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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
新訳1章:異世界転生勇者・タカシ
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新訳1章 第3話:獣魔将ライノスウォーロード

とりあえず死刑執行分は上げなおせて大満足

ーーーーーーーーーーーーーー…

獣魔領 シュールストレミング

ーーーーーーーーーーーーーー…


 玉座の間でまおー様はガーゴイルから受け取った報告書を読んでいた。


 内容は、黒髪の男タカシと呼ばれる男が勇者らしい行動を取っていたというものだ。

 回復魔法を行使し、勇者を自称し、レベル、スキル、

 等のキーワードの発言記録があったというものだ。


「大魔道よ。これは勇者で間違いないな?」

「名前、髪色、発言内容、行使した魔法、どれを見ても近代出現し始めた勇者の特徴と一致しておりますな」


 大魔道への確認を終えたまおー様は玉座の間への新たな来訪者に視線を移す。

 視線の先で跪いていたのは、重装甲の全身鎧を身に包んだサイ男だ。

 鼻先から伸びている角はもはや凶器と言っても過言ではない。

 

「というわけだ。ライノスウォーロードよ。これよりお主にはノース村に滞在している勇者討伐を任命する」

「まおー様よぉ…… 俺様にこンな雑魚の討伐をやらせンのか? こう見えて俺様は結構忙しいンだぜ」


 実際、ライノスウォーロードは獣人要塞という拠点で獣人達ゴブリンやオークを指揮している。

 そこで人間との小競り合いを管理してもらっているので抜けていい存在というわけではない。

 だが、まおー様の権限で自由にすぐ動かせる魔将階級と言えば彼しかいない。


「まおー様直々の任命に対してその態度、不敬であるぞ、ライノスウォーロード」

「よい。大魔導、退屈な任務で済まぬが、ライノスウォーロードよ。お主でなくてはならないのだ」


 無論、デーモンナイトでも報告書にある実力の勇者を討ちとる事は十分可能である。

 だが、中途半端な存在を送れば何かの拍子に経験値にされてしまう可能性が高まる。

 だから現段階でまおー様が使える最強の存在をぶつけるしかないのだ。

 それが、ライノスウォーロードなのである。


 大魔道やまおー様の方が実力自体はあるが、直接勇者の前に出るだなんて以っての外なのだ。

 勇者は倒せないのだからその間一切魔族の統治ができなくなってしまう弊害があるからだ。

 数ヶ月、もしくは年単位で国政を疎かにする事は許されない。


「へいへい、総大将の頼みとあっちゃ仕方ねぇな。それで、勇者以外も皆殺しにしちまっていいか?」

「それは許可せん」

「なンでだよ?焼き払っちまった方が楽だと思うぜ?」


「村を焼いて皆殺しにすれば勇者が別の村に転移する可能性がある。それでは意味がない。勇者は村から外に逃げられないようにする必要がある。」


 過去に魔王が勇者に対して行った方法の一つに村の焼きうちがある。

 だが、殺して燃やしたはずの勇者の死体はいつの間にか消え、

 別の村に再出現したという記録があったのだ。

 転移されてしまえば再補足するまでに経験値を稼がれてしまうので本末転倒である。


 勇者を村に封殺すれば、少なくとも経験値は稼がれないという理屈だ。


「ンン?じゃあどうすンだよ」

「勇者だけを殺害し、他の人間共には恐怖を与え、勇者に対する嫌悪や憎悪を植え付けよ」

「また、どうしてこうも回りくどい真似をするンだな?」


「勇者を肉体面で追い込んでも有効打にならぬ。何度殺しても蘇って立ち向かってくるのには必ず何かからくりがある。恐らく恐怖や痛みに対する感覚が鈍いのだろう。故に、勇者の精神を折り、勇者の正義を汚し、勇者の人望を地の底に落すことを優先せよ」


 過去に666回勇者を殺した魔王が居る。

 だが、それでも勇者は立ち向かってきた。


 常人は死に瀕する痛みを何度も受けるというのは耐えられるものではない。

 ふざけた態度で何度も死ねる余裕があるのだから拷問の類も意味をなさない。

 だから、心を狙う。そして、勇者に効かないならばそれ以外を狙えばよい。


 勇者の真に厄介なのは人間共がこぞって勇者を祭り上げるところにある。

 過去に観測された勇者に信頼を寄せる盲目の同行者、その存在も厄介極まる。

 勇者が国に抱えられてしまえば攻め入る事も難しくなる。


「まぁ、俺様はそういう趣向も嫌いじゃないぜ? 人間共が同士討ちする様を眺めるのは傑作だからナァ? ゲッハハハハッ」


 ライノスウォーロードの下卑た笑いを浮かべる。


「ライノスウォーロードよ。お主とその直属の部下にはガーゴイルとヒポクリフを貸す。それで空から勇者の動向を昼夜問わず監視して対処しろ。何かあればすぐに報告をよこせ。いいな?」


「へいへい、分かりましたとも。総大将の頼みとあらばナァ?それじゃあもういいンなら行ってくるぜ」

「頼むぞ。ライノスウォーロードよ」


 ライノスウォーロードは立ち上がり、玉座の間を後にする。

 そして、大魔道は涙を浮かべていたのだった。


「何だ、大魔道。泣いてると気持ち悪いぞ」

「この大魔導、年のせいか少々涙もろくなっておりました。まおー様も立派に魔王をしておられるのですな」


「……所詮この程度、単なる時間稼ぎにしかならぬさ。余よりも強く、賢く、素早い歴代の魔王達も皆、例外なく敗れ去ったのだからな。余が先代より優れているのは先代よりも少々長く歴史を知っているだけに過ぎぬ」


 時間をかければかけるほど、勇者が強くなることは変わらない。

 ライノスウォーロードが強くてもいずれは滅ぼされてしまう。

 そうなってしまえば、まおー様に打てる手はもうない。


 彼女や大魔道であれば別だが、勇者と対峙させるわけにはいかないのだ。 

 そうなる前にまおー様は断頭台に登る決断をしなくてはならない。

 

「私はまだ、諦めてはおりませんぞ。せめてまおー様がご結婚なされて後継ぎを作られるまでの間、何が何でもこの大魔道がお守り致しますからな」


 結婚しろと言われるとひじょーに耳が痛くなるのがまおー様だったりする。

 定めある限り先にあるのは悲しみしかない。ならば愛などいらぬ。

 と思うまおー様なのだ。


 大魔道の造ったガーゴイルの存在なくして勇者を捕捉するのは困難だっただろう。

 大魔道の貢献によって、勇者を相手に先手をうつ事ができたのだ。

 故にまおー様は思うのだ。


「ふぅ、やめておけ、お主と余の命では余の方が遥かに軽い。次のために尽くせ。だが、その忠誠には感謝するぞ。大魔道よ」

「まおー様、ヘレナ殿はよろしいのですか? きっと悲しまれますぞ」

「元々余にとっては分不相応な話。それにあやつも最近は随分と明るくなってきておるからもう大丈夫だろう」


 一般的に獣魔族の寿命は魔族の中で最も短く、妖魔族の寿命は魔族の中で最も長い。

 まおー様とヘレナは殆ど同じ年月を生きてはいるが、

 時の感じ方は獣魔の血が濃いまおー様と純血の妖魔のヘレナでは大きく異なる。


 所詮は見知った蝉の一生を眺めている程度の出来事でしかないはず。

 そうあって欲しいという願望からきている言葉であった。


「まおー様…」



 

…無敵勇者の対処法として他に何があっただろうか。

以下、まおー様の思考プロセス。


1.拉致監禁して生かす→餓死もしくは自決で村ワープされて対処される

2.女体化して完全降伏する→性奴隷洗脳ルートまっしぐら

3.村焼き討ち→リスポーンポイント変更(全ての村や町を滅ぼせば勝ちかも)

4.スローライフ()路線に引き込むために女を派遣して土着させる→naiseiで全世界支配して気まぐれで滅ぼされる

5.対話する→うっせーばか男は死ね

6.頑張って倒し続ける→レベルを上げて物理や魔法で殴り返される。最後にヒロイン寝取られて終了

7.魔王が自決して勇者の不死を解除して一回ぶっ殺せば終わり。←イマココ


アイデアがあれば他の手段がとれるんだけどなー

大魔王バラモスの取った手段、二度と生き返らないようにハラワタ食い尽くしても復活する勇者とは…うごごごご…

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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