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五回目の天国  作者: マルキ
2.5章 港町〜軍事国家
39/53

3月18日 船出

今、僕たちは大きめの船に乗っている

この船は一代目が港町に先に来て

先に手配を済ませてくれていたものだった。


結局、一代目をあれ以上問い詰めても

なぜ能力を放棄したかは

「俺に託したかったから」

としか言わなかった。





子供組は僕とタイシとヒサト以外

船酔いでダウンしている

船酔いをしなかった僕らはデッキで雑談をする



「そういえばさ、

この船の水夫を見てても思うけど

僕らと同年代の子ども多いよね」


ヒサトが何かを考えながら言葉を口にする


「そうだね。

俺らの学校の同級生も多いし

国単位で見ても現代のカンブリア爆発

って言われるくらいには人が多い世代だし...


...うぷっ」


「大丈夫!?ほらエチケット袋!」


ヒサトもダメみたいだ。

ヒサトの肩をもち、船内へ運んだ


その後タイシと雑談を続ける


「しかもその現代のカンブリア爆発って

呼ばれてる理由は優秀なヤツらが多いことにも

由来してんだろ?

例えば俺みたいな」


「ははっ、たしかにタイシは料理上手だしね」


話をしているとデッキに魚が打ち上げられた

その魚をよく見てみると目が赤い


「ゾンビだ!」


僕の大声にタカナリさんが駆けつけてくれた


「あー、こいつか。

感染が怖いけどこの船に乗ってる人らは

全員ワクチンを打ってあるし

あんまり強くないから無視してもいいレベルだ」


「本当だ、赤い目してるけどピチピチしてるだけで

全然襲ってこない」


「いや、ゾンビは適応能力が高いから

こう言う魚系のゾンビは...」


その赤い目の魚たちの尾鰭がどんどん変形していく


「足が生えてくる」


変形した尾鰭は人間の足のようになった


「キモッ」


思わず声が出てしまう


「ま、邪魔なのは間違いないし

倒した方がいいけどな

弱いから安心して戦いな」


そういうと、タカナリさんは僕ら二人を置いて

デッキを離れた

最悪のケースを考えて見ててくれても

いいんじゃないかなぁ


二人でそのキモ魚ゾンビを倒す


確かに弱かった。足が生えたと言っても

生えたばかりのものを上手に使えるわけがない

こけて、手はないから起き上がれずに

そのまままたピチピチしだすのが大半だった


タイシはそいつらを素手で潰して死骸を

バケツの中に入れていった


まぁゾンビ野放しにしちゃったら

ゾンビ増えちゃうからこれが正解なんだろう


そうだ!いいタイミングだし

能力を試そう!まずは借りる許可もらって...

ってそうじゃん!共有で遠くからでも

連絡できるんだから、昨日とか呼びに行かなくても

その場で連絡すればよかったじゃん!

能力に慣れてない弊害が出た


色々考えているとデッキにまた人が来た

それは一代目だった


「おー、これが魚のゾンビかぁ

俺は初めてみるんだよな」


「一代目!」


「あ、その呼び方なんだけど。

呼びづらいでしょ、しかも次の国なんかで

その呼び方について言及されたら嫌だし。

だから一代目のイチとヒサトのヒサをとって

イチヒサって呼んで」


「それ名字と名前の最初の二文字ずつを

とってあだ名にする

よくあるやつじゃん」


でも割と実際にいそうで違和感のない名前ではある


「皆んなにも伝えといて」


なんで僕が伝えるのさ

...って言おうとしたけどいい方法があった


「イチヒサってもう能力効くの?」


「効くよ」


「じゃあタイシの共有に入れてもらえば?」


「えっ、なになに、なにそれ」


タイシの能力について説明する


「めっちゃ便利じゃん。

タイシこんなの隠してたの?」


「なんだよ、イチヒサは知らなかったのか?」


そういえば、イチヒサはもう五周目なんだから

みんなの能力くらい把握してるはず...


「おえっ」


僕がえずく


「おいおいヤワラもかよ

ここは俺が掃除しとくから、安静にしてろ」


タイシにはゾンビの片付けがあるから

イチヒサが船内まで僕を運んでくれた


...イチヒサがタイシの能力を知らなかったってことは


...もしかしたら、

タイシは他の周では

死んでしまっていたんじゃないか?

そんな考えが僕の頭をよぎる

そのまま悶々とし、僕は寝付けないまま

港に着いてしまった

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