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緑の街
かさかさと葉が擦れる音が響く。未だに意識がはっきりとしないまま、僕は起き上がった。
「っう。ここは…。」
辺りを見回すとあり得ない光景が映った。
青々と繁る草木。家屋をビルをコンクリートをアスファルトを。文明の全てを呑み込む様にそれらはあった。
「これは…。」
よくわからないけれど異常事態が起きているのは確かみたいだ。人が周りにいない当たり僕より先に目を覚まして辺りを散策しているのかも知れない。
「そうだ。」
ふと思い出し荷物を漁る。
「ん。無くしてない。」
意識を失う前に持っていたものは無くなっていなかった。有難い。盗まれたりしたら面倒だし。
「さてと。」
ようやく頭もすっきりしてきた。立ち上がり取り敢えず近くの建物を目指す。確かここから近いのはー
「きゃぁぁぁあ!」
「ん?悲鳴?」
甲高い悲鳴。恐らくは女性のものだろう。
「うーん。」
助ける義理もないけれど何があったのかは気になる。
「行ってみるか。」
思考が纏まったところで僕は声のした方へと向かっていく。