告げられる真実
「グラディ、毎日各国から引っ張りだこだな」
その爽やかな笑顔に少しだけ殺意が湧く。
「誰のせいだと思っているんだホーリー」
その言葉に俺じゃないという顔をする。
俺は左手で握りこぶしを作っていた。
会議の後から、魔族やオーガ族、獣人族からスキルを見たい、対決をしてみたいと何度もせがまれていて、全てを受け入れていたら、2日経っていた。
その2日間、睡眠はほとんどとっていなかった
しかし、ただ振り回されていただけではなく、しっかりとスキルの習得や進化もしていた。
会議の時は10種だったスーパースキルが、今では倍に増えた。
ホーリーの言う通り、他国のスキルや剣技は様々なものがあり、疲れはするが確実に無駄にはならない。
もはや今では疲れよりも先にどのようなスキルを得られるのだろうという興味が勝る。
次は誰だろう。
ワクワクしながら呼ぶ声を待つ。
「グラディ、少し身体を使いすぎよ。皆さんには話を通してるから休みなさい」
リフュレスからの制止の声が入る。
そんなに疲れてないのになぁ、と思いながら用意されてるベッドに行くと、気絶したように寝てしまった。
『お母さん、お父さんどこ?』
泣きながら親を探す1人の幼い子供。
その泣いている場所は人間族の街に似ている。
『大丈夫?』
そう声をかける2人の子供。
左右の肩に手を置いて、泣いている子供は少し安堵する。
ふたりの子供は、勇者ホリレスト、魔王リミュオーバに似ている。
2人は泣いている子供に手を差し伸べ、泣いている子供は次第に笑顔になっていく。
3人で笑いながら親を探す。
手を繋いで、笑顔で歩く。
『君のお父さんとお母さんはどんな人?』
ホリレストに似た子供が問いかけた。
『誰よりも...な人!』
大きな声で言うが、どんな人かは分からない。
3人で歩いて、距離が長くなるにつれて周りは暗くなる。
いつしか、3人しか見えなくなり、遠くに白い光がふたつ見えた。
『あっ、お母さんとお父さんだ!2人ともいたよ!』
嬉しそうに報告するが、既に勇者と魔王に似た子供はいなかった。
そして、白い光も消えて、全てが闇に染まった。
『グラディ、助けてくれ』
魔王リミュオーバの声が聞こえてくる。
子供はグラディの姿に成長した。
グラディはその声に向かい走り出す、吐息の中にリミュの無事を祈りながら名前を呼ぶ。
『リミュ、リミュ無事でいてくれ』
リミュは管に繋がれ、異形化していく姿があった。
大粒の涙をこぼし、グラディは無力を嘆いた。
グラディの肩に白い光を放つ大人の手が2つ。
『お母さん、お父さん?』
その2人は空いている手をリミュに向ける。
リミュの苦しみは瞬く間に癒え、姿は戻り、管は消えて、ふわふわと地上に降りる。
リミュは左手をグラディに差し出す。
グラディは強く握りこみ、手の甲に雫がひとつ、ふたつ、と落ちる。
『グラディ、ありが』
その言葉を聞き終わる前に、僕は覚醒した。
頬を涙が伝っていた。
睡眠室の扉が開く。
「グラディ、起きた?ってどうしたの!?」
リレイヤが涙を流すグラディを見て驚く。
夢の内容をリレイヤに話す。
「もしかしたら、思い出なのかもね」
リレイヤの言う通り、俺も過去の出来事なのではないかと思っている。
景色や、その出来事の全てに既視感があったからだ。
もしかしたらずっと前から、ホーリーとリミュにあっていたのかも。
そういえば、母さんと父さんは2人を知っていたような。
「あなたのお母様はとても美しく、強かったわ」
リレイヤは天井を見ながら、思い出しながら話す。
「私たち種族の王はあなたの両親に育てられたようなものよ、いつ話そうか迷ってたんだけどね」
そして、リレイヤはとある部屋に案内してくれた。
そこには2人の男女の銅像があった。
「ここは、時の導き人の神殿。これがあなたの両親、エンディア様とスティリア様よ。あなたが産まれたのは15年前、でもあなたの命自体は過去に終焉の神が復活した、400年前に産まれ、時の導き人と呼ばれたエンディア様とスティリア様は15年前にあなたを移動した。その話はずっと五種族の王に語り継がれていた。それが、2人の遺言だったから。」
その話は俺は全く知らなかった。
「その語り継がれた時の導き人が遺した宝、グラディバスディアを五種族の王の命を賭けてでも護るというのもずっと語り継がれ、その為に我らは何度も会議を重ね、平和への道を進んだ。」
後ろからストレイグ、オガセバル、ホーリーが歩いてきた。
「俺が勇者を引き継いだのは5年前、その二年前にリミュと共に泣いている子供と共に歩いた。その子供がグラディとは知らなかったけどね。グラディがエンディア様とスティリア様の息子であると知ったのは3年前だよ。」
「我らオーガ族も元は人間やエルフ族とは敵対していたが、エンディア様からは敵対していては終焉の神には勝てないと言われた。その2人の圧倒的な力でさえ、終焉の神を一時期の封印しか出来なかった。その強さは我々種族の王は痛いほどわかっている。勝てないという言葉は疑うことはなかった。しかし、話しているうちに人間族の優しさ、エルフ族の優しさを感じ、今では住居や服などの細かい作業が必要なものは人間族に、果物や織物などはエルフ族から貰っている、代わりに我々は娯楽や労働力を渡しているのだ。最初は我が国を守るためとはいえ、今では有難い国交だ。」
その話を聞いているのかは分からないが、2人の銅像が輝いているように見えた。
「ふたりが笑ってる」
俺がそう言うと、その場は笑いに包まれた。
その時は紛れもなく平和でしかなかった。
「終焉の神との戦いの鍵はグラディだ、まだまだ強くなってくれ」
ホーリーは笑い涙を拭いながらそう言った。
その言葉に僕は気合いを入れ直す。
「何故だ、リミュの強さの上昇が止まっている。なぜ何も思い通りに行かないのだ」
そう癇癪を起こし暴れるリーズィー。
最終決戦は近い。




