3月?日 因縁
スザクさんが僕らに協力してくれることになった
僕らもスザクさんを信用して、タイシの能力の共有に入れることにした
「コレだけ逃げれば、とりあえずは大丈夫かしら」
ルルアはそう言いながら遺跡の床にへたり込んだ
大分走ってきたし、僕もかなりへとへとだ
ルルアと一緒に座り込む。
タイシとスザクさんはまだ体力が余っているらしく
共有で使える能力を試してみるようだ
「あーだめだ。やっぱ能力の使い方ってわかんねー」
タイシが弱音を吐いた
「変に力まずに普通に使おうと思えば使えるよ」
僕がアドバイスをしようとするが、スザクさんが首を横にふる
「いやぁ、他人の能力を使うってのは結構難しいんやで?ヤワラが簡単に出来て、そこまで使いこなせとるのは普通に才能や」
そうなんだ、なんとなく自分にちょっと自信が持てるようになったかも
「ま、それでもタイシがどーしても能力を使いたいっちゅーなら俺の空中ジャンプの使う時の感覚くらいはレクチャーできるで」
「おお、じゃあおしえてくれ!」
「まず自分の体重が軽くなるイメージをするんや、
したら一回思いっきりジャンプしてみぃ」
タイシは言われた通りに目を閉じてイメージをした後に、思いっきりジャンプをした
すると、タイシはその勢いで頭が天井に刺さった
「あっ、元々の身体能力が高すぎて能力を使ったら過剰になってもうたんやわ」
スザクさんはあちゃあ〜と言う顔をした
タイシは自分で突き刺さった頭を抜いて床に着地した
「能力は使えとるから次やな。
飛び上がる高さを調整して天井に当たらんようにしながら、空中で横の壁を蹴るイメージをするんや
そしたら真横にジャンプすることができるはずやで」
タイシはジャンプして、空中を蹴った。
そして真横にジャンプした、成功だ。
なんか見る限り、身体能力は無くても体が軽くなるからある程度なんとかなりそうだけど
体幹とかセンスとかも重要になってきそうな感じがして僕には当分使えなさそうだった。
ミスをしたら頭から地面に勢いよくいきそうだし
「うお、すげぇ!楽しい!」
タイシは空中ジャンプと自分の身体能力を活かして
高速で移動するのを楽しんでいた
「タイシー?戻ってきてー?」
どんどん遠くにいくタイシに僕は声をかけようとするけど、その声はタイシには届かない
「仕方ないわね。結構休めはしたからタイシを追いかけるわよ」
三人はタイシを追いながら更に奥へ進んでいく
遠くに行ったと思われたタイシだったが、
案外近くで止まっていた
「おーいタイシー、一人で先に行かないでよー」
僕はタイシに話しかけたがタイシは僕らの方には振り向かず、こちらに背を向けて目の前を見てつぶやいた
「...どうして、お前がここに...」
タイシの奥には大柄な男がいて
その男は首からぼろぼろのネックレスをしていた。
僕はその男にどこか見覚えがあったが、生憎覚え出せそうに無い
タイシは酷くその男を警戒していた
「タイシ...か?」
その男もタイシを認識した
どうやら知り合い同士のようだ
「・・・」
「・・・」
どちらも黙りこくっている。
タイシの目は相手を睨みつけていて
男の目は死んでいるように見えた
ようやく男の方が喋り出す
「...父親として、ここで何を話せばいいか
俺には分からないんだ」
父親!?
タイシとスズネの親族については何にも知らなかったけど、こんなところで会うなんて...
「今更父親ヅラするんじゃねぇ!
俺が...俺が!お前を!どれだけ!
恨んでると思ってんだ!」
タイシが怒りを露わにする
「俺には、ああするしかなかったんだ」
「何が『ああするしかなかった』だ!
自分で考えることをしない、殺人道具のくせに!」
「...そうだ、俺は道具だ。
道具でしか無いんだ...
でも、よかった。
タイシが道具でなく、友達がちゃんといて」
「だから父親ヅラすんなっていったろうが!」
「お前が元気なら、スズネも元気なんだろう。
安心したよ」
タイシの父らしき人はタイシの話が聞こえていないようだった
タイシはついに堪忍袋の緒が切れて
父らしき人になぐりかかる
空中ジャンプを駆使して、高速で接近してその勢いそのままに殴りつける。
常人なら直撃で死んでしまう威力だ
しかし、男はそれを軽々受け止める
その後何度もタイシは攻撃を繰り出すが、全て見切られてしまう。
タイシの攻撃を全て凌いだ男だったが、こちらを攻撃する意思はないようだ。
いったい、二人の間にどんな出来事があったのだろうか。
「タイシ!その人は攻撃する意思はないみたいだよ!
一回話し合ってみよ!」
そう声をかけてもタイシに届かないので、
僕は巻き込まれる覚悟をもってタイシに駆け寄った
そして、タイシの体に触れたその瞬間...
景色が変わった。
さっきまでの遺跡とは違い
住宅街のようなところで、時間帯は夜。
...体がふわふわして夢を見ているような感覚がする。
目の前には、まだ小さくて8歳くらいのタイシと6歳くらいのスズネ。
それと二人の母親らしき女性。
声をかけようとしたが声が出ない。
さっきのふわふわ感と合わさって、幽霊になったみたいだ。
そして、その瞬間に気がついた。
これは、タイシの記憶なのだと。




