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在りし日の終わり
いつもと変わらない喧騒を聞き流しながら街中を歩く。
聞こえてくるニュースは相も変わらず自国の政治に対する不満やら最近多発している小さな地震の事ばかりだ。正直うんざりしてくる。
「ふぁぁ。」
あくびをしながら空を眺めていると奇妙なものを見つけた。罅だ。
近くの学生もそれに気づいたのか携帯端末(名称はなんだったけ)を取り出して写真を撮っている。
「やっべ、なんだよあれは?」
「罅?空に何で?硝子でも張ってあるのか?」
様々な憶測が飛び交うなか頭の中で警鐘が鳴った。今すぐこの場から離れろと。
動き出そうとした瞬間、強烈な立ち眩みに襲われた。
「ぐぁぅぅう。」
あまりの気持ち悪さに思わずうめき声がでた。歪む視界と薄れる意識の中、朧気に聞こえてきたのは女の笑い声だった。
綺麗でしかし酷く醜い笑い声を聞きながらゆっくりと意識が沈んでいく。
「さぁさぁ、始まりの時よぉ。"小さな実験にして壮大な暇潰しのゲーム"!楽しんでね、家畜供。」
そんな腹が立つ言葉を最後に完全に意識が闇に染まる。