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五回目の天国 (能力ものの冒険もの)  作者: マルキ
1章 記憶喪失〜仲間加入
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3月5日 ウイルス

「まああんなこと言った手前あれだけど

能力ゲットするには準備がいるからなぁ」


イロンさんが呟く


能力を得るためにはこの付近山の山頂にある

赤い泉の水を飲む必要があるらしい

その前に俺らはエレベーターに乗せられていた


一度外に出て街を一望した感じだと、

窓から外を見た時と同じく

全ての家が木造であまり発展した文明を感じない

雰囲気だったが

まさかエレベーターがあるとは驚きだ


「前よりはマシだが

今、世界は大変なことになってる。


世界中にはウイルスが蔓延しててな

人間以外の動物間で空気感染してるんだ

ここはそのためのシェルターよ」


イロンさんが説明してくれる


ウイルス?人間に感染しないなら特段気にする必要はあるのか?


いやでもウイルスは突然変異によって急に

人間に牙を向くケースもある油断はできない。


でも、それなら今からシェルターを造るほどの問題

になるのか?それとも動物の致死率が高いから

動植物を保存・保護なんかをするためなのか?


「ん?ヒサト、何か引っかかってるのか?」


「あ、いや、そのウイルスってどんなウイルス

なのかなぁーって思ってて。」


「ああ、原因不明のウイルスでな

罹った動物は凶暴化する、そして人間を襲うんだ」


そんなファンタジーみたいな...

いや能力もファンタジーだったわ


「それだけでも厄介なんだが人間も血液に

ウイルスが混入すると人間は即死する」


「それじゃ凶暴化した動物に噛まれたらしたら

イチコロってわけですか!?」


「そうだな」


イロンさんが俺の言葉を肯定する


「...えげつねぇな。」


タイシがつぶやいた


恐ろしい、それなら万が一に備えてシェルターを造るのも納得だ


「そのゾンビに対抗するために発足したのが

対ゾンビ委員会だ。


...ここら辺についても詳しく話しとくか

まず、組織の種類についてだ


『委員会』

公的な力が強くて基本一国に一支部はある組織だ。

具体的な例としてはさっき話した

対ゾンビ委員会、対人委員会、対異常現象委員会とかがある。

その中でも色んな課があって

対ゾンビ委員会だったら分析課と鎮圧課

対人委員会だったら一般課と能力課

といった感じだ。

対異常現象委員会については、重要な委員会ではあるんだが、調べていくと人の能力が原因が多いから

対人委員会に仕事が回ることが多いな。

そのせいでほとんどオカルトチックな委員会になってるんだがな


『会社』『企業』『その他』

名称は知ってるだろうがお前らの中央国出身とは

認識が違うはずだ。


まず『その他』は様々な種類があって

『グループ』や『協会』という呼称もあるが

委員会に認められていない個人的な組織だ。

規模が小さいことや福利厚生が足りていないことが多い。

単純に申請をしていない場合もあるが...


次に『会社』は委員会に認められていて互いに深い協力関係にある組織だ。

会社は委員会の一部業務を担うことがあるが、

その分委員会の多額の支援を受けることができる。


最後に『企業』は委員会に認められているが、

深い協力関係にはない組織だ。

大抵は委員会の業務に関係のない組織だが

認められた以上、最低限の支援はされ、

一応稀に委員会から仕事が課せられることがある。

そして会社みたいに委員会がしっかり管理してるわけじゃないから、表の業務と裏の業務が異なる場合もある。

実際、企業がある大規模な事件を起こしたケースもあるんだが...これはいいか。


まぁこんな話はいい。ゾンビの詳細について...


あ、着いちまったか、

続きはその対ゾンビ委員会支部の建物中で話すぞ」


エレベーターの着いた先は街だった

とても広い地下の街。

何軒も並ぶ家、道を通る人々が目に入る

しかし普通の街と違い、

道路も街の果ての壁も鉄でできているような見た目

人工で光源が提供されているような太陽がある。


「広っ」


「これは...すごいね」


「こりゃ予想以上だな」


思わず三人とも声に出る

シェルターと聞いて街サイズの広さを

想像できる奴なんていない

て言うか上の街より広いし人口も多そうだぞこれ


「何呆けてんだ、行くぞ」


今の衝撃でイロンさんの話を忘れるところだった

いや、イロンさんの話も衝撃なんだけど

やっぱり実際に見た方の衝撃が勝っちゃう。


イロンさんに連れられてその対ゾンビ委員会支部

の建物の前に来た


「これがさっき言ってた対ゾンビ委員会ってとこか。

めっちゃでけえ建物だな」


タイシが感想を口にする


確かに、この町の中でも一番の大きさだ。


「そうだね、まぁさっきのゾンビの概要からしても

深刻な問題だし、これくらいはあって然るべきじゃない?」


ヤワラの言葉に俺も納得する


一つの部屋を借りて

その部屋の椅子に俺ら三人は腰掛ける


「さて、ゾンビについて基本的な

情報を大きく四つに分けて話しておこう


一つ目は人間という本当に特定の一種類の生物

にのみ空気感染しないと言うこと。

体液感染はするがな。


二つ目はその感染した人間は10秒経ったのち

全身が破裂し、跡形も残さず死ぬという

ウイルスが起こすとしては異常な症状。


三つ目は感染した動物のなかでウイルスとしても

異常な早さでウイルスが増殖していること。


四つ目は凶暴化した動物は人間しか襲わないこと。」


ちなみにさっきからタイシが眠そうにしている

アイツは人の長い話を聞くのが得意じゃない。


ヤワラは話をちゃんと聞いているが

あまりに現実離れした内容に

理解しかねているようだった


俺も話を聞くだけじゃあ具体的なビジョンは

見えてきてないし

現実感もない。


まぁ、現実感は記憶を三人同時に失った

時点で割ともうなかったけど。


「そんなゾンビはこの地域でよく発生する

その脅威から住民を守るために俺の兄貴が

このシェルターをつくったんだ」


「その「兄貴」ってのは誰ですか?」


俺が質問する


「ああ、言ってなかったな、俺の兄はあの子供に

なっちまったゴルディーだよ。


四人兄弟でな、一番上がゴルディー

次がシルヴィー、隣の国にいて

最近連絡がついていない

アイツは元軍人だから

よっぽどのことがないと死なないし、

あんまり心配はしてない。


次がコッペラ、コイツは小さな頃にいなくなった

みんなもう死んでると思って忘れてるが、

俺はコッペラは俺の兄だとずっと覚えてる


そして一番下は俺ってわけだ

ごめん、いらんことも言った気がするな」


「いいですよ、遠慮しないで下さい」


ヤワラが返事をした


その会話が終わるか終わらないくらいに

若い人の声が聞こえる


「やぁ、今回のご指名は何用で?ボス?」


20代前半くらいに見える男が部屋に入ってくる


「それっぽいことを言いたいからって適当言うなよ

友人のよしみで呼んだだけだろ」


イロンさんはコレまでの俺らへの誠実な態度と

異なってその男に悪態をついた


「おや、俺の実力は買ってくれていないのかな?」


しかし、男はどことなくキザな雰囲気を醸し出していた


「実力だけは買ってるさ

対ゾンビ委員会TOP3に入っていて

この地域じゃあNo.1の強さを誇ってる実力だけはな

でも信頼はしてないぞ。


そもそも、おまえの部隊は遠征に行ってるだろ、

何を当然のようにサボってるんだ。」


イロンさんは目の前の男に叱責した後、こちらに向き直る


「ああ、すまない。

遠征にさえ行ってなければコイツより信用できる

適任がいたんだが...

許してくれ、さっきも言ったが実力だけは確かだ」


イロンさんはこちらに謝罪する


「あの部隊の皆は俺のこと嫌っている

そんなやつら遠征に行くメリットなんて俺には考えつかないがね。」


「それはお前が部下と信頼関係を

作ろうとしてないからだろ!


仕事もあんまりしない、信頼もできない

その癖実力だけは確かな

上司なんて目の上のたんこぶでしかないんだよ!」


「ならさっさと俺のことを解雇したらどうだい?

俺はそれで清々する。」


「ちっ、コイツ...」


その男はこちらを向く


「おや、緊張させてしまったかな?

なに、特別因縁のない君らにわざわざ悪態をつくような真似はしないさ。」


「よろしくお願いします...」


ヤワラはその態度が苦手なのか

少したじろいていた


「はぁ、この調子では警戒を解いてもらうのは難しそうだな。

やはり、人前であからさまな態度を取るのは良くないと反省しておくことにしよう。


そうだ、自己紹介がまだだったな

俺はリュウだ」


リュウさんが名乗ったのでこちらも

一人一人自己紹介していく


「ヒサトです」


「ヤワラっていいます。」


「タメ語でもいいか?俺はタイシだ」


「ああ、構わない。むしろその方が俺的には話しやすい。」


タメ語でいいんだ。

でもちょっと苦手なタイプだから

敬語使っちゃいそうだなぁ。


「今日はとりあえずの顔合わせだ、今からは明日の登山のため準備するぞ」

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