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チートとは

「魔王!今日こそ覚悟しろ!!」

 そう言って一人の青年は魔王に飛びかかる。

「勇者よ、今日も楽しませろよ!」

 魔王と名乗る青年の右手に紫の野球ボール程のサイズの魔力が集まる。

 それを、勇者に向けて放つ。

 その魔力は、その小ささからは想像できないような威力で爆発した。

 戦っていた魔王城から、付近の土地は全て消え去り、地面には特大のクレーター。

「痛た、こんにゃろう!」

 勇者は持っている剣を振り下ろす。

 閃光がほとばしり、天地を真っ二つにする。

「あのー、ジルラギルさん、これってなんなんですか」

 それを見ている一人の少年と、それを護っている青年。

「アホどもの喧嘩だ」

 その二人の目の前にはいつ世界が終わってもおかしくないと思えるような戦いが繰り広げられている。

 勇者と魔王とはいえ、呆れるような戦いだ。

 だが、この二人は無傷で観戦している。

 ジルラギルのノーマルスキル「魔力無効シールド」のおかげで、魔力を含めた攻撃は全て無効化、物理的な攻撃も、コモンスキル「物理消滅」により無効化されている。

 何度聞いても、この2つがスキルの中では下位スキルにあたるのが意味わからない。

 この世界には7段階のスキルがある。

 誰でも持っているようなスキル、コモンスキル

 少し修行すれば習得できるスキル、ノーマルスキル

 努力さえすれば習得できるスキル、スーパースキル

 ノーマルスキルを極めた時に習得できるスキル、エクストラノーマルスキル

 スーパースキルを極めた時に習得できるスキル、エクストラスーパースキル

 スキルが上位に進化する時にごく稀に起きる進化スキル、バーストスキル

 種族の王である五体が習得できる、グランドスキル

 うん、なんと安直なネーミング。

 ネーミングにも突っ込みたいが、物理無効という強スキルっぽいのは誰でも持っているような雑魚スキル。

 魔法が使える世界なのに多少修行すれば習得できる魔力無効シールドという雑魚スキル。

 そして今目の前で起きている戦いはスーパースキルが適当に放たれている。

 いや、スーパースキルと言えども相当抑えているからコモンスキルレベルには下がってるんだけど、それでも世界壊しそうで怖い。

「このアホ共はどうやったら止まるのかね」

 ため息をつきながらジルラギルさんは二人を見ている。

「グラディ、止めてみるか?」

 いやいやいやジルラギルさん何を言ってんですか。

 俺が勇者と魔王を止めれるわけがないでしょう。

「お前のスーパースキルの「タイムブレイカー」があれば止めれるさ。」

 まだ習得して一週間なんだけどな。

 まぁやってみるか。

 俺は、タイムブレイカーを発動する。

 周りがピシッと止まり、今まで話していたジルラギルさんも、目の前で激戦を繰り広げている魔王と勇者も止まっている。

 勇者に関しては空中で殴り掛かる体勢で止まっていた。

 そして、これだけだとノーマルスキルの「タイムストップ」と一緒だ。

 タイムブレイカーたる所以は、時を操作することにある。

 時を戻す、または進める。

 とりあえず、壊れた場所を修復したいし、時を戻すか。

 時を戻すには指を反時計回りに回すだけ。

 そうすると、どんどん勇者魔王が動き、壊れた場所が修復されていく。

 チートスキルの使い手が多いから、死者は恐らく0に近いだろうけど、さすがにやりすぎなんだよな。

 最初に相対した瞬間に戻る。

 パチンと指を鳴らす。

 これが解除の方法だ。

 魔王と勇者は時が動き始めハッとして見つめ合う。

「もう一回やるぞ!」

 そう言った瞬間勇者の頭にジルラギルさんの重たいげんこつが入った。

「アホ!このまま行けば世界が壊れるわ!」

 勇者とはと勝手に世界に問いかけていた。

「ブー、まだやりたかったのに」

 本当に魔王かあんた。

 子供のように不貞腐れる魔王。

 まぁ正しく言えば魔物の王なだけであって邪悪な魔王とかみたいな存在ではない。

 この世界には魔族の王である魔王、人間族の英雄勇者、エルフ族を統べる女神、オーガ族を統率する皇帝、獣を使役する将軍の五体が世界を護っている。

 その種族が敵対することはほぼなく、この世界は平和そのものだ。

 まぁじゃなかったら勇者と魔王がこんなことしないんだけど。

 しかし、この世界に伝わる予言がある。

「この世界が目覚め444度目の死の刻を告げた時、闇の門開き、笑顔は全て終える。闇を統べし、終焉の神が高らかに笑い、世界は消滅する。終焉の神、打ち倒せる者魔勇将皇神(まゆうしょうおうしん)が共に目覚めねば終焉を止めるものは居ない」

 そして、その444度目の死の刻と言われているのが、わずか1年後の事だ。

 魔勇将皇神ってただ単に五種族のトップの名前ちょっとずつとっただけだよなぁ。

 一応、その終焉に少しでも抵抗できるように力あるものを集めているらしい。

 そのうちの一人が俺。

 グラディバスディア、通称グラディ。

 スーパースキルを1つだけ持っている。

 バーストスキルとか覚えないと抵抗できなさそうだけどなぁ。

 戦う場合速攻でやられそうとか思いながら、ジルラギルさんや勇者と呼ばれるホリレストと一緒に修行している。

 ホリレストと呼び捨てで呼んでいるのは、俺の幼馴染だから。

 ちなみに魔王も幼馴染で、リミュオーバという名前だ。

 幼馴染でよく3人で遊んでいたが、俺だけなんの才能もなかった。

 それでもずっと仲良くしてくれた。

 この2人を護る使い捨ての盾にならなれるかな。

 いざとなれば自らの命を捨ててでもこの2人を護る、そう思いながら、言い合いをする2人を見ていた。

「とりあえず今日会議なんだよなぁ、めんどくせ。ホーリーどうする?」

 この2人は種族を統べるもの。

 終焉の神に対抗すべく毎日のように会議が行われている。

「リミュがサボるんなら俺もサボろうかな」

「おっホーリーサボる?じゃあ俺も」

 と言ったところで2人の頭にまた思いゲンコツが入った。

 たんこぶが膨らみ、2人の目には涙が浮かんでいた。

「サボらせるわけが無いだろう、寝ててもいいから出席しろ!」

 さすがジルラギルさん、一撃が重い。

 俺は喰らいたくないなと心の中でつぶやき。

 2人に頑張れとエールを送った。


「さて、今日も会議だ。一つだけ我らビースティア国からの情報だ。リーズィーという終焉の神の手先がいるらしい。そいつは何者かは分からんが、いつどこにいるか分からない。注意しておけ、あとそこのガキ2人を起こせ」


 俺が知ることは無い会議。

 俺は少しでも強くなるためにしたスキルの授業をしていた。

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