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創作世界で幼女に転生したら色々恨まれてしまって、死なないように頑張る話‬  作者: 篠原えれの
西暦2100年 二章 惑星ストリジア
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第二章13 話そう。そして、ごめんなさい


 一彦がマキナと一緒にミオが入院してる病院に到着したのは夕方になってからだった。




 「あら、先着?」


 「お疲れ様です」




 入室したマキナを見てそう言ったのはミシェルだ。彼はエルサイア防衛戦以前から彼女とはすでに顔見知りの関係だ。マキナとはミオのことで、色々よくしてくれた過去がある。彼にとっては数少ない恩人の一人だろう。一方で、マキナ本人としてはあまりミシェルのことを気にしておらず、親子関係を修復させたい一心だったため、彼がいたことについて完全に忘れていた。




 「(まぁ、そうよね。彼が一番誰よりも彼女のことを心配してるからそうなるわよね)」


 「彼女はまだ目を覚ましてないですよ。瀬戸隊長も一緒なんですね。」


 「あぁ」




 申し訳なさそうにミシェルが話す。一彦と目線があったのでそう言うと、彼も会釈した。マキナが話す。




 「お邪魔するわね、一彦も一緒だけどいい?」


 「大丈夫です。(なるほど、マキナさんが心配して連れてきてくれたのか)」


 「………」


 「(ダメだ、相変わらずこの人が何を考えてるのか分からない)」




 一彦とミシェルは全く付き合いがなかった訳では無い。共に過ごしてきた時間は目の前で眠ってる少女ミオよりもずっと長い。それなのに、彼は一彦のことがよく分からなかった。

 ミシェルは独立部隊セイレーンの翼所属でありながら長い間戦艦アルテミスのメンバーと行動を共にしてきたため、一彦との付き合いは長いのだが、それはあくまで、仕事仲間としてだった。連携こそあれど、単独任務が多かったミシェルにとって、瀬戸一彦というヒューマンは戦友とも悪友とも、アーカイルのような犬猿の仲とも呼べず交流関係はあまりない。アーカイルのように過激ではないにしろ、ミシェルはなんとなく彼から避けられている印象があったため大した事情も理解できず、現在に至るのである。

 そうとも知らず、二人は知り合い同士である程度仲が良いと言う認識でマキナは会話を進める。



 「もうすぐミオちゃんが目覚めるかもっていう予知を拾ったから一彦を呼んだんだけどね。この様子だと、一週間は眠りっぱなしみたいね」


 「そうです。港に戦艦アルテミスが停泊してからも、任務があったので任務を終わらせてからよく見に来てましたが目を覚まさずで…担当医のエーディンさんは「怪我も体力も回復してます、あとは本人の気持ち次第です」とか言ってましたけど…それよりも、失礼ですけど言わせてください。予知で分かるなら言ってくださいよ、マキナさん!!俺の端末のアカウント知ってますよね?!」


 「ごめん、忙しくてあんたのこと忘れてたのよ。ここに来て思い出したの」


 「嘘でしょマキナさん…!別にいいですけど、目が覚めるまで何回でも来るつもりでいましたから……」




 嘘をつくまでもなく、本当のことを言ってしまえばいいやとマキナはありのままを告げると明らかにミシェルがショックを受けたので、場がお通夜状態になる。




 「因みにエーディン…って、あのエーディン・クライス?まぁこの病院だから、そうなるわよね。あの堅物お嬢様が、ミオちゃんを見てくれるなんて…あとでお菓子送らなきゃ」


 「そうですけど、そんなに厳しい人なんです?」


 「ちょっとね。あ、それよりも、お姫様がもう目覚める時間かもよ」




 マキナのその一言に、ミシェルはもちろん一彦も気付いてミオの方を見る。確かにミオがうっすらと目を開けたり、光に慣れず眠ろうとしていた。

 慌ててミシェルが心配して声をかける。



 「ミオ、俺だ。分かるか」


 「ーーー…………っ、ミシェル?と、お父さん?(光が眩しい)」



 まだ体の倦怠感がとれないミオはゆっくりと声を出す。魔法を無理に使った反動だろう。魔力という概念がないこの世界では、基本的に魔法や魔術は体力勝負で全てが決まる。大規模に人工精霊に命令を出すのに、膨大なスタミナや脳内のイメージ力が必要であるためだ。使えば使うほど疲労する。スタミナを長時間維持するためのスキルも存在するが、そもそもそのスキルも存在がレアであり、戦艦アルテミス内の隊員達においてもそのスキルを使用できるのはキリナぐらいである。アルテミスですら乱発して魔法の使用を行うのは躊躇するのに、今回ミオと義光はそのスキルの存在のをすっかり失念し、無遠慮に魔法や魔術を使ってしまった。これは、ちょっとした天罰だろう。




 「今、何時か分かる……?」


 「あれから一週間経って、今は4月20日になるんだ。もうすぐ18時になるよ」


 「えっ、そんなに寝てたんだ」


 「魔法の使い過ぎだって、エーディン先生が怒ってたよ。身体保護のスキルを使わないであのクラスの魔法を連発するのは無防にも等しいって。戦艦アルテミスのみんなも。俺も、ずっと目を覚まさないから心配だった。」


 「うん……ごめんなさい……」


 「ほんとに、目が覚めてよかったよ」




 エーディン・クライスから受けた指摘をミシェルはミオに話した。ありのままにここ数日起きたことを話した。

 マキナが確認するようにミオに聞く。




 「ミオちゃん、久しぶり。管理者はどう?目は覚ました?」


 「えっと、その……まだ目を覚ましてなくて……ごめんなさい、マキナお姉ちゃん……」



 ミオはマキナに正直に話す。兄の神無月の関係で昔からマキナとは姉のように接していた。実姉のナルミと一緒によく遊んだものである。逆にそのことをよく知らなかったミシェルは驚愕する。




 「マキナお姉ちゃん?!」


 「うん、マキナお姉ちゃん。マキナお姉ちゃんは神様だけどお兄ちゃんとは契約してる関係だから、そう呼んでねって。そういえば、ミシェルはもうマキナお姉ちゃんとは知り合い関係だったんだね」


 「5年前の神崎事件のあと、そうだね、博士……ライベルトさんに助けて貰ってその時紹介して貰ったんだ」


 「そう、なんだ。ほんとに、色々…迷惑かけて……ごめんなさい」



 義光が聞いたら卒倒しそうな内容であるが、それはまた別の話。ミオでもライベルトのことはよく知っているため、そこからマキナと知り合ったのであると考えるとあまり混乱しない。

 そこまで聞いて、マキナが義光が当分起きないことを理解すると話を進めた。




 「ううん、いいのいいの。その都度学んで行けばいいから。管理者がいないのはちょっと面倒臭いけれど」


 「ごめんなさい……」


 「まぁ、ちょっとゆっくり話しましょ。一彦もミシェルも、私も、何が起きたか情報は大体共有してるわ。安心してね」

 


 そうマキナが言ってミオは気付いた。希望の協会でエリーアと世界情勢の話しこそしたが、こうやって親族同士が集まって親密な話をするのは、正気に戻って以来初めてのことだと。





 「お父さん」


 「……あぁ。」




 ミオは一彦に話題を振る。今なら、父に謝罪ができるのではと思ったからだ。




 「………エルサイア防衛戦のことを覚えてなくて、ごめんなさい。」



 沈黙が流れる。一彦がどう返事したらいいのか迷ったのと、他の二人が彼が返事をすべきであると空気を読んだからだ。マキナから、皆事情は大体把握してると伝えられてからも、あえてミオがそう言ったのは父に、謝りたかったからだ。




 「……マキナも言っただろう。事情は、把握してる。エルサイア防衛戦になる前から既に伝えられてた。大体の大まかな経緯は」


 「……うん。それでも私がしたことは許されることじゃない。だから、話したかった。正気に戻ってからゆっくり話す暇がなかったから」




 ミオは話した。ミオは、20歳で死んだ義光と違い、5年の月日が流れても精神年齢が10歳のままだ。小学校も卒業できないまま、彼女は天界と地上の戦争に巻き込まれた。サリエルに心臓を潰されて、人では無い存在にされ、兵器のように扱われたこの苦難は義光という前世の記憶がなかったら簡単には克服できないことだった。今も、立ち直るどころか、エルサイア防衛戦で108562人を殺害したという実感ですらあまり感じず、どういう反応をしたらいいのかよく分かっていないというのが本音だ。

 それでも、この変化は少しだけ感じ取っていた。死亡者リストも見せて貰えない段階でも、彼女は察していた。小学生の途中から目覚めた義光ではなくて最初から記憶を持っていた彼女だからこそ分かる、違和感を。




 「リロナさんや、アドルフおじさんがいないのはーーー……私のせい?大輝さんもいない、よね。あと、義光が言ってたよ。スナイパーのゼルクさんがいないって。サーニャさんのこともアーカイルさんから聞いてる。」



 震えながら、言葉を紡ぐ。



 「ーー……!」



 場が静まり返る。本当のことを言えば、皆戦死している。言わなかったのではなく、ミオの体調不良や大型戦が重なって彼女に告げる暇がなかったというのが本当の理由だ。5年という月日を経過する過程で、ミオや彼女が支配するピリットに敗北した。アーカイルの妹であるサーニャが死んだことも、ミオは彼女の兄であるアーカイル本人や義光からもはっきりと聞かされている。

 言っている途中で辛くなったのだろう。ミオの瞳からポタポタと涙が流れた。



 「ごめんなさい。ーーーーーーー……こんなこと、聞くんじゃなかった。でも話した方がいいって、義光と話し合ったの。みんな、いい人だったのに、私、まだみんなと話したかったのに、えっぐ」



 義光と違い、ミオは一彦の影響で彼が所属する第三部隊のメンバーとはある程度交流があった。それなのに知り合いがほぼいないということは、つまり戦死したことを意味していた。それはあまりにも10歳のミオにとって辛いことだった。


 「……ミオ」


 「私、私ね、まだ、正直実感がなくて、よく分かってないの。でも、大事な人を殺してしまったんだっていう罪悪感で胸がいっぱいで、頭がどうにかなりそうで、ひっぐ、どうして、私、今すぐ殺されないんだろうなって疑問で、でも、義光が吐きそうになりながら、頑張ってるし、今、私消えちゃいけないって、消えたら義光が本当に死んじゃうから」



 涙を流しながら話す。



 「あの子ね、よく気絶するし、すぐ自殺しようとするの。俺がいるだけでみんなが危険な目に合うって。義光、サーニャさんやアドルフさんやリロナさん達が亡くなったって分かったとき、本当に嫌で死のうとしたんだって。殺したくなんてなかったってしばらく泣いてて、表に出てくれなくて、焦ったよ。私ね、義光が目を覚ましてからずっと彼にあれこれお願いして、しばらく眠ってたの。彼から色々話を聞いてると、彼が私の体を動かしてくれた方が都合がいいって思って。それが、サリエルのせいでこんなことになっちゃって。ううん……違うか。誰にも相談せずに、義光になにもかも解決させようとした私のせい、で、本当に、ごめんなさい。ごめんなさい。大勢の人を巻き込んで、そのせいで悩ませてしまって、ごめんなさい。」



 気付けばミオは深々と頭を下げていた。涙を流しながら言葉を紡いでいく。 

 ここ最近の心情を話して涙を流す。

 あまりにも泣いてるミオに、一彦も辛くなる。これは叱りようもないし、怒ったところで解決する問題ではないことは昔からよく理解できていたから。

 義光が管理者の名前であることはミシェルも一彦も、アルテミスから聞かされている。

 通常、前世の記憶を思い出せば人格が統合されるか、前世の記憶のみの存在になるのだという。ミオの場合、本当なら前世の記憶のみの存在になってもおかしくなかったとアルテミスは説明している。ミオが消えないのは精神的に不安定な義光を支えるためだ。

 それを聞いて、前世の記憶が戻る前のミオを知る一彦は納得している。ミシェルも、自分と一緒に過ごしたのが目の前にいるミオではなく、義光であるというのは理解してる。

 一方で、はじめて義光という単語を聞いたマキナは困惑しながら話す。



 「義光……っていうのが、管理者の名前ね。大体の事情は理解したわ。」


 「ひっぐ……えっと、ね。加藤義光。それが、私の、前世の名前なんだって。彼はね、病弱で、20歳までしか生きれなかった。でも、この世界が大好きで色んな本を読んで、勉強して、書きあげたんだって。だから、この世界が存在するんだけど、義光のことが嫌いって言って、元々死にかけてたのに殺しに来た神様がいたんだって。そして死んだら、私が産まれた」



 ミオは頭をあげて、涙を拭きながら言う。



 「その神様がアイナね。」


 「うん」


 「あー、私があの子と話しができれば……なんで一人であの子はなんでもやってしまうかなぁ」


 「一人でってことは、独断でやったんですか。」



 マキナが呆れながら言ったことに、ミシェルが聞く。デメテル派全員で企んだことではないのか、と。



 「たぶんね。そんな話、聞いたこともなかったから。エルサイア防衛戦で、はじめて分かったぐらいよ。たぶんアイナは本当に管理者を殺そうとした。転生なんてめんどくさいこと、するはずがない。殺して証拠を隠滅すれば一人でも、解決できるから。転生なんて大掛かりなこと、絶対誰かに相談してからやるはずだわ」


 「誰かの邪魔が入ったのか」


 「その可能性は大ありね。ねぇ、ミオちゃん。その話は管理者から聞いてないの?」




 一彦もミシェルも、当時のマキナならアイナに会える立場であったことを知っていた。マキナは、神無月と契約する前は天界側の神だった。デメテル派でもなく、ミカエル派でもなく反天界側の神でもなく。無所属の神だった。言わば中立とも言えた彼女は、もう少し彼女とーーー何かを抱え込んでしまっていたアイナと、話すことができたらよかったかもしれない。




 「(アイナさんが義光を転生させたんじゃ、ないの?どうしよう。私義光からその話を聞いてない)」



 このことからミオは、アイナの行動は彼女の独断であったことを理解した。しかし正確な話は義光から聞いて

ないため不明だ。正直に話した。



 「ごめんなさい、分からなくて。義光なら分かるかもしれないけど……」


 「そうなのね。大丈夫、また今度聞くわ」



 マキナは今すぐ知りたい様子でもなく、納得したようだ。落ち込みながら、ミオは謝る。



 「ごめんなさい……。泣いちゃった」


 「大丈夫だ。俺は……アドルフさんや、リロナ達が死んだことを気にしてないと言えば嘘になる。だが、怒ったところで、復讐したところであの人達が戻ってこないことも知ってる。話を聞けれてよかった思っている。お前の気持ちが分かったから」



 ミオは一彦の言葉に、感謝の意味を込めてお礼を言った。泣き止んだのに、もう1回泣きそうになった。



 「お父さん……ありがとう、話を聞いてくれて、ありがとう」


 「俺もお前と話をすることができてよかった」



 一彦もミオと話せて少し安心した様子だった。





 「少し質問してもいいかい?」


 「うん」



 ミシェルが確認するように話す。



 「加藤義光って名前は、名前から察するに日本人で男の名前だと思うんだけれど、その認識で間違いではない?俺もそうだったけど、彼、男と女で体の使い勝手がだいぶ違って大変だったと思うんだけど大丈夫だったの?俺は、前線で戦うために力を使うことが多かったのと、ミオが大好きだから男になっちゃえってなったけど、彼にとってはとんでもないハプニングだったんじゃ……」


 「へ」



 彼の義光への質問よりも、ミシェルのその後のとんでも発言にミオは顔を真っ赤にする。「ミオが大好きだから男になった」。この部分だけがストレートに突き刺さり、涙なんかどこかに消えたのではというぐらい顔を真っ赤にする。

 確かに、正気に戻ってすぐ告白こそされた。男になったのは、なんでだろうと義光と一緒に混乱したが、まさか本気で付き合って欲しいから男になったとは、理由を知って困惑する。

 ミシェルがミオのことが好きであることは知っていたが、改めて話されると一気に恥ずかしくなった。このせいで告白されても中々返事が言えず、騒動に巻き込まれたりそれどころじゃなかったりしたのである。



 「(似た者同士ってこのことを言うんだね一彦)」


 「(今更だろ。俺は2人とも幸せになれるなら、構わない)」


 「(えっ、あんたさり気なくすごいことポロリと。分かったわ、心の内に留めとくわ)」



 2人の反応を見てすぐに察したマキナと一彦は、マキナのテレパシーを使って会話する。2人の会話に釘を刺すのはあまりにも勿体なかったのである。

 ミシェルが不思議そうに聞く。ミシェルがミオのことを好きなのは当然といった雰囲気で、得意気そうにも見えた。



 「何か変なことを言ったかい?」


 「ううん、えっと、その、恥ずかしくなっただけ、だから……」


 「ははは、真っ赤にしてても素敵だね。俺はずっと返事待ちの状態なんだけど、大丈夫。ちょっとさみしいけど」



 その言葉にミオは思い出した。その時ミオはまだ眠っていて、義光に教えて貰ったものだ。



 「愛してます。俺の大事な愛しい人。俺が絶対に護ります。だから、結婚してください」



 正気に戻ってからはじめてミシェルに会ったときのことだ。確かにミオはまだ返事をしてない。正確には義光が、だが。女の子だったミシェルが急に男の子になって現れたから返事どころではなかったのである。




 「えっ!あ、えっ?!返事してなかったけっ?!あ、う、今、答えなきゃだめ?!」


 「もちろん、今でもいいよ」


 「あ、う……」

 



 赤面して轟沈しそうなミオはマキナや一彦に助けを目線で求めようとする。



 「(返事しちゃいなーよ、ミオちゃんミシェル君好きでしょ)」


 「(……俺はどちらでもいい)」


 「(お父さんまで?!嘘でしょ)」



 無言でイケイケGO!GO!雰囲気を出され、これは駄目だと諦める。テレパシーで会話してる訳では無いが、雰囲気で二人が何を考えてるのか察して轟沈する。



 「えっと、ミシェル。ミシェルが好きなのは私?それとも義光が好きなの?あの神崎事件で一番頑張ったのは

私じゃなくて、義光だったの。ミシェルを助けたのも、私じゃなくて義光。私はほとんど眠っていたわ。私が目覚めた理由はさっきも言った通り、義光がエルサイア防衛戦でたくさん大切な人を殺してしまったことに気付いて、ショックで起きてくれなかったからなんだよ」



 ミシェルが告白するべき本当の相手はミオではなく義光だとミオは話す。その言葉はミシェルに伝わったようで、彼は納得してくれた様子だった。



 「うん。そうだね。……返事を聞くのは、彼が起きてる時にするよ。確かに俺は、ミオのことはあまりよく知っていない。義光のことしか、知らなかった。それも、義光のことは正直、助けてくれた神崎事件でのことしかよくわかってない。一緒に遊んだこともなければ、人柄もよく分かっていない。助けてくれたことは嬉しいけど、それだけだとどんな人か分からないから。……それでも、俺にとってあの神崎事件は人生の分岐点だから。あの時、義光が助けてくれなかったら俺は死んでいた。だから、感謝してるんだ。その気持ちが、君を、彼を助けようとするうちに、好きに変わっていった。それは、分かってほしい」


 「……うん」



 ミシェルは話した。何故義光が好きなのか、その理由をはっきりと口にした。



 「話してくれて、ありがとう。ミシェル。このことはきちんと義光にも話すから。その……ミシェルは、無理してない?」


 「……?とくに変わったこともなく、普通だけど。むしろ安心してるかな」




 ミオは性別のことでミシェルを心配する。ミシェルはそこまで自分の性別について気にしていないということもあり、意味を読み取ることができずに大丈夫だと言う。自分のことよりもミオの方が本当に心配だったのだ。理解されてないと察したミオが「そうじゃなくて」と話を切り替える。




 「私のせいだよね。私が女の子だから、男の子になろうと思ったのは。せっかく好きな容姿になれるんだから、好きなことしてもいいんだよ。義光もそれは拒むことがないと思うから。むしろ、心配してたよ。あんなに可愛かったミシェルがイケメンになった!!俺のせい?!って困惑してたから」


 「あっ、そっち。義光が、俺が女の子の容姿の方がいいって言うなら昔の格好になるけれど……」




 全く困っていない様子で、ミシェルが言う。本当に義光のことが好きなのだろう。好かれようとして言っているのがミオはよく理解できた。これにはマキナも驚く。




 「(本物だわ……これを正せるのはミオちゃんと管理者しかいないわ)」



 ミオは慌てて話す。




 「いやいやいや、そうじゃなくて、ミシェルは本当はどっちの性別がいいの?って話しね。そこに私や義光は関係ないからね」


 「えっ、そうなのかい……?そう、だね。」




 ミオが言いたいことを理解したミシェルは、黙ってしまう。話そうと思ったが答えられない様子だ。長い間沈黙が続く。その沈黙を破ったのは話をずっと聞いていた一彦だった。




 「今すぐ答えは出さなくてもいい問題だろう。」


 「お父さん」


 「違うか?」




 一彦の言葉に、ミシェルはほっとした様子を見せる。ミオも無理に聞くタイプではない。謝った。




 「うん……。確かに、今すぐって話しじゃない。ごめんね、ミシェル……」


 「あ、いや。俺こそ、ミオに色々聞いたのに答えられなくてごめん」


 そう話してると誰かが病室に入ってくる。





 「管理者、瀬戸ミオが目を覚ましたという情報が入りましたので失礼します。……主治医のエーディン・クライスです」





 ミシェルとマキナが話していた、ミオの主治医だ。エーディン・クライス。彼女は白衣を着ていた。容姿は青い瞳に、金髪のセミロングだ。


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