する霊を使い、敵を操ったり、罠を張ったりする。

 スキルの詳細は教えてくれなかったが、ホーリーが本当にあれは面倒くさいと言っていて、そのスキルで操られている味方が分からないということや罠が見抜けなくて、対応にずっと追われることもあったらしい。

 剣王スオルドの剣技はホーリーも認める程だが、剣は自らを護るため、相手の弱点を作るために所持しているらしく、基本的には遠距離戦闘の方が得意とのこと。

 『海王リヴァイアの大津波』というエクストラスーパースキルはシルディラスも自分に次ぐというような強さの広範囲魔法スキルで、炎や雷の対策をされたらそれを使うらしく、戦争ではどれを対策すればいいんだと頭を悩ませるらしい。

 スオルド、ネロムの2人で敵を誘い込み、シルディラスもしくはスオルドで掃討する、

 この連携はあまり見られないが、この方法が失敗することも無く、成功した時の他軍は壊滅必至と他種族は言っていた。

 

 次に近接戦闘において、人間族に次ぐ強さなのが獣人族。

 しかし人間族とは少し違って、防御の面では人間族よりも優れている。

 刀王靂時雨の防御はホーリーやナイトレストでも突破できず、魔法攻撃でも簡単に防ぐ。

 ちなみにホーリー、スオルド、オガセバル、靂時雨の4人で5種族の四刃帝(しじんてい)と呼ばれていて、その中で防御に関しては靂時雨が段違いと言われている。

 俺も何度か対戦したことはあるが、攻撃しても攻撃した感覚が無い、降ってきている雨粒を攻撃しようとしているような感覚だった。

 副将軍ビスレイグは攻撃もさるごとながら、回避能力が卓越していて、俺が戦う時は攻撃しようとするが、その行動に移った瞬間に相手は回避行動、反撃行動を始めているため、俺が攻撃の動きを終えた頃には反撃されている。

 速さにおいては、ホーリーに次ぐと言われているが、『未来監視』というエクストラスーパースキルがあり、いくつもの未来を同時に見ていて、その中で最適の行動をするため、ビスレイグとの戦闘では速さは意味をなさないらしい。

 ただそれでも勝率は五分五分のホーリーはどうなってるんだろう。

 次に軍師賢絃、獣人族の防御の強さを1人で数十倍引き上げていると言わしめる実力者。

 『戦場の支配者』というエクストラスーパースキルにより、戦場の風や気運全てを読み、一人一人の兵士が命の危機になった際に陣営に強制帰還される加護が付与されていて、戦争においての被害者は10万人同士の対決でも、500人程度の軽傷がいるぐらいで、賢絃が指示するようになった20年で戦争での死者は出ていない。

 将軍ストレイグは自らで先陣を切るような戦闘狂だが、ストレイグ1人に対して、100人で戦ったらしいが傷1つ付かなかったらしい。

 冷静に考えて女1人に100人ってと思うが、そう思うほどに強いのだろう。

「その時は人間族との戦闘で、スーパースキルやエクストラスーパースキルでの強化状態だから少し怖かったが、3人倒したあたりからは楽しんでいたな。」

 と飄々と言っていた。

 ナイトレストは一応我が国の精鋭達だったと種族の王の強さに少し怯えていた。


 次にオーガ族は近接戦闘や魔法攻撃、防御において全てがバランスよくて、実は戦争においては1番戦いたくない種族と言われている。

 近接戦闘においても、人間族に引けを取らず、魔法戦闘においても魔族と大きな差はない、攻撃に関しても獣人族を脅かす程で、本気になった時にいちばん怖いと言われている。

 ただあまり他種族に共有したくない情報が多いらしく、この終焉の神との戦いが終わってからという約束をした。


 最後にエルフ族は戦争には参加しないので攻撃においては一切強くないが、治癒能力や蘇生能力に優れていて、以前の終焉の神との戦いでは、女神やエルフ族が欠ければ確実に負けると言われた。

 今回もエルフ族の守護に重きを置くようにしている。


「連携力は上がったが、ひとつ不思議なことが起きている。」

 ホーリーが口を開いた。

「我々の情報の流出、並びに作戦の漏洩の件ですね」

 その情報は賢絃、アロリエル、ネロムなどの各種族も理解していた。

「考えたくは無いですが、我々の中に裏切り者或いは、もとより裏切る信頼すらもなく、ただ負けを嘲笑いたい人物がいるのでしょうね。」

 全員が黙る。

 その沈黙は重く、それほどまでに各種族の信頼が深くなっていたことを表していた。

「リレイヤ、どう思う。」

 ホーリーのその問いかけにリレイヤは驚いていた。

「何故私に?」

 あまりこのような場でホーリーは名指しをすることは無い。

 まさか、、、ね

「リレイヤには話していないようですね、冥王リフュレス。」

 次に名が上がったのはリレイヤの姉リフュレス。

「いつから気づいていたの?」

 そのセリフは裏切り者であると自白しているということだ。

 その言葉に狼狽えるリレイヤ、ホピリス。

 各種族でもこのことを知っている人は余りおらず、各種族の判断役だけのようだ。

「全てにおいて、都合が良すぎるのです。あなたとグラディの遭遇、あなたがエルフ族に帰り、冥王に戻るタイミング、我々がエルフ族の元へ許可なく進軍し、あなたがグラディを匿ったこと。全て筒抜けと思える程に、都合が良かった。」

 ホーリーは悔しそうに言っていた。

「ふふ、ならば早くに排斥すべきだったわね。バレている以上、ここにいるのは危険よね。さよなら」

 指を鳴らし、リフュレスは簡単に消えた。

 元からその場に居ないかのように。

 しかし、俺には違和感が残る。

 リレイヤが何も言わないことだ。

「リレイヤ様が何も言わないのに違和感を覚えますが、如何なされた?」

 賢絃も同様の違和感を覚えたようだ。

「私たちエルフ族は此度の終焉の神との戦いを放棄します。」

 その言葉は、実質終焉の神に負けを認めるようなものだった。

 それほどまでにエルフ族は重要であり、大切な存在だった。

 他種族も焦り、憤り、絶望をしていた。

「ちなみに理由を聞いてもいいか?」

 ホーリーだけが冷静だった。

「私は、戦えない。終焉の神を打ち倒すことは出来ない。」

 歯を食いしばりながら、悔しがりながらの言葉だった。

 「終焉の神を打ち倒すということは、グラディを殺すことに繋がる。終焉の神はグラディだから、私は戦えない。」

 その事実はエルフ族、というよりかは、リレイヤ、リフュレスだけに伝わるものだった。

「リフュレスお姉様がリーズィーに与しているのは、先に私たちが負ければグラディが終焉の神として目覚めることは無いから。だから、、、」

 その一言一言は、今のこの円卓に亀裂が入り、大きくなっていく。

「ならば、我々はなぜここにいる。なんの意味があるのだ。なかよしこよしをして、最初は嫌々ながらも話していた。今では五大国は協力し、1つの国となってもいいとさえ思っていたのだぞ!」

 オガセバルは珍しく声を荒らげる。

「まぁまぁ、落ち着いて。1度解散をして、後日もう一度話しましょう。その時にこの円卓が続くかどうかは決まります。」

 ホーリーはなぜこんなに冷静なんだ。

 というか、各連絡役賢絃、アロリエル、ネロムもこうなることが分かっているかのようだ。

 一旦その場は収まり。

 3日後にまた会議をすることになった。

 この亀裂は埋まるのかな、、、

 不安に思いながら床につく。

 夢は皮肉にもみんなで笑っている夢だった。


「リーズィー様、申し訳ありません。私がスパイであることがバレてしまいました。ですが、亀裂ははいり、崩壊寸前です。あなた様の御心のままに。」

 その言葉にリーズィーは歯をぎらつかせ、作戦が成功していることに笑う。

 しかし、冥王の心の内では、手の上で踊るリーズィーがいた。

 

 

 

 

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