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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第20話:果実を食べよう

ほんわかなノリだと思った?またデモナちゃんタイムだよ(恍惚)

ーーーーーーーーーーーーーーー…

獣魔領 魔城シュールストレミング

ーーーーーーーーーーーーーーー…


 私が魔城に来てから数日経つ、

 最初はどうなるかと思ったが快く受け入れてもらえたようだ。

 城内にある宿舎は貸してもらえたし、質素ではあるが食事ももらえた。

 流石に芋虫は出てこなかった。どうやらアレは上裸の男が特別なだけのようだ。

 ただ、ほんの少しだけ残念に思っている自分には驚いている。


 皆、野菜や果実、獣肉などで生活はしていた。

 聞けば、畑を維持するのも苦労するらしい。

 畑を荒らしにきた魔獣を狩って糧とするのがここでの生活になるのだとか。


 私には一着の鎧が与えられた。

 漆黒の騎士が着ていた鎧だった。

 肌を晒す部位が一切なく、ごてごてとした棘や角が鎧のいたる所から突き出ている。

 手で鎧に触れれば傷がつく、それは刃の鎧だった。

 

 着てみると思ったより軽いのだ。

 体感であれば、まだ人であった時に着ていたチェインメイルの方が重く感じた。

 身体を動かす度にガチャガチャと金属が擦れる音がなるのが煩わしい。

 だけど、この鎧を着たとき、まるで御伽噺の英雄になったかのような高揚感に包まれた。

 この鎧は、その、カッコいいのだ。


 最初、兜は何時ものクセで着けていなかったのだが、上裸の男に注意されてしまった。


「お主もデーモンナイトならば兜はちゃんと装備しろ。他の者に示しがつかんだろう」


 言ってる本人が殆ど裸同然なのだから面白い話だが。


 お父様はせめて女らしくするために髪を伸ばせと言っていた。

 だが、髪を伸ばすとあう兜がなくなってしまうので、今まで着けてこなかった。

 今思えば、戦場では常に特別扱いされていた気がした。

 必ず護衛はつくし、死地に近い場所からは遠ざけられてきた。

 勝てる戦しか出たことはなかった。


 皆、私のやる事を騎士の"真似事"としか見ていなかったのは知っている。

 だからがむしゃらに剣を振るい続けて国では2番になった。

 でも結局は腕っ節が強いだけの姫。守られるだけの私の扱いは変わらなかった。


 ここでの私は単なるデーモンナイト。それ以上でも、それ以下でもない。

 2本の悪魔の角を模した金属の棘がついた漆黒のアーメット。

 これをかぶってしまえば、外から見て私だと気づく者はもういない。

 それは、少し嬉しいようで寂しい話だった。


 でも、初めて騎士になれたのかもしれない。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


 今、私は獣人要塞の略奪部隊の指揮を執っている。

 目の前にあるのは農作物の輸送馬車。6人居た。

 そのうち護衛の一人は既に死んでいる。私が殺した。


 漆黒のクレイモアで一突きし、呆れる程、あっけなく。死んだ。殺した。


 目の前には恐怖で腰を抜かした者達。

 その恐怖の視線の先にあるのは、私だ。私を見ている。


 「そいつのように死にたくなければ荷馬車を置いて去れ」

 「「ッヒィイイイイイイイ!」」


 残りの人間達は脱兎の如く逃げ出す。

 それを獣人達は追撃しようとする。


「追わなくて良い。これで十分だ」


 そう言って制止しなければ、人間に恨みを持つ獣人は襲いにいく。

 だから止める。無駄な犠牲は少しでも少ない方が良いに決まっているから。

 

 十数人のオークとゴブリン達は荷物を馬車ごと奪っていく。

 馬は連れて帰って殺して肉にする。獣人領(あそこ)では馬は飼えないから。

 

 ……覚悟はしていたが、やはり、堪える。

 罪なき者達を一方的に刺し貫くのは罪悪感を覚える。

 脅すだけで食料が賄えるのならまだいい。

 だが、オークの生活のためには人も殺す必要があった。


 だから一人見せしめに殺した。私が…この手で。


 この馬車を奪われた事によって、

 騎士国の人間は食糧難に苛まれる事になる。

 だが、奪わなければ獣人が餓えて死ぬ。


 こうも、どうしようもない事なのだろうか。

 虚しさだけが寄り添ってくるのだ。


 この、漆黒のアーメットが無ければきっと情けない顔を晒していた。

 相手に表情を悟られない。それは武器。

 そして、心を守るための防具でもある。


 この情けない顔のままでは、きっと獣人達は言う事を聞いてくれない。

 だから兜をつけるのだな。と思った。

 注意してくれたあの男には感謝している。


 これを何時までも続けるのだろうか。ずっとだろうか。

 まともな道はもう歩けない。本当にそうなのだろうか。

 

 以前、私の代わりに略奪を行っていたライノスウォーロードは何を考えていたのだろうか。

 100年以上、ずっと続けていたらしい。

 

 私は…… 100年以上これを続ける事ができるだろうか。


 岐路に着く途中、休憩で略奪した食料を皆で囲んだ。


 囲んだメンバーの中、一人気になるゴブリンが居た。

 猫耳の少女のゴブリンだった。離れた所で果実を一つ手に持っていた。

 少女は、吹けば消える程の儚さをかもしだしていた。


 それは明らかにこの場にそぐわない様子なのだ。

 略奪に参加するような者はもっぱら男、

 それも人間に恨みがあったりするような者達ばかりだ。


 猫耳の少女の隣に腰を下ろし声をかけることにした。


「貴女のような女性がこの部隊に参加するとは珍しいな」

「あ…デモナ様、私のような者にお声かけして頂けるだなんて」

 猫耳の少女はおずおずとした調子で言う。


「ああ、そんなに畏まらなくて良い。私も新参みたいなものだしな」

「は、はい」

「それで、どうしてこんな部隊に参加しているんだ?」


 猫耳の少女は躊躇いつつも言葉を紡ぐ。


「幼馴染が略奪部隊に居たんです…… 」


 居た。つまりそれはもう居ないということだ。

 不躾に聞いた事に少し、罪悪感が沸いた。


「ニトって言うんですけど。 何時も危ない事ばかりしてて、皆に食べ物を持ってくると言ったきり帰って来なくなりました。」


 そう言って、獣人の少女は手元の果実に視線を落す。

 手に持っていた果実には黒い斑点が幾つも浮かんでいた。

 私は果実がそういう状態になる事があることを知らなかった。


 そして、ニト…… という人物には覚えがあった。

 獣人要塞で私が唯一戦った獣人の少年だ。


「失礼だが、名前を聞いても?」


「あ、ココって言います。」


 思い出した。獣人の少年が死に際に言った名だ。

 彼は元々は人間だったと言っていた。そして、彼と幼馴染である彼女も。

 胸が苦しくなった。


「その…… 申し訳ない」それは、罪悪感から漏らしてしまった言葉。

「……? どうしてデモナ様が謝られるのでしょうか」

「その少年が死んでしまったのは私のせいだから…な」

「いえ、私のせいなんです」

「…え?」


「私はどこかでニトに甘えていたんだと思うんです。次もきっとニトが助けてくれるってどこかで思ってました。だから……ニトは無茶しちゃったんです。本当は私がもっと本気で止めるべきだったんです」


 獣人要塞では獅子奮迅の如く戦い、凄惨な現場を作った獣人の少年。

 彼の奮闘がなければ、魔族の援軍は間に合っていなかったと言われている。

 あの戦いの中、僅かにだけ生き延びたゴブリンはそう言っていた。


 それはつまり、お父様率いる騎兵が獣人領に攻め込んでいたということ。

 恐らく数百という犠牲は一時もしないうちに作り出されていた。


「彼は君達の事をしっかり助けた。それは間違いない。私が保証する」

「でも、そんな事より生きて帰ってきて欲しかった…… 駄目なら、逃げて欲しかった…… あっごめんなさい」


 獣人の少女の目からは涙が流れていた。


 彼の少年が言った通り、私の手はとっくに血まみれだった。

 直接手を下したのは私ではないが、それは言い訳でしかない。

 彼の命を奪うきっかけを作ったのは、私だ。


 漆黒のアーメットに感謝するのはこれで二度目だな。

 最近はいつもこんなのばっかりだなとつくづく思う。

 

「……だから、私も見ようと思ったんです。最期にニトの見ていた景色を。それが、この部隊に参加した理由です」


「そうか…… せめて私でよければ力にならせてくれ」

「はい、ありがとうございます」


 ただ、獣人の少女に宿る気配は…… 少し前にあった私と同じもの。

 希望の絶えた状態そのものだった。


 私には、これ以上の慰めの言葉をかけることはできない。

 言った所で、それは、彼女に対して何の慰めにもならない。

 他に出来る事といえば……


「そうだ、この果実を食べるといい。それでは食べられないだろう」


 私は自分の持っている普通の果実を渡そうとする。

 だが、獣人の少女は受け取らない。


「私は、これで良いんです」


 そういって、黒い斑点が幾つも浮かんでいる果実を見せるのであった。


「これ、黒斑病って言うんです。普通の果実じゃなくって病気になってしまった果実。残ってると他の健康な果実に病気をうつしちゃう果実。見た目も悪いから棄てられてしまうだけの果実。ふふ、これって私と同じなんですよ?」


「それは…… 」


「でも、こんな果実でも駄目な部分削り取って煮詰めてしまえば食べられるんです。だから私が食べてあげるんです。棄てられて腐っちゃうのはちょっと可愛そうだから」


 儚い少女にかける言葉は、何も出てこなかった。


 不要となってしまえば無残に棄てられてしまう。人も果実も等しく平等に。 

 獣人の少女はそう言いたいのだろうか。それは、何の珍しい事でもないと。

 ただ、残酷な現実と定めを受け入れるということ。


 流行り病…… どうしてこんなものがあるのだろうか。

 人間同士をいがみ合わせ、殺し合わせ、死に至らしめる病。

 これが神の作りし天罰だと言うのなら、

 切り刻んでばらばらに引き裂いてやりたいと心底思った。

 

デモナちゃんの苦悩はとどまる事を知らない。正義感溢れる人ほどダメージがでかいこの世界。

登場人物が皆よってたかってデモナちゃんのマインドにダメージを与えてくる不具合。

さり気無くまおー様のゲテモノ食汚染が侵食中……これがデモナちゃんの好きな芋虫肉だ!


ライノスウォーロード=サンの偉大さが段々分かってくる。

そんなお話なのだ。

何で明らかなモブ将オーラ出してたのがここまで立派になったのだろうか……


余談ですが果実の元ネタは林檎…インスパイア(パクリ)元も林檎だったしね!

ただ、季節は夏を想定しているため、収穫時期が3ヶ月くらいずれるので…

果実とわざと曖昧にしてたりするわけですが。

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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