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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第28話:『たたかう』

デモナちゃん無双の解説とまおー様のネガネガトーク回

-ーーーーーーーーーーーーーーー…

獣魔領 魔城シュールストレミング

ーーーーーーーーーーーーーーーー…


 何時もの玉座の間で大魔道とまおー様がおり、

 まおー様はガーゴイルの報告書を眺めているのだった。


 報告書の内容を要約すれば、

 姫騎士デモナ率いる百騎兵は無事遊牧民国の尖兵との戦いに勝利し、

 遊牧民国に制圧された都市を開放したという話であった。


 報告書を大魔道に返すと、まおー様は溜息をついたのだった。


「ガーゴイルを利用した空中観測制圧射撃戦術とは恐れ入る。戦い方は変わるものだな」

「ええ、"空中"というのはそれだけで戦術的に優位に立てるのですよ。地を這うムシケラ如きに迎撃する手段がありませんからな」


 ガーゴイルに先行偵察させ、

 敵の位置を確定したらデーモングレートボウを装備した獣魔達に一斉射撃を行わせるというものだ。

 敵からは弓兵の位置は一切悟られず、逆にこちら側は一方的に敵の位置を知る事ができ、

 ガーゴイルの位置座標を攻撃目標とすること有効精密射撃を可能とする。

 本来目視範囲外を精密に狙うのは困難だが、

 これなら目視範囲以上を有効射程とすることが可能とする


 また、哨戒及び偵察時はガーゴイルの高度を一定に保っておき、

 敵を発見したガーゴイルは規定高度から上昇させることにより、

 遠隔から敵の位置を一方的に把握することができるのだ。


 敵の状態は空中で作られるガーゴイルの陣形によって判断する事ができる。

 それは、大魔道の考案した悪魔的な戦術だった。


 戦闘は、始まる前から終わっていた。それだけだった。


「全く耳に痛い話だ。余もまた、その地を這うムシケラとそう大して変わらぬからな」


 ちなみに地を這うムシケラとはグウェイルという竜魔族がまおー様を謗る際に使う言葉でもある。

 実はまおー様は魔貴族からは結構イビられてたりするのだ。よわっちいから。


「はぁ…ならまおー様も風の魔法を覚えればいいじゃないですか……」

「気が向いたら覚えるとしよう。気が向いたらな」


 つまり覚える気がないのだ。まおー様はまほーが苦手だから。

 そして、風の魔法を覚えるために使える時間はもうないのだ。


「ただ、この空中観測制圧射撃戦術は騎士国の人間が多くいる場所では使えませんがな」


 大魔道の懸念は最もであり、騎士国の町などで使用しようものなら、

 悪魔の像と百騎兵の関係を疑われかねない。

 明らかに目立つため、獣魔族の虎の子である、

 ヒポクリフやドゥン及び魔獣兵の使用も制限せざるを得ない。

 そのため、騎士国と合流したデモナは今後苦戦を強いられることになる。


 野戦において多数の騎馬弓兵とまともにぶつかって戦えば、

 いくらデーモンナイトと言えども多くの被害が出てしまう事だろう。


「まぁ、そこから先はあの姫騎士次第であろうな。さて、どこまでやることやら」


 その言葉を言ったまおー様はどこか遠い目をしているのであった。


「これから先、さらに面倒な事が起きるわけですな」

「勇者の出現に始まり、騎士王が獣人を攻め、姫騎士は戦禍を広げた。大魔道よ。結局こうなってしまうわけか」

 はじめは些細な抵抗のはずだったまおー様の取った行動で多くの人間共は争い始めた。 

 血を血で洗い流す争いは次第に激化し、大きくなっていく。

 多くの者達が不幸になり死んでいく。人も魔族も。


「それが魔王の宿命ですからな。力を持つ者はそれだけで争いの渦中に引きずり込まれます。望むも、望まざるも」

「ククッ、余も所詮は魔王であったということだ。さて、これから先、余の進む途にどれだけの血が流れていくことになるのだろうな」

「ムシケラを踏み潰す事を一々気にしていては、ドラゴンは生きていけませんぞ」

「全くだな」

「ええ、全くですな」


「……大魔道よ。そういえば言っていたな。賢者は戦いよりも死を選ぶと」

「ええ、戦えばお互いに滅びます。死を選ぶ側は奪われ続ける事を受け入れられるのであれば皆幸せになれる。賢者とは皆の幸福のための生贄です。そういう格言ですな」


 誰かが戦いを諦めていれば全てが終わった話。

 まおー様が戦いを止めれば、勇者が戦いを止めれば、騎士王が戦いを止めれば、

 だが、誰も『たたかう』ことを止めなかった。それが、人の選択だった。

 誰も自分は痛い思いをしたくはない。だから『たたかう』を選択し続ける。

 やっぱり家畜は嫌だから。


「だが、余を含め、愚か者共は戦う事をやめなかった。そして、この言葉には続きがあったな」

「まおー様……それは……」

「さらなる賢者は生まれぬ事を望むと。魔王も、勇者も、そんなもの必要あったのだろうな?」

「まおー様、やめましょう。この話は。きっと何か別の方法があるはずです」


 その方法とは、今のところまおー様の死でしか解決できないものだ。

 それが、まおー様の知る不死身の勇者を止める方法なのだ。


「……そうだな。ただ思う事もあるぞ。余が魔王でよかったとな」


 魔王、勇者も、存在しなければ何も起こらなかった争い。

 勇者に反抗せず、黙って奪われて死んでおけば何も起こらなかった争い。

 まおー様とは、それ即ち存在そのものが愚者だったのだ。


 自分勝手極まりない理由で始めた戦いで多くの争いを引き起こし、

 多くの人間共を不幸と絶望のどん底に叩き落した事実だけは残る。

 どこで選択を間違えたのかを考えればキリがないのだ。


 ノースポイント村住民を根絶やしにし、

 獣人領に住むオークやゴブリン共の大半を殺し、

 騎士国に住む騎士及び住民の多くを殺害した。それが結果だった。


 まおー様はこれからも生き続ける事で多くの者共に不幸を撒き散らし、そして殺す。

 そして、殺し続けた先で勇者に滅ぼされる。これがまおー様の選択だ。


 ただ一人の娘を守るためにこうしなければならなかったのだろうか。

 やはり勇者が現れた時点で早々に滅んでおくべきだったのではないだろうか。

 と、まおー様は時折思うのであった。


 ただ、この魔王の業を背負い、末路を辿る者は自身でよかった。とまおー様は思うのだった。

 あほっぽい魔族の娘がこの途を辿るのはあまりにも過酷だから。とまおー様は思うのだった。


「ククッ精々愚者は愚者らしく(クソッタレ)に踊らされてやろうではないか。血と汗と涙を流しながらな」

 っと自嘲げに嗤うまおー様であった。

ぶっちゃけここに来てガーゴイルを強くしすぎたなって思ったこの頃。

SRPGでいう所の戦術マップで"俯瞰視点"が使えるようなものだし。後だしジャンケンし放題なのだ。

群狼作戦ウルフパックに加え、気球観測からの遠距離狙撃が可能なので色々ぶっ飛んでます。

こうでもしないと10倍差ある遊牧民に勝てるビジョンが全く沸かないというのも事実……


でもこういう偵察要因が居ないとまおー様サイドからの動きって作れないし……

ガーゴイルがいないと勇者が来るまで玉座で延々踏ん反りかえってることくらいしかできないという

情報伝達って大変

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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