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五回目の天国  作者: マルキ
3章 遺跡
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3月?日 真実

「ウチの能力について話したるわ」


ダリアさんがそう言うと両手を耳の横まで上げて

パパンと鳴らした


すると一瞬だけ、僕らの動きが止まった


「これは...?」


「この能力は人の動きを一瞬とめて、

物の動いてる速度を0にするっちゅーもんや

試しにそこの小さい瓦礫でも投げてみてや」


瓦礫を拾って前に投げると、まあダリアさんは

パパンと両手を鳴らした

すると瓦礫はその一瞬から前には進まなくなり、

ただそのまま地面に落ちていった」


すごい!この能力は強そうだ。

そう思っていると、何やらルルアが

またしかめっつらをしていた

脅威だと思っているんだろうか


「どう?すごいやろ」


ダリアさんは満足げだ


そこからしばらく歩いていると...


「お前をぉ...殺ぉす!」


突然、目の血走った男が後ろから叫んでいた

振り向くと最初に僕が倒した男だった


男はそのまま僕におそいかかろうとしていたが

その瞬間、ダリアさんはパパンとまた手を鳴らした

そして相手の動きと同時に...


男の首が吹き飛んだ


「あら、やりすぎてしもた。

どないしても穢らわしいのがにがてなんやわぁ。」


タイシはダリアさんのその行動からすぐに戦闘態勢をとる


「なんでそんな簡単に人を殺せるんだ!」


僕はタイシの興奮を抑えようと声をかける


「ここは夢の中だから、死んでも大丈夫...な、はずだよ?」


スザクさんも近寄って諭す


「せや、ここは夢の中やからな」


「・・・」


ルルアはずっと黙っている


「夢の中?何言ってんだ?

夢だったらなんでルルアは自分の傷を治せないんだよ。なんで夢の中で人が死ぬんだよ。」


タイシの言葉を受けて僕は考える


確かに、自由に武器を出せる割に

傷つけられたらそれを治せないのはおかしい

でもじゃあ、自由に武器が出せるのはどう説明すれば...


色々思考を巡らせているとルルアが僕とタイシに耳打ちした


「タイシ、今すぐ横のヒビの入った壁を殴って。

天井が崩れるようにね、それでこの場から逃げるわよ。

『なんで』とかはいいからとりあえず私に従って、お願いだから」


タイシは躊躇ったが言われるがままに壁を殴る

すると天井は崩れ、狭い通路に瓦礫が降ってきて

こちらの三人とあちらの三人で分断される。


しかし、スザクさんはその一瞬に

空中ジャンプを使って

天井の崩れるギリギリこっちにきていた


「なんのつもりや?」


スザクさんの表情は険しかったが、ルルアはそれに気にも留めない様子だった


「なるべく遠くに逃げるわよ!

説明なら逃げてる途中にするから。


アンタも走りなさい!」


ルルアさんは僕とスザクさんの腕を掴んで走り出した


「ちょいちょいちょい!

ほんまになんのつもりやねん!

何が目的か知らんけど、少なくとも俺を連れてく必要はないやろ?」


スザクさんはルルアに手を引かれながら問いかける


「あなた、あのままあの二人といたら死んでたわよ」


ルルアが恐ろしいことを言い出す


「そんなわけあるかい、俺と姐さんは...」


「人の話を最後まで聞きなさい!」


スザクさんが言い返そうとしていたが、ルルアがその言葉を遮った


「いい?とりあえず状況から説明していくわ

まず、ここは夢の中なんかじゃない。

限りなくそうだと思わせるように作られた現実よ。

私たちはそんな空間に"転移"させられていたの

この空間に入った人がほぼ全員夢の中だと錯覚したのは、実際に夢を見せる能力が存在するから。

しかもその集団転移が起こった元の場所は軍事国家の軍の建物だった。

軍人は全ての能力を、概要だけでも頭に入れておく義務がある。その能力を知っていたからこそ、騙されやすかったわけね。」


ルルアは話を続ける


「そしてダリアとカルミアって名乗ったあの二人は、おそらくこの擬似夢の協力者よ」


「なんでそれが言い切れんねん」


スザクさんが切り込んでくる


「そうね、理由としては

私がその二人の名前を知らなかったってこと」


「は?」


スザクさんが何か言おうとしかけて、やめた。


「私は人の名前を、何人でも顔と一致させて

覚えていることができるの。

私は探偵をやっているんだけど、

探偵として名簿を見せてもらったから

軍事国家にいる人の名前は全員わかるの。

スザク、あなたは対ゾンビ委員会の役員ね?」


「当たっとる...

しかも確かに姐さんたちは今は軍事国家にいる予定ではなかったはずや」


「そう、それはつまりこの擬似夢空間に

転移させられる前からいた可能性が高いわけね

この崩壊寸前の遺跡にあの少しだけ時間を止める能力で足止めして、転移者を皆殺しにするために」


「いやいや、確かに当たったったけど!

それでも俺は姐さん達よりアンタらを信じることなんかできひんよ?」


「一つ、聞きたいのだけれど。

あなたが目が覚めた時はどんな状況だった?」


「目が覚めたとき?

目の前に姐さん達がおって、ちょっと歩いたら

俺の弟のゲンがいたな」


「こんな大規模な転移をされてるのに

自分に近しい人が一人くらいなら偶然で済まされるとして

そんな近くに三人もそんな人がいるのは不自然じゃない?」


「・・・」


「それと...これ。

その、ゲンって人の遺品」


「...は?」


「多分、ゾンビのウイルスで亡くなってた。

この子達から教えてもらったんだけど

ウイルスの変異種は人間が感染したときに

体が破裂するのは変わらないけど

その時に、ゾンビと同じような性質を持った

黒いなにかが体から出てくるらしいの。


私たちが来た頃には、

その黒いなにかと私の見つけた遺品しかなかったわ」


「はぐれただけやと思っとったのに...」


スザクさんはしばらく悲しみに暮れていた。

そこからかなり走った後


「俺も君らに協力するわ。

...今はとりあえずここから出ることを考えなきゃいかんしな」

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