3月?日 復讐
僕はタイシの父とタイシが戦っているその場所に近づく。
「おいおい、なんでお前さんがいく必要があるんや
せっかく巻き込まれそうになってたとこを助けたっちゅーに」
しかしスザクさんに止められてしまった。
それでも、僕の決意は揺らがない
「ここで彼を助けなかったら、僕が彼の友達である理由がありません。」
そう心から思っている。
友達のためなら、それ以上の理由はいらない
「せやからって、アイツの強さ見たやろ!?
俺でも勝てる気がせえへんってのに...」
僕はただ、スザクさんを見つめる
そんな僕のまっすぐな姿勢を感じたのか、スザクさんは言葉を詰まらせ、そして何かを思い出すような顔をした。
まるで僕と誰かを照らし合わせて、その人のことを思い出しているような、そんな表情だった。
「お前はアイツと一緒なんやな。
どこまでも純粋で、他人のために動く時は理由も見返りも求めない。そんな人間。」
しかし、それでもスザクさんは迷っている様子だ。
だけど、少し考えて結論を出したらしい
スザクさんはポケットから何かを取り出すと...
「...これ、持ってけ」
僕に手渡した。
それは柱だった
「これはシャクスの柱や、使えば相手の視覚と聴覚を奪うことができる。」
「...これを僕に?どうしてですか?」
「...命の恩人に恩返ししよと思てな。」
「だからってこんな重要な物...」
「気に入ったんや。お前さんのことがな。
自分のお気に入りを応援するのは不自然か?
お前さんだって友達っちゅうお気に入りを助けようとしてるんやろ?ならなにも問題はないはずや」
そう言われたら反論する余地はない
「ほら行きや、アイツのことをぶん殴ってやれや」
僕はまた、二人に向かってかけだした
すると二人はこちらに気づいたようで、一度動きを止めた。
タイシの父も動きを止めたのを見てタイシが一度こちらに駆け寄る。
「ヤワラ。すまねぇがこれは俺の問題だ。
俺のことは置いて、先に二人と脱出してくれ。
なぁに、俺ならここが崩れたところで生きてるってヤワラも信じてくれるだろ?」
タイシの言葉に嘘"は"ない。
「そうだね。タイシは"建物の崩壊"には耐えれるはず。だけど、"その人と戦う"選択をすればどうなるかわからないよね。だから...」
「何もしらねぇお前が口を出すな。
これは俺だけの問題じゃねぇんだ。」
「スズネと...タイシの母親。でしょ?」
「...は?俺はヤワラにそれを話した記憶は...」
「...僕はタイシの記憶を見たんだ。」
その言葉にタイシの父は少し眉をひそめ、
タイシは苦虫を噛み潰したような顔をした。タイシは自分の問題に人を巻き込んでしまうことを何より嫌う。
彼は「大人(一人の自立した人間)」になりたがっているから。
初めて出会った時もそうだった。
そんな彼でも、いやだからこそ。
関係がないと言われても、彼には他人を頼ることを知ってほしい。
そしてこれは僕なりの彼への報復でもある。
こんなことを僕らに黙ってたことのだ。
「それでも、俺は一人でアイツに勝たなきゃならねぇ!記憶を見たぐらいでお前が介入していいわけ...」
「それは意地?とても冷静な人間の言うことじゃないね。タイシが望んだ人物像ってそんなものなの?」
「っ...!」
「違うでしょ?なら証明しようよ。自分は他人を無下にするどころか理由さえあれば殺してしまうような奴とは違うって!」
タイシは、母を殺し自分と妹を見捨てた父のことが憎くてそんな奴にはならないと、"大人"になりたがってた。なら彼から救われる方法は、僕がタイシという人間を証明することだ。
「...そうだな。
ヤワラ、協力してくれるか?」
「もちろん!
じゃあいくよ!」
僕は柱を強く握って、タイシの父に向けて掲げた
するとタイシの父は一瞬狼狽えた
「視界が...いや聴覚もか。奪われてる。」
タイシの父が歴戦の猛者なら五感のうち二つを奪われても、すぐに対応してくる可能性はある。
なら...
「速戦即決だよ!」
「おう!」
その前に決め切る!
二人でタイシの父を思い切り殴った。
そして僕は、そんなタイシの父の記憶の中に来た。
「記憶を見れば、コイツの弱点がわかるかもしれない。
それに...」
昔のタイシの父を見下げながら考えた。
「もしかしたら...なにか見えてくるかもしれないから」




