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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
53/54

過去話その5:ライノスウォーロードおじさん

修行回その3、というか過去編は基本修行しかしない。

この回は正直蛇足だったかもしれない。

--------------…

獣人領 獣人要塞

ーーーーーーーーーーーーーー…


 霊山中腹で負った怪我とそのリハビリを終えた。まおー18歳、春。


 己の限界を認めたくないまおーは、さらに己を鍛えるために獣人要塞に赴いていた。

 獣人要塞は、獣魔族の中でも高い実力を持つライノスウォーロードが居まう領域だ。

 そこで獣魔将の戦い方を学ぶ事で、少しでも早く力を付けようという考えからきている。


 だが、そんなまおーをライノスウォーロードは歓迎していなかった。

 あからさまに鬱陶しそうな表情でまおーの応対をするのであった。


「それで、獣魔の魔貴族のぼっちゃんが俺様になンの用だ?」


「…強くなる方法を教えてくれ」


「あン?お前ならほっといても後100年もすりゃあ俺様よりかは強くなってンだろうがよ」


 事実、まおーは腐っても初代魔王の血統であるエリート魔族であり、

 現時点で既に並のデーモンナイトの実力も上回っている。

 ライノスウォーロードが言う通り、

 ふつーに鍛錬を重ねていれば100年後には追い抜く事も可能なのだ。


「それじゃ間に合わないんだよ。今すぐだ」


「とっとと魔城に帰ンな。俺様は獣人(チビ)共の面倒を見るので忙しいンだよ。恵まれたクソガキの相手なんてしてらンねぇンだ」


 ライノスウォーロードはまおーをドンと手で押して倒そうとする。

 が、まおーは押される分だけ後ろに下がり、押し出しが空を切る形になる。


「ンン?生意気な真似をしやがるな」

「俺は本気だぞ? 魔王になるには後3年しか猶予がないんだ」


 あの魔族の少女が魔王になるまでの期日は残り3年。

 だが、未だにレッドブロウに殺されかけるようでは到底間に合わない。


「何のために魔王になる気だ?クソガキ」

「……女のためだ」


「ハッ!女とは傑作だ。大方あのヘレナとかいう化物女が相手か? 無理無理、やめとけ。身の程って奴を弁えるンだな」

「…!、ヘレナの事を化物と呼ぶのは止めろ」

 

「ンア? 魔力暴走を起こして勇者と親父とその部下もろとも爆殺した味方殺しを化物と呼ばずして何と呼ぶンだよ。アレはヤバイぜ?色々とネジが飛ンじまってる」


 ライノスウォーロードの言う通り、あの魔族の少女を極端に畏れる者は少なくない。

 力の矛先を何時向けられるか分かった物ではないから。

 その存在を前にして潰されそうになる者さえもいる。


 そして、あの魔族の少女の力を利用しようと考える者も少なくない。

 その力があれば大抵の事を暴力で解決することができるから。

 魔族は力を尊ぶ。その成り立ちは迫害と暴力によって築かれているからだ。


 ヘレナは自身の力を満足に制御できず、精神的にもまだまだ幼すぎた。

 また、ヘレナはまおーと異なり、"争い方"を教えられずに生きてきている。

 だが、そんな彼女の在り方に、まおーは幼少の頃に救われた事もあるのだ。


 そんな中、謀略と偏見の渦中に身を置かせるのはあんまりだとまおーは思う。

 故に、まおーは吠える。


「お前にアイツの何が分かる。ヘレナを愚弄するな!」


 まおーは怒りに任せてライノスウォーロードに殴りかかるが、拳を掴まれて止められる。

 そして、まおーを軽く蹴飛ばした。

 まおーは尻もちをつき、「ぐっ……」と恨めしそうにライノスウォーロードをにらみ返す。

 その様子を見てライノスウォーロードは呆れたといった風に嘆息する。


「……まぁいい。これは俺様の純粋な親切心からの助言なンだがな。経験上、女のために行動するとロクな目に遭わないぜ?」


 まおーは立ち上がり、「そんな事は百も承知だ」と言うのだ。


「ハァ……ほんと諦めの悪いぼっちゃんだな。それなら暇つぶしついでに気が済むまで相手してやるよ。そっから得物を拾ってかかってきな」


「望むところだ。目に物を見せてやるぞ。ライノスウォーロード」


 まおーは武器棚から石斧を拾い、ライノスウォーロードに飛びかかった!


 ……なお、一方的にボコボコにされるだけなのであった。

 そして、ライノスウォーロードおじさんはまおーを骨折にさせない程度の力加減でボコっている。


「はぁ……はぁ……クソッどうして一発も当たらない」

「クソガキ、テメェに足りてないモンが何かわかンねえか?」


「何だよ?」

「技量、速度、脳味噌、まぁ色々あるが、何よりも筋肉が足りてないンだよ。そんなんじゃ竜魔トカゲ共に舐められンだよ」

「は?」


「単純にてめぇはヒョロヒョロしてンだよ。何度攻撃弾き返されて姿勢崩して隙晒してンだ?アア?」


 まおーとライノスウォーロードでは単純に膂力が全然違う。

 そのため、同じ攻撃で打ち合えば、力の弱い方は押し返されて大げさにのけぞるしかない。

 無論、守りに入ったとしても同じだ。圧倒的な力でこじ開けられたら元も子もないのだ。 


「それでテメェは戦うための工夫を凝らす事もしやしねぇ。馬鹿正直に撃ち合うしか能がねぇンならさっさと筋肉つけろって言ってンだよ」


 力こそパワー。パワーオブパワー。そう、ライノスウォーロードは言うのだ。


「じゃあ筋肉ってどうやって付けるんだよ」

「重いモン持ち上げながら素早く走るンだよ」


 ……この日から、まおーの日課が始まるのであった。

何だかんだで面倒見が良くて仕事に対して真面目なライノスウォーロードおじさん。

作中屈指の有能キャラっというのがサクーシャの見識なのだが。

タカシ君相手にゲッハハハッってやっちゃってるので読者ヘイトは高いかもしれない。


でも見方によっちゃ真面目に命令通り汚れ仕事してくれてるおじさんなんです。

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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