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なにもない。なにも見つからない。だから妥協して大人になる。

作者: 阿藤拓人

 「向上心がない人間は責任感がなく、周りのやる気も下げるデメリットしかない存在である。」

 ふと開いたサイトでそんなことを目にした。

 ...この言葉はある意味では真実なんだろう。

 向上心のない人間というのは、どこか無気力であることは否定できない。

 現状に大きな不満があるわけではない。

 ただ漠然と虚無感が広がっているだけ。

 ふとした瞬間に悲しくなるだけ。

 現状に満足はしている。仮に今この生活を手放したとしたら、「大切なものは失ってから気づいた」と後悔するだろう。それくらいには満足している。

 ただなにか足りないなと思う瞬間があるのも事実だ。

 一年振り返ってスカスカであることに気づいくこともある。

 楽しそうにしてる人間を見ると、なんとも言えない気持ちになる。

 嫉妬なのだろうか?ああなりたいと思うわけではないが、ただなにか「お前は足りてない。」、「お前の人生は楽しくない、幸せではない。」そうもう一人の自分が言うのだ。

 人の幸せを心の底から祝えない自分が嫌いだ。幸せを祝おうとしてもモヤモヤした感情が湧き上がる。

 思ってしまうことを止めることなどできない。

 いつだって自分の感情に振り回される。

 自分のことが好きになりたい。

 自分で自分のことが嫌いになるような行動をしないように心がける。だけどそれでは駄目なんだ。

 どこかでむなしくなる。行動しないようにするのは、失敗を恐れることにつながってしまう。

 一つ失敗が自分を大きく苦しめる。だから行動しない。

 苦しいことなんてしたくない。当たり前だ。努力なんて苦しいだけだ。その苦しさに耐えれるだけの熱い想いもない。

 苦しみのない生活に満足している。

 目を閉じてても、頭を抱えることのない生活に満足している。

 ...多分本当に心の底から現状に満足しているわけではないのだろう。

 本当に満足しているなら、他人なんて関係ないはずなんだ。

 でも気にしている。

 他人を見て、自分を見る。

 それで広がる虚無感。

 でも変えるつもりもない。

 なにをすれば満足するかなんてわかるはずもない。

 向上心のない人間だ。

 自分は自分に満足していると言い聞かせている存在だ。

 向上心があればいいのか?それは違うだろう。

 向上心は劣等感も汚い優越感も生む。

 劣等感は苦しいだけだ。

 他人を見て、こいつは俺より劣ってるなんて思いたくない。そんな自分好きになれない。

 だから今のままで満足している。

 ...こんな考えもただ自分を正当化したいだけなのかもしれない。

 きっとこんな感じなんだろう。

 妥協して、誤魔化して、騙して。

 少しの楽しみと虚無感、そして苦しみの少ない人生。

 どんなに上手く行ったってそこが限界だろう。 

 でもきっとこんなものなんだろう。

 みんなどこかで妥協するんだ。

 妥協をしないような熱い想いなんてみんながみんな持てるわけではない。

 きっとそっちのほうが少数だ。

 誤魔化しながら、妥協しながら生きていくのが大人なんだろう。

 だから私は今日も自分に言い聞かせる。

 -私は満足している-と....。

 

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