お兄ちゃんは狼系妹の夢を見るか
遅くなってすいませんした。持病の仮病が長引いて寝込んでました。
許してクレメンス。
パァン、パァン、と、真昼の帝都の空に空砲が響く。
大通りの街灯には飾り旗が掛けられ、クレープやタコ焼き、飴玉売り、はては戦勝祈願の銀十字など、諸々の店が、掻き入れ時とばかりに屋台を出していた。
そんなバカ騒ぎの中心。
古代の闘技場のような造りの、全体的に楕円に近い形状の会場、上級貴族関係者用の貴賓席で。
「…………なぁ、ペット。オレみたいなのがこんなところにいていいのかね?」
「屋敷の戸締りはしてきましたし、問題ないでしょう」
「いや、そうじゃなくてよ」
周りの雰囲気に飲まれたのか、落ち着かない様子のフィリア。
オドオドキョドキョドと、壊れたからくり人形のように不安定な挙動の暗殺者というのも情けない話だが。
「フィリア様。お嬢様方の関係者として招かれた以上、無様を晒すのは避けた方がよろしいかと」
「んなことはわかってんだよ!!そうじゃなくて、なんか、こう、わかるだろ!?」
「理解しかねます」
ここにいるのが全くの自然であるとでもいうように、泰然自若と佇むメイドが1人。
薄緑色の髪を肩口で切りそろえ、すっくと背を伸ばして立つその片足が、室内灯に照らされて鈍い銀色に輝く。
金に近い萌黄色の双眸の片割れは、キュルキュルと駆動音を立てて蠢き、美形といってもいいその相貌を不気味なものにしていた。
カティア様直属のメイドという話だったが、確か名前は。
「エリナ様。フィリアを虐めるのは程々にしてください」
「すみません。反応が面白くて、ついやってしまいました」
「酷いなアンタ!?」
「申し訳ございません。本心が漏れてしまったようです」
悪びれもせずにいけしゃあしゃあと言い放つエリナ様。
なかなかアレな性格のようだが、立ち振る舞いに隙が無い。
魔力量はリーンお嬢様の半分ほど。
龍並ではないが、人間としてはずば抜けた数値だ。
得物らしき腰の短刀もかなり使い込まれているし、それなり以上に出来る人間だろう。
「しかし…………カティアお嬢様からお話は伺っておりましたが、噂の狂犬が子供とは思いませんでしたね」
「狂犬、ですか?」
「ええ。1度主の敵と見れば誰彼構わず噛みつく狂犬。幼い少年の外見とは裏腹に、主のためならば自らの生命すら望まない真正の狂信者。最近の社交界では、もっぱら、貴方の事が話題になっています」
「………マジですか」
「マジです」
淡々というエリナ様のセリフに、しかし少しだけ合点がいった。
最近、他の学生に絡まれる回数が明らかに減っていた。
平民=サンドバックの脳内方程式を確立している馬鹿どもが学習するとも思えないし、不審に思っていたのだが、そういうカラクリだったか。
「ともかく、もうそろそろ対抗戦が始まる頃でしょう。フィリア、カメラの用意は出来てますか?」
「出来てるけど、こんなにフィルムいるか?」
「必要です。ナナの雄姿をとらなければいけないので」
「………なんていうかよぉ、お前も結構なポンコツなんだよな」
「影の中で情けなく気絶してた人間に言われたくないですね」
「いきなり影の中に引きずり込まれた挙句、思いっ切りぶん殴られたんだぞ!?あれはノーカウントだろ」
「襲撃者の目的もロクにわかりませんでしたし、本当、使えないメイドですね」
目を覚ました襲撃者に拷問でもして色々吐かせようとしたのだが、時すでに遅し。
まさか、魔力回路を過剰駆動させて自爆するとは思わなかった。
結局、手掛かりになるようなものはほとんど残らなかった。
唯一ヒントになりそうなものは。
「おや?そちらの屋敷も襲撃されたのですか?」
「そちらも、ということは」
「ええ。つい先日、我が家に侵入した不審者を焼却したばかりです。………そうですね、なにか、心当たりはありませんか?お嬢様方の事です、どこから恨みを買っているか分かったものじゃありません」
「…………申し訳ありませんが、これといったものは」
天秤と交差した曲刀の紋章が入った拳銃と、円環を作るツタの紋様を刻まれたナイフ。
異端審問官はまだいいとして、問題は後者。
フィリアの古巣、根無し草。
フィリア曰く、殺しと誘拐を専門に請け負うチームの中でも、かなりの実力者だとのこと。
考えられる可能性としては、異端審問組織と根無し草が組んで裏切り者と夢喰い狼を殺しに来た………といったところか。
その割には1人だけだったのが気になるが、そこまで警戒している余裕もなく。
…………正直言って、俺は、ナナが対抗戦に出ることを望んでいない。
俺が近くにいるなら、勇者がこようが龍がこようが関係ない。
たとえ何が起ころうと、ナナを守ってやれる。
今回は、そうはいかない。
観客席への被弾防止用の結界を突破してリングへ突入する間にナナが殺されない保証など、ありはしない。
確かに、ナナの実力なら並大抵の相手に後れは取らないだろうが、アイツは、正真正銘の、互いにすべてを叩き売って喰らい合う類の闘争を経験したことがない。
いかに肉体的に強くても、精神的に劣れば喰い殺されて終わりだ。
学生ならともかく、本職の、場数を踏んできた殺し屋に、ナナは勝てない。
敵組織の全貌も黒幕もつかめていない現状で、ナナを危険に晒すわけにはいかない。
いかない、のだが。
鎧のパーツをウッキウキで整備するナナを見て、止めれなくなった。
ブンブンと尻尾を振って、ぱたぱた駆け寄って抱き着いてくるナナを見て、止められなくなった。
正直、今の俺はかなり混乱している。
お嬢様のためを考えるのならば、ナナを対抗戦に参加させるどころか、そもそも棄権してしまうのが最善策だ。
龍国だって、行こうと思えばいつでも行ける。
だが、ナナの事を考えれば───少なくとも、ナナの幸せを考えれば───、止めれなかった。
頭では最適解が理解できているのに、それを実行できない。
そうしなければならないと分かっているのに、体がついて行かない。
はっきり言って、俺は、自分が狂っているのかもわからない。
リーンお嬢様の道具として責務を果たさなければならないのに、それはそれとしてナナがかわいい。
自分の思考が分裂しているような、そんな感覚。
不快で、不快で不快で不快で、耐えきれないくらい気味が悪いのに、そんな状況をどこか望ましいものとして受け入れている自分がいる。
自己の正気の証明がないという、ただそれだけの当たり前の事実が、どうしようもなく恐ろしいものとして双肩に圧し掛かってくる。
とてつもなく巨大で抗いがたいものに押しつぶされるような、無力感。
隠し棘に潰された左目は相変わらず見えず、原因不明の吐き気と眩暈は収まらず、対処不能の堂々巡りは、確実に俺の精神を蝕んでいる。
脳味噌と思考の地獄に閉じ込められたような、そんな気さえしてくる。
…………最近、自分の自我の限界をヒシヒシと感じる。
一寸先で、薄暗く、俺を誘うように明滅する精神の奈落へと足を踏み出しかけて、そのたびに慌てて引き返すように、じりじりと、破滅へ近づいている。
それ以上踏みこめば致命的に変質してしまうであろうその領域が、たまらなく魅力的なのだ。
夜ごと、眠りにつく度に悪夢を見るようになった。
暗闇の中、ピチャピチャと水音が反響し、影の中に赤い血が広がっていく。
喉を裂かれ、腹から臓物をまき散らして倒れ伏すお嬢様の側で、獣が笑っている。
黒髪黒目黒づくめの獣が、血にまみれた歯を剥き出しに、俺に嗤いかける。
耳を穿つ絶叫にうるさいと叫び返し、それが自分の物だと気づいた。
ケモノのように跳びかかり、一撃で胴が引き千切れる、その無力さ、たまらなさ。
ゴミクズのように倒れる俺を獣が見下し、「べぇっ」と舌を出して嘲笑する幻像に悲鳴を上げて、早朝、汗まみれになって目が覚める。
だが、その程度で職務を放棄してよい理由にはならない。
この身がどうなろうが構うものか。
魂が千切れ飛んだって関係ない。
グシャグシャに擦り切れて、すり潰れて、切り刻まれて、ゴミのように突き崩されてくたばるその瞬間まで、自分の命を大切な人のために使えるのなら、これ以上の幸福はない。
他がどれだけ揺らごうと、その一点だけは、決して曲げてはいけないのだ。
それさえ失ってしまったら、きっと、俺は俺でなくなってしまう。
だから。
「フィリア。記念すべきナナの初陣です、撮り逃がしと手振れ、一枚ごとに減給一割ですよ?」
「シビア過ぎんだろ!?テメェ、まじでふざけ」
「………あら?このサンドイッチ、結構いけますね。フィリア様、レシピ、教えていただけますか?」
「ああっ、今、そんな事やってる場合じゃな」
「始まりましたよ、フィリア」
「ウッソだろオイ!?待って、まだ電源入ってな」
ファンファーレが鳴って、対抗戦が幕を開けた。
「なんていうか、圧勝、だったな」
「ですね」
ナナの晴れ舞台は、数十秒で終わった。
開幕と同時にお嬢様が放った廻り穿つ炎の剣の一撃で相手パーティーの前衛が全員昏倒。
頑張って魔術を発射しようとした女学生がナナのラリアットボンバーの餌食になり、戦闘終了。
あまりにもあっけない幕引きだった。
警戒していた暗殺者の乱入などもなく、ひとまず、無事に済んだと言っていいだろう。
問題は。
「彼らが何の集団なのか、非常に気になるところではありますね」
観客席の一角を占める、奇天烈な集団。
学生服の上からお揃いの衣装を着て、一様にハチマキを巻いた生徒たち。
棒型の信号装置を振り回して点灯させて一定の動作で動き続ける、ある種カルト的な、奇妙な連中。
一部の奴らは、『ナナちゃんファイト!!!』などと書かれた横断幕を掲げる始末。
デフォルメされた2頭身の少女のイラストは、もしかしなくてもナナがモチーフなのだろうか?
チカチカと色とりどりに輝く信号灯が、非常に目に悪そうな極彩色を放っている。
「あぁ………確か、『ナナちゃん親衛隊』、でしたか?」
「………は?」
なんか、いま、エリナ様の口から変な言葉が聞こえた気がする。
「今、なんと?」
「ですから、ナナちゃん親衛隊ですよ。男子生徒92名、女子生徒16名、総勢108名の新興勢力です。新参の派閥ではありますが、例を見ない速度で勢力を拡大しつつあります。基本的な目標はナナさんを愛でること。気持ち悪いですが、まぁ、無害でしょう」
「なんだよそれ」
いや、それはいい。
よくはないがそれはいいとして、あいつら、死ぬほど弱いぞ。
魔力がほとんどない上に、ろくに筋肉もついていない。
ひょっとしたらカティア様でも勝てるんじゃないだろうか。
「今、何か変な事を考えましたね?」
「なんのことやら」
「………なるほどね。どっかで見たことあると思ったら、ミーシャちゃん親衛隊の亜種か」
真面目腐った顔のフィリアが、へんな事を言い出した。
「なんですか、それは」
「オレが現役の学生だった頃にも似たようなのがいたんだよ。アレはアレで結構愉快な奴らだぞ?」
「………そう、ですか」
………まぁ、ナナに悪影響を与えたり怯えさせたりしないなら、問題ない。
思わぬ形ではあったが、これもある意味、ナナが学院に受け入れられている証だろう。
ただ。
万が一、万が一にも、ナナを傷つけるようなことがあれば、その時は。
「ギッタギタに切り刻んでやる」
「えっ怖っ」
「安心してくれ、コイツの悪い癖だ」
「安心できないんですけど」
「クロ兄さん!ただいま帰りました!!」
ガッシャンとドアの断末魔。
振り返って、満面の笑みを浮かべて飛びついてくるナナ。
判断は一瞬、猶予は刹那。
抱きしめに来たのを受け止め、腰に手を回してくるりと回転し、ソファーへ投げ出す。
戦闘鎧からいつも通りのメイド服に着替え、「やふ~………」と間抜けな声を上げて蕩けるナナ。
可愛い。
いや、そうじゃなくて。
「ナナ。お嬢様方はどちらに?」
「次の試合まで適当に屋台を回ってくるから、ミカ様とアサカ様と一緒に先に戻っておくように言われました!」
「………なるほど」
ソファーで伸びたまま、キュピンと手を挙げるナナ。
俺がいないのをいいことに好き勝手暴れ回れるメンバーで遊びに行ったらしい。
巻き込まれたシーザー様が不憫だ。
………というか、あの人たちだけで時間内に帰ってこれるのか?
試合開始に間に合わなくて敗退とか、シャレにならんぞ。
急いで迎えに行かなければ。
椅子から立ち上がって。
「な、あっ?」
足がもつれ、倒れ込み、左足が動かない。
手をついて立ち上がろうとして、左腕がピクリともしない。
右腕を床について起き上がり、喉の奥から、べたりと粘ついたものがせりあがる。
黒く淀んだ血反吐が、真っ赤な絨毯にぶちまけられる。
気管に絡みついたソレを吐き散らし、ゼヒゼヒと、喘息患者のような掠れた呼吸音。
「クロ兄さん!?大丈夫ですか、しっかりしてください!!」
ソファーに手をついて上体を起こし、俺の肩を掴んだナナに正面から揺さぶられる。
首筋に冷たいものが押し当てられて、パシュッと軽い音が耳に響く。
血管に、熱く粘ついたものが流れ込み、底冷えするような、熱病のような、浮ついた酩酊感。
俺が前にナナに渡した、緊急時用の麻酔兼回復薬。
血錆臭い息を吐き、取り出した水を一気飲み。
左脚は………わずかな痺れが残るが、まだ動く。
問題は左手、ピクリとも動かないばかりか、感覚すらない。
なんていうか、冷たい肉の塊を肩に括りつけているような気分だ。
「おい、ペット。何があった?」
「………ふむ。状態異常系の魔術による攻撃、というわけでもないようですね」
「問題、ありません。いつも通りです」
「何言ってるんですか!?」
茶化して言ってはみたものの、原因は薄々わかっている。
隠し棘の毒が、いよいよ、その致命的な効力を発揮し始めたのだろう。
今はまだ左腕が動かないだけで済んでいるが、悪化していけばいずれ死に直結するはず。
長く見積もってもあと半年、といったところか。
通常の魔術ならまだしも、龍の息吹の使用は控えるべきだな。
短時間で消耗が回復する魔術と違って、アレは、魔力の器とでもいうべきものを削って放つ代物だ。
使えば使うだけ、自らの命を縮めることになる。
「とりあえず!すぐに医務室へ連れてかないと」
「オレに任せろ。ナナちゃんはシーザー様を呼んできてくれ。あの人の助けがいる」
「私も手伝います」
「待っててください!全速力で連れてきます!!」
「だから、問題な」
拉致られた。
「…………その、シーザー様。これは一体」
「見ての通り、治療で………ってああっ、もう!クロさん、じっとしてください!!」
「ぬ、むぅ」
「………なんていうか、子供みたいだな」
「どっちかというと動物みたいですけどね」
医務室のベッドの上。
全身に巻かれた包帯を引き千切って患者服を脱ぎ、ツンと鼻に突く匂いの膏薬をこそぎ落とす。
呆れたような顔のアサカ様とミカ様を他所に、首筋に迫る注射針を振り払った。
じりじりと迫ってくるシーザー様を躱し、後ろからナナに組みつかれた。
逃げようとして。
「縛神鎖」
「グルグル巻きになぁれ!!」
部屋の四方から発射された鎖に四肢を拘束され、そのままミノムシよろしく吊るされる。
無防備なところに針が刺さり、血管に、冷たく凍るような薬剤が流し込まれる。
体の芯が痺れるような感覚。
麻酔の類か。
「いいですか、クロさん。浄化の奇跡は、とても難しいんです。少し間違えたり、気がそれたりしたら、血が水になって死んじゃうんですよ?危ないので、じっとしていてください」
「その程度で人が死ぬわけないでしょう?」
「致命傷です、ご主人様」
「………本当?」
「マジです」
いつの間にか部屋の中にいたお嬢様がドヤ顔でそんな事を言って、ナナのセリフに愕然としたような顔を作る。
部屋の空気が若干ゆるみ、呆れたように苦笑いを浮かべたシーザー様が右手を差し出し。
「七度清めたる此の御手は、汝が穢病を退ける」
ぬらりとした金色の光を帯びた腕が、俺の額に触れた。
ほのかに温かい静電気のようなものが体内を走り、体が、わずかに熱を帯びる。
金色の粉塵を振り払って、額に浮かんだ汗をぬぐったシーザー様が、大きく背伸びをして。
「一応、施術は終わりましたが、かなり強力な呪毒です。しばらくの間養生に専念して朝晩に治癒の奇跡を施します。それでいいですか?」
「屋敷の仕」
「論外です。死にたいんですか?」
働けるか聞こうとして、まったく笑っているように見えない笑顔に封殺された。
………まぁ、自分でも状況が酷いことは理解していた。
龍の隠し棘の毒を受けてこれだけ動けるなら、僥倖だろう。
治癒が効いたのか、気分も少し楽になってきた。
筋力で鎖を引き千切り、拘束から抜け出して。
「………お嬢様」
「なにかしら?」
「次の試合まで、あと何分ですか?」
「…………気にしてなかったわ?」
壁掛け時計を見て、第2試合開始時刻まであと4分。
部屋の空気が凍り付き。
「リーン!時間余裕だって言ってたよね!?」
「言ってないわ?」
「ママママズいですよご主人様!早く急がないときゅうっ!?」
「ナナさんっ!?」
「ダメです、気絶してます!!」
「仕方ない、担いでいくぞ」
「アサカ君、脳筋過ぎない?」
「言ってる場合じゃないわ?」
「誰のせいだよ」
カティア様が声を荒げ、そっぽを向くお嬢様。
焦ったナナが走り出し、自分の尻尾を踏んで転んで目を回した。
ぐったりと動かない体を背負ったアサカ様にミカ様が呆れたような顔を向け、ドヤドヤと騒がしく部屋を出ていく。
なんというか、まぁ、愉快な集団だな。
パイプベッドの上で体を起こしたまま、それを見送り。
「フィリア」
「なんだ?」
「写真、お願いします」
「わかった。お嬢を撮ってくればいいんだろ?」
「ナナ中心でお願いします」
「………お前、アイツが絡むと途端にポンコツになるよな」
「早くしてください。試合が始まってしまいます」
「おう。養生しとけよ?」
宝物庫にしまっていたカメラを手渡し、あくびをしたフィリアが椅子から立ち上がる。
ギイィィ………ッと軋むような音を立ててドアが閉まり、人の気配がなくなった病室で。
「ごぶっ」
サイドテーブルの洗面器に、黒い血を吐き出した。
主人公とは、酷い目に合うものである。
次回予告
ついに幕を開ける対抗戦。
管制響く舞台裏に蠢くは、薄暗い天秤の影。
妹の晴れ舞台を守るため、瀕死のお兄ちゃんが夜闇を走る!!
「ドーモ、アンサツシャ=サン。ニンジャスレイヤーです」
「なっ、なんだ貴様、グワーッ!!」
「ナムサン!!」
「こいつ、すごいカラテを使うぞ」
サツバツ!!
次回「読んでみてえな、ニンジャスレイヤー」




