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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第14話:ケダモノの理

相変わらずスーパーレイディアナちゃんタイム

今回はさらに色々ひどくてキツイので注意。


流行り病の元ネタはペストとかライ病になるます。王道ですね。

ーーーーーーーーーーーーーー…

獣魔領 西部 スカージの村

ーーーーーーーーーーーーーー…


 闇が晴れて安心したためか私は強い空腹感を感じていた。

 ここで、疑問が一つ浮かんだ。

 この村の"食料"はどうなっているのかということだ。


 前夜に確認した限りでは、畑は荒れ果てており機能している様子は全くない。

 外は魔獣が跋扈している。

 うかつに出歩けば前日のゴブリンの少年のように肉塊にされるのが目に見えている。

 この隔離所は…とても食料が自給できているようには見えないのだ。


 とても、嫌な予感がした。


 私は大虎の化け物に襲われたゴブリンの住んでいる小屋に向かう事にした。

 そして、そこにいたのは、

 ゴブリンの少年だったモノに群がる無数の人のような形をしたもの達。

 異形や奇形と化した者、ゴブリン、オーク、それぞれが死肉を貪っている。

 目眩がした。


「ヒヒッおはようございます。レイディアナ様。その様子ですとよい夢は…見ることができなかったようですね」

 

 突如背後からミイラ男…墓守に声をかけられる。

 体調が万全ではないとは言え、気配を全く感じ取る事ができなかった。

 

「……アレは、なんなのだ。答えろ」

「我々にとっての"ご馳走"ですよ。レイディアナ様もお一つどうですか?」


 アレは、駄目だ。いくら空腹でもアレを食べては、もう人で居られなくなる。

 アレに群がっているのは皆、ケダモノだ。人ではない。


「ふざけるな! 人の肉を食らうだと。お前達は何を考えているんだ」

 

「……ここで弱者は糧を得る事ができません。畑を作っても魔獣に荒らされます。そのため、魔獣の食い残しや病死体、餓死者を食らって生きつなぐのですよ。それ以外ではその辺の草やムシケラを食らって生きつないでいるのです。魔獣を狩れるのでしたら付近の森で木の実や果実をとることも可能でしょうが、命がけで取った糧を分け与える程の物好きはおりません。ヒヒッちなみに余談ですが、ゴブリンの肉は少々不味いので人のままの形を保った固体の肉の方が美味しいそうですよ」

 

 オークが人を食らう理由は、これか。酷い。あまりにも酷すぎる。


「お前達は、何も感じないのか? あの行為はおぞましくないのか? 私には…… 理解できん」


「理解はしなくてもいずれは選択を迫られます。餓死か、食らうか。それが此処の理です。彼等はただ、生き延びたいだけなのですよ。それを責められるいわれはありません」


 この場所も、ここで生きている者達も、ここに送り込んだ者達も。正気じゃない。

 この環境に居続けたら、私は、とても正気では…いられない。

 ここは、"地獄"だ。


「狂っているぞ。此処は、お前達もだ。何故だ。どうしてここまで酷い仕打ちを受けなくてはならないのだ。どうして、こんなものを私に見せるのだ…」

「ヒヒッ、これが神が人に与え給うた天罰なのですよ。…あのお方の受け売りではありますが」


「あのお方?」


「興味があるのでしたら一度お会いになられてみてはどうでしょうか。丁度本日こちらに来られるそうですし。あのお方は気さくな方ですので、面白い話をしてくださるかもしれませんよ。」


「その、案内してもらってもよいだろうか」

「ええ、勿論ですとも、ただ、その前に彼等の食事が終わるまでお待ち頂いてもよろしいでしょうか」

「…ああ」


 私達は黙ってみていた。死骸が赤い遺骨になっていく様を。食人鬼が立ち去るまで。

 墓守は残った骨を拾い集めていった。

 私はその様子を訝しげに眺めていただけだった。


「ヒヒッこれが私の仕事ですので。放っておくと村が死体と骨だらけになってしまいますので」


 もう、その事を聞く気にはなれなかった。

 歩き出す墓守に黙って付いていくことにした。


 私は今、人のままの姿をしているのだろうか。

 あのお方に会ったら何か変わるのだろうか。

 ただ、朝日は明るくても先行きは闇よりも冥い事だけは分かっている。

 

 途中、おぞましいモノを見かけた。

 弱者がさらなる弱者の尊厳を奪っていく様。嘆き。叫び。

 助けた。私は騎士だから。私にはもうそれしか残ってないから。

 だが、感謝される事はなかった。代わりに「皆殺してくれ」とだけ懇願された。

 それは助けた彼女の事も含まれている。出来なかった。


 墓守曰く、これも日常なのだそうだ。弱肉強食…ケダモノの理だ。

 この手にスティレットが無ければ私もそのうちああなるのだろうか。

 あんなのは嫌だ。まだ魔獣の餌になった方がマシだ。

 誰か…… 助けて欲しい。


 村の外れに出た。

 これまでと風景はがらっと変わる。

 見渡す限り、墓、墓、墓、墓、墓、墓、墓、墓。

 色々な墓が立ち並んでいた。


 

詳細に描写するとR18に引っかかるのでアトモスフィアだけ感じていただけると(殴

レイディアナちゃんの感情が死んでいく様子を表現できていればいいなぁ(殴


肉親戦死→病発症からの迫害→異常集落で常に極限状態→R18

正直ここまで立て続けにおこって正気維持って相当凄い精神力の持ち主だと思うの。

この後に1週間くらいかかる獣人領への旅までやってのけたニト君は剛の者なんですねぇ。


生きるって残酷ね。人が獣のステージに堕ちた時、どうやって生き抜くか。

協調するにも運が悪けりゃ問答無用で魔獣の餌。秩序や法なんてあったもんじゃないと。

よわっちい人間狙った方がどう考えても楽なんですよ。


風景のイメージはまももの流行り病…かなぁ


死体処理できる人も居なけりゃ穴を掘る人もいない。

魔獣を追い払う人もいなけりゃ食料を調達できる人もいない。

資材がないから武器も防具も農具も工具も作れない。作る知識もない。

何故なら皆病人だから。そして感染るからそんな連中を助けようなんて思う人はいない。

嫌なら自己責任でどうぞ。という究極的に素敵な環境です。はい。


こんな環境で生き抜くためにはニト君とココちゃんのように互いに支えあっていかないと無理なのです。

レイディアナちゃんの運の悪いところはソロできてしまったことでしょう。


自己責任で魔獣なぎ倒しながら野生で生きていける人らはこんな村出て行くでしょうし。

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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