2章 第7話:不穏な空
状況説明回なので正直微妙な話
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イーストエンドポイント 獣人要塞
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獣人要塞攻略戦が開始してから、幾ばくか時間が過ぎていった。
騎士王と姫騎士は丘の陣地で斥候からの報告を受けていた。
3方向から獣人要塞に攻勢をかけている騎士達の様子が映る。
左翼高台にはゴブリン部隊、右翼高台にはオーク部隊が展開されており、
梯子を登っている近接部隊との戦闘が行われていた。
梯子を登る近接部隊の援護のために、
クロスボウ部隊はを梯子の下から高台へにらみを効かせていた。
遠目からでは戦況は優勢のように見える。
しかし、斥候から受けた戦況報告の内容は芳しいものではなかったのだ。
「~~以上、となります」
「報告ご苦労であった。さて、どうしたものか」
騎士王は改めて思案する。
開戦当初は守りの薄いであろうゴブリンが守っている方面の高台を制圧後、
門を開閉して騎兵隊と連携して要塞内のオーク部隊に挟撃をして掃討する手筈だった。
しかし、血染めのゴブリン一体を前に左翼高台の戦線は硬直することになる。
それどころか何十人もの騎士が惨殺されるという事態から、
若手の騎士を始めとしてゴブリン方面の近接部隊の士気が低下していた。
既に近接部隊全体の損耗率は半分程となり、
獣人要塞攻略戦は血を血で洗う泥沼の戦闘となっていたのだ。
「血染めのゴブリンを討ち取らない限り、このまま逐次投入していても犠牲が増える一方か…… ならば私自らがうって出るべきか…?」
「お待ちください、お父様。私がその血染めのゴブリンを討ち取りましょう」
「レイディアナ。確かに騎士の中でも実力のあるお前が出るのは適任… いや、待て」
知っている顔の熟練の騎士も討ち取られたとの報告もあった。
もし、血染めのゴブリンがレイディアナの実力を上回っていた場合、
それは娘を失う事になってしまう、それが騎士王を一瞬迷わせた。
「お父様?」
「いや、なんでもない。すまないが行ってくれるか」
王たるもの、時には私情は捨てなくてはならない。
迷えば迷っている時間の分だけ状況は刻一刻と悪くなるのだ。
犠牲になって逝った兵達を思えば、選択肢など、ない。
「はい、必ずや仇を討ってまいります」
「うむ、期待しているぞ。だが危なくかったらすぐ退却するのだぞ」
レイディアナは馬に跨り、獣人要塞の左翼方面へ進む。
騎士王は騎兵の列にいる青年の騎士に呼びかける。
「ローランド、レイディアナに危険が迫るようなら引きずってでも連れ戻せ。アレの言うことは聞かなくてよいからな」
ローランドと呼ばれた青年の騎士は軽く笑う。
「ふっ、あの騎士王も娘が相手ではただの父親ですね」
「茶化すな。見合いの件を取り消すぞ」
「それは困りましたね。ええ、ご安心ください。この命に代えましても姫の安全は保障致します」
「任せたぞ」
「はっ」
青年の騎士は騎兵の列から外れて姫騎士を追う。
結局保険をかけた自らの浅ましさに苦笑する騎士王であった。
今となってはたった一人の家族となってしまったのだから。
「この戦いで騎士国を取り巻く悲劇全てを終わらせなければならぬ」
騎士王は決意する。
獣人共はここで全て滅ぼさなくてはならない。
そして、この国に巣くっている病巣も全て取り除かねばならない。と
騎士王は再び戦場の様子をじっと見据える。
また幾分か時が過ぎた頃、異様な気配を感じた。
「む、これは……」
騎士王は異様な気配の元となる獣人要塞の遥か先の上空を見る。
獣人要塞の先の遥か上空に小さな影が幾つも並んでいた。
僅かではあるが徐々に、徐々にその影は大きくなっていく。
新たな戦雲が立ち込める。騎士王には確かな予感があった。
「伝令、近接部隊を援護をしている投射部隊には上空を警戒するように伝えよ。現場の状況次第で退却も許可する」
「はっ」
伝令は早馬に乗り前線にかける。
騎士王は上空の影を睨む。
中央には異常に巨大な鷲、そして、それを囲うように翼の生えた馬達が飛んでいた。
領域を侵さねば目にする事はあまりない魔物達が徒党を組んで人前に姿を現したのだ。
それを意味する事は……
まおー様パート作ったは良いけどひたすら作戦を説明するだけ…という非常につまらないものになったのでバッサリカットしました。セリフを入れるたびにカリスマが落ちていくので喋らせない方が良いという結論に至るのはサクーシャの限界のせいだろう。多分きっとそう
最近になって気がついた話ですが、おーさまにセリフで状況説明をさせるとすごーく小物っぽくなるんですよね……そういう役目って一般兵士とかでも出来るわけですし
2章冒頭でまおー様がそれをやってしまったのでカリスマストップ安状態です。
王に求められるのは決断と意思であって頭のよさとかあんまり必要ない気がします。
そういう意味では初期にまおー様とやり取りさせるのは大魔道だけでは足りなかったと反省。




