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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第27話:デーモンバリスタ

いわゆるモノローグ回、エンジョイ&エキサイティングの様子を詳細に描写すると

R18に引っかかりそうなのでこんな按配です。

ーーーーーーーーーーーーーーー…

イーストエンド 騎士国領

ーーーーーーーーーーーーーーー…


 トイナ騎士国とユーミン遊牧民国との間の戦争は一方的になっていた。


 遊牧民国は当初、戦線布告を始めてから直ぐの間、手近な村落を始めに略奪し、

 人質を確保し、それを肉の盾とする事で迎撃の意志を削いできた。

 この作戦を取れば騎士道精神に溢れる騎士国の者共は何も出来なくなるからだ。


 こうやって幾つもの集落から奴隷や肉の盾を獲得し、

 捕虜や男は家族等を人質にして戦奴として無理矢理先頭で戦わせることにより、

 部族内の損害を抑えて騎士国への侵略を進めてきた。


 たまに肉の盾が効かない領主も現れるが、

 千以上の騎馬弓兵と捕虜にされた戦奴の物量を前にしてはなす術もなかった。

 領主間での連携も分断工作で上手くとれず、各個撃破される一方となっていたのだ。


 だが、騎士国領内に設営した前線野営地に駐屯しているユーミン部族達は浮き足立っていた。

 それは、騎士国領の南部から中央部にかけての制圧が終わった段階で異変が起こったせいだ。


 とある略奪部隊が制圧した騎士国の町から奴隷を集めて駐屯地に帰還する道中で、

 突如、上空から巨大な鋼鉄の矢が降り注いだのだった。

 それは、攻城兵器のバリスタを思わせるものだ。それが雨の如く降り注いだ。


 本来、バリスタは連射が効かない。

 それに、命中精度も低く運搬に難があるため、突発的な野戦で運用するのは難しい。

 だが、事実バリスタの矢は降り注ぎ、5分と持たずに部隊は壊滅したのだった。


 奇襲を受けて逃げ帰った者達の中で矢を放った者達を観測できた者は一人もいなかった。

 出鱈目な距離から一方的に、精確に射撃されていたのだった。


 略奪部隊千人隊長は不機嫌な様子で、

 生き延びた別働隊の略奪部隊の兵士に対して怒鳴り散らしていた。


「おい、何が起こっている」

「分かりません。東側から矢が降ってくるんだ」

「その方角にあるのは辺鄙な村くらいだ。嘘をつくな」

 そういって千人隊長は兵士の腹を殴りつける。「ぐぁ、本当なんだ。」

 兵士は苦悶の表情を浮かべながら反論するのであった。


 事実、東側といえば獣人領の方角、

 獣人によって略奪が行われてきた地域であり、廃れているのだ。

 無論、駐屯する兵は残しているが、

 トイナ騎士国領中央の領主連合から派遣されている対獣人騎士部隊が中心である。

 バリスタのような大掛かりな攻城兵器を大量に製造し、

 援軍として駆けつけられる程の余力があるとは考えにくいのだ。


 そして、見張り台の方面から声が上がった。


「敵襲だ!」


 その声を皮切りに部隊長達はテントから出ると、

 十数体の悪魔を模した石像が空を疎らに飛んできていた。


「おい、何だアレは。悪魔か?」

「分かりません」

「おい、とにかく矢を射掛けて落せ」


 そう千人隊長は周囲の者達に命令する。

 それに従い周囲の者達はコンポジットボウで狙い撃った。

 だが、悪魔の像達は矢を当てるには困難な高い位置を飛んでいた。

 そのため、おいそれと矢を当てられるものではなかった。

 それに加えて、胴体部分が石で出来ているので当てても弾かれたのだ。


 矢の雨の中を何食わぬ顔で直進し続ける悪魔の像達は野営地の頭上の上空に座すると、

 円陣を組み、その場に居座った。


 撃った矢が周囲に落ちて同士討ちになってしまうため、射撃は中断せざる得ない状況になる。

 だがに悪魔の像達は何もしてこない。そんな奇妙な不気味さを誰もが感じていた。

 誰もが、異様な悪魔の像達に視線を奪われていたのだ。


 そして、地獄は突然始まった。ふいに物見櫓に立っている見張りが叫ぶ。


「ん、何だ、あの連中は……おい、バリスタの矢が降って来るぞぉおおおお」


 言い終わるや否や、百はあろうかという鋼鉄の杭が天から一斉に降り注いだ。


「「うわあああああああああああ」」


 男共の暑苦しい悲鳴と炸裂音が辺りに鳴り響く。

 ある杭はテントを串刺しにして倒壊させ、ある杭は一撃で物見櫓を破壊して見張りを潰し、

 ある杭は人間を粉微塵にして血潮をばら撒いた。


 降り注ぐ杭は地面を抉ると派手に土や石を巻き上げた。

 直撃を免れた者でも飛んでくる石礫で怪我を負ったのだ。

 

 一瞬の間に数十人が殺戮され、主要な建物が倒壊するという悪夢のような状況になった。


 「おい、直ぐに戦闘態勢に入れるよう、馬に乗って隊列を組め。伝令共は直ぐに他の連中にも伝えろ」


 余りの出来事に一瞬放心した千人隊長だが、

 直ぐに気を取り直して伝令や周囲の兵に指示を出し

 無事な物見櫓まで駆け出して登る。それは、状況確認のためだ。


 千人隊長の視界の片隅には悪魔の像達の円陣が馬小屋の方面に向かっているのが見えた。

 それは、馬に乗るために人が大量に密集しようとしている場所だった。


 その直後、第二射が降り注いだ。

 「「うわあああああああああああ」」


 馬小屋目掛けて大量の鋼鉄の矢が降り注ぐ。

 馬小屋には穴が空き、建物は倒壊し、中に居る者は下敷きになり、串刺しになった。

 人も馬も平等に。その制圧射撃でまた、数十名が死んだ。

 生き残った馬は逃げ、人を轢き、生き残った者達は混乱し、場は混沌に支配される。

 

 続きざまに起こる悲鳴をよそに、千人隊長は矢の飛んでくる方を見据えた。

 こちら側の攻撃可能射程を超える遥か遠くに人影が100人余りが見えた。

 その人影は人の背丈ほどある漆黒の剛弓を持っていた。

 そして、金属の棒のようなものを矢に乗せ引き絞っている。目掛けている方角はこちらだ。


 その、兵団の様子は異様としか言い様がなかった。全身が空銀色で固められた金属の塊。

 よくある英雄譚に出てくる英雄の兵団を模したかのような荘厳な外観。

 だが、それは本来異常なことだ。

 本来、フルプレートメイルなどというモノは重すぎて常人が扱えるものではない。

 引き絞っている漆黒の剛弓にしてもそうだ。

 まるでバリスタを自力で引いているかのようなでたらめな膂力をしている。


 あれは人ならざるものの騎士達。

 それは、無残に殺された騎士達の怨霊にも思えた。

 ふと、千人隊長は兵団の先頭に立つ者だけが顔を覆い隠していないことが気になった。

 金色の髪をたなびかせるその者は、こちらに向けて手を振り下ろした。


 千人隊長は確信する。今は本陣に戻り、この事を報告する事が最優先であると。

 だから迷わなかった。


「全軍本陣まで撤退しろおおおおお!」千人隊長は叫び、第三射が飛んでくる。

 千人隊長の登っている櫓に剛射が突き刺さり、崩れた櫓に潰されて。死んだ。


 第四射が飛んでくる。第五射が飛んでくる。第6射、第7射、……

 そして、野営地は一刻も持たずに血潮と瓦礫とクレーターで埋め尽くされることになる。

 ありとあらゆる者が死んでいた。捕虜も、馬も、蛮族も。

 

 無我夢中で逃げる馬賊達。

 だが、頭上の上空では悪魔の像達が円陣を組みながら追跡をしてくる。

 そして、杭が降り注ぐのだった。何度も。無慈悲に。

 

 逃げ切ったと思っても、そのうち見つかり鋼鉄の杭が降ってくる。

 悪魔の像達が頭上の上空に座する時、死神がやってくるのだった。

100のデーモンナイトで1000以上居る騎馬弓兵に勝つ方法がこれしか思いつかなかった。

正直反省はしている。何か筋肉的アイディアが浮かんだら書き直すかもしれない。


戦闘のイメージはダクソの銀騎士100体が竜狩りの大弓を持った状態で一斉射撃してくる感じだろうか。


野戦で戦ったらデーモンナイトより騎馬弓兵の方が絶対強いし。

なので、遭遇戦も封殺しないといけない。結果ガーゴイル先生に頼む事になった。ひどい。


ちゃんと作戦と状況作って勝てよって話はあるかもしれない。

でもそれやると描写のためにモブ戦闘でまた5話とか使うことになるので……

2章はそろそろまきまきでいきたいのでこんな按配になりました。はい。

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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