2章 第9話:デーモンナイト
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イーストエンドポイント 獣人要塞 右翼高台
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オーク共が守護する獣人要塞の右翼高台では雌雄が決しようとしていた。
守備に回るオーク達も戦闘開始当初の2割程しか残っておらず、
相変わらず騎士の増援は留まる事を知らない。
オーク大将軍も度重なる戦闘で負傷し、疲労が見えていたのだ。
そして……
「しねぃ、ケダモノどもめ」
「ウゴォオオオ!」
一人の騎士の放った突きにより、壮絶な雄たけびを上げてオーク大将軍は倒れる。
そのことにより、それまで前線を支えていたオーク達には動揺が走った。
騎士達の怒声にも聞こえるような歓声はより強く大きくなっていく。
オーク達にはもはや戦う気力は残っていなかった。
我先にとがむしゃらに遁走するものが続出し、戦列は崩壊していくことになる。
勇ましく戦列を維持するオーク達は即座に騎士にとり囲まれ、
次々背後から滅多刺し、切り殺されることになった。
「やったぞ。これで…… この戦いも終わる。私達は勝ったんだ!」
「「おおおおおおおお!」」
つかの間の勝利に酔いしれる騎士達であったが、
突如、太陽の光が遮られ、辺り一面が影に覆われた。
そして、周囲の温度が急速に落ちていくのを誰もが感じた。
「なあ、何か…寒くなってきていないか」
「ああ、何だ…これは、霧…なのか?」
「今の時期に霧が発生することはおかしい。どういうことだ」
周囲の異常な様子に気がついた騎士達は口々に言う。
要塞の外は霧の壁に覆われており、外の陣地の様子が見えなくなっていた。
騎士達の間に動揺が走り始めたその時。
「ぐぁああああああ!」
突如悲鳴があがり、騎士達は一斉にその方向を警戒する。
その方向は先遣隊が向かった中庭に続く階段からだった。
ガチャリ、ガチャリ、と金属の擦れる音がかすかに聞こえる。
ゆっくりと、落ち着いた様子で、段々とその音は大きくなる。
そのうち、階段から一つの漆黒の剣が姿を見せた。
それは、先遣隊の一人を串刺しにしたまま、天を穿っていた。
その剣は普通のロングソードと変わらない細さだった。
しかし、異常な程刀身が長いのだ。槍と見紛うが如く。
ガチャリ、ガチャリ、と金属の擦れる音がさらに近くなる。
そして、剣の持ち主が姿を見せた。
それはまるで、騎士のような見た目をしていた。
今、この場にいるどの騎士よりも騎士らしい見た目をしていた。
顔は角のついた漆黒のアーメットで覆われており、表情は見えず。
胴体、肩、腕、腰、脚、足…身体の全てが漆黒の金属で覆われていた。
チェインメイルを装備した人間を串刺しにしているというのに、
剣を支える姿勢には一切の乱れがなく、
騎士の規範とさえいえる程、優雅で整然としたものであったのだ。
騎士達は直感で理解する。
アレは我々とは全く異なる生き物であるということを。
階段を登り終えた騎士のようなものは足を止めると、
剣を振るって串刺しにしているものを振り飛ばした。
呆気に取られていた一人の騎士は飛んできた死体に巻き込まれて潰れた。
鎧を着た人間を飛ばしたのだ。
緩慢な動作で、重量など全く意介さないといった様子で。
騎士のようなものは剣を振るって血を払う。
そして、剣の切っ先を天に向け、中段で構えて騎士達へと向き直った。
それは、戦闘のための構えではなく、儀礼用…見栄えのためだけの構えだった。
騎士達に戦慄が走った。
お互い目配せして目の前の脅威にどのように対抗しようという中、
突如顔に傷のある騎士が高々に笑い出した。
「ハッハッハッハ、なっちゃいねぇ。全然なっちゃあいねぇな。化け物が生意気に騎士の真似事なんかしちゃいけねぇ。そういう事をやるのはうちのじゃじゃ馬姫くらい可愛げがないとお話にならないね。ふざけるなよ!」
顔に傷のある騎士は両手剣の切っ先を悪魔の騎士に向け、
息を一度吐くと叫びと同時に駆け出した。
先制攻撃を加えたのは顔に傷のある騎士による上段からの振り下ろしだった。
しかし、悪魔の騎士は軽やかなステップで避けると同時に側面にまわり、一閃。
その一閃は呆れる程鮮やかで冷酷だった。
顔に傷のある騎士は自分が既に死んでいることにすら気がついていなかった程。
「なん…だよ…こりゃあ…」
チェインメイルごと胴体を真っ二つに寸断されていた。
バターを切り分けるかのようにあっさりと。
悪魔の騎士は顔に傷のある騎士だったモノを興味なさげに一瞥すると、
剣にこびり付いた血を振るって払う。
そして、また、ゆっくりと例の構えを取り直し、
改めて騎士達を正面に捕らえる。
ガチャリ、ガチャリ、ガチャリと一歩ずつ、
ゆっくりと、踏みしめて近寄ってくる。
「う、うわぁあああああ」
耐え切れなくなった騎士のうちの一人が、
クロスボウを悪魔の騎士に向けて近距離からボルトを放った。
その様子を見ていた誰もが悪魔の騎士にボルトが突き刺さる事を願っていた。
しかし、悪魔の騎士は剣で払ったのだ。
虫を払うかの如く、緩慢とした動きで。
我に返った周りの数人の騎士達も続いてクロスボウを構え、
ボルトを放とうとする。が、それらが放たれることはなかった。
5mはあろうかという間合いをほんの一瞬で詰め、数人まとめて薙ぎ払ったのだ。
攻撃を受けた集団の中、最初にクロスボウを放った騎士だけが唯一生き残った。
悪魔の騎士は、一閃の範囲から漏れ一人生き残った騎士の前に立つと、
静かに剣を引いて寝かせ、上段に構えた。ゆっくりと。
それは大げさといってよい程ゆっくりした予備動作だった。
これから突きを放つので避けても良いですよと言っているかのように。
先ほどの一瞬で距離を詰めて薙ぎ払った動きなんて最初からなかったのかのように。
生き残った騎士は動けなかった。
恐怖のあまりに失禁していたのだ。
突く瞬間は見えなかった。
気がついたら既に胴体がつらぬかれていたのだ。
「ぐゎあああああああああ!!」
断末魔が辺り一面に響いた。
悪魔の騎士はまた、例の構えをとろうとする。
死体が浮かび上がっていく。
死体がついていても、ついていなくても同じ速度で構えをとったのだ。
その姿勢は、邂逅したときと全く同じ、優雅で歴然としたものだった。
悪魔の騎士は次の騎士の集団に向けてまた歩き出す。
ガチャリ、ガチャリ、と、ゆっくりと
それは恐怖そのものだった。
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おーおーおー、おーおーおー、おーおーおー、おーおーおぉおおーーー(^ω^)
っで通じるんだろうか。
多分デモンズソウルの二次小説とか書いてる人に見られたらストレートパンチされるんじゃないかってくらい酷い展開です。はい。
ドヤ歩きとドヤムーブを真面目にやるデーモンナイトさんの心情はいかに…
こんなのが獣人要塞に20体くらい駆けつけたわけです。はい
色々やりたい放題やってるけど、野戦だったら中世騎士でもふつーにデーモンナイトは殺せるよ!
クロスボウによる掃射を前ににビビッてドヤムーブも忘れて本気出してるしね!
戦う場所が悪いんですよ。はい
本当は左翼高台にも配置してローランドさんも串刺しにする予定だったけどなくなりました(^ω^)




