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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第5話:大鷲ヴァルフォアル

ということでまおー様の出陣の様子を補足する話を追加、

ヴァルフォアルちゃんのエピソードは過去編にまとめるので今回はこれくらい。

 まおー様は魔城の屋外にある魔獣飼育区間に足を運んでいた。


 そこにはヒポクリフを飼育するための魔獣小屋が立ち並んでおり、

 小窓からひょっこり顔を出して草とかモシャモシャしている様子が見える。

 他にもヒヒーンと嘶いていたり、パカパカしてたり、バッサバッサしてる。


 小屋から出た所には大きな放牧用の庭があり、

 そこではヒポクリフに乗って乗馬訓練をしているデーモンナイト達が居た。


 飛兵になれる者というのはほんの一握りのエリートデーモンナイトだけなのだ。

 空中でたずなを手放してロングボウによる攻撃を行うのは非常にリスクが高く、

 それだけで恐怖心に負けてしまうものがいるくらいである。


 特に空対地強襲突撃の訓練が危険であり、

 下手をすれば投げ出されて地面に叩きつけられる。

 いずれもしっかりヒポクリフを乗りこなす事が出来なければ大事故になる。


 実際、強襲突撃で落下加速している状態でヒポクリフから振り落とされ、

 背中から地面に叩きつけられると死ぬほど痛い。まおー様は詳しいんだ。


 今、一人の訓練中のデーモンナイトが地面に投げ出されていた。

 意識を失って担架で運ばれていく様子をまおー様は目撃する。


 実戦で振り落とされれば落下衝撃の後に集団リンチが待ち構えている。

 飛兵は非常に強力な反面、扱うのは非常に難しい。

 訓練ですら命がけなのでヒポクリフライダーになるのは本当に大変なのだ。

 

 まおー様はそんな訓練の様子を一瞥いちべつすると歩き出す。

 

 さらに奥地に進むと頑丈で高いフェンスで阻まれているのを発見する。

 ドゥンという虎のような騎乗生物を飼育するための領域である。

 こちらはヒポクリフと違って割りと獰猛なので飼いならすのが大変なようだ。

 

 多少理由は違えどドゥンライダーになるのも命がけなのだ。

 訓練中にドゥンに噛み殺される事が魔族の死因で上位候補になる。


 一度噛みつかれてみれば分かるのだが、

 その牙は非常に凶悪で一度獲物に食らいつくと中々放してくれない。

 2週間くらい医療ベッドで栄養食を食べていないといけなくなるほどだ。

 まおー様は詳しいんだ。


 いっそ陸上騎兵に使うのを馬にすれば良いのにと思わなくも無いが、

 魔獣が跋扈する魔領は馬の生息に適さないため、

 餌でしかない野生の馬を生け捕りにするのはそもそも困難を極める。

 そんな馬達が生き残るため、空中に活路を見出した結果がヒポクリフなのである。


 ヒポクリフは地面を走る事に関しては退化しているので陸上運用に適さない。

 そして、調教されたヒポクリフは非常に貴重なのでそんな運用は勿体無い。

 デーモンナイトとヒポクリフの命ならヒポクリフを優先する方がいいのだ。


 ドゥン自体は割りと魔領のそこらに繁殖しているのだが、

 肉食なのであんまり大量に飼育すると魔族の食糧事情を逼迫させかねない。

 何でもかんでも飼えば良いってものでもないのだ。

 魔獣戦国時代みたいな魔領の中で肉や果実を得る事は本当に命がけなのだから。

 弱く戦えない者はこの場所でこの先生き残る事はできない。養うにも限度がある。

 

 だからゴブリンを保護している余裕もなかったりする。

 一匹保護すればその家族を保護しなければいけなくなる。

 家族を保護すれば平等に部族を保護しなければいけなくなる。

 ゴブリンそのものを保護すれば、そのための社会も作らないといけない。

 オークなんて人間しか食えないのだから保護どころではない。

 正直面倒ごとが増えるだけなのだ。数だって魔族の3倍以上いるのだし。

 何とか自活してもらうほかない。


 そうしてドゥンの飼育現場を一瞥するとまおー様はまた歩き出す。


 魔獣飼育区間の外れまでいくと巨大な魔獣小屋が見えた。

 まおー様は高さ6mはあろうかという金属の扉を手で開けると、重い金属の音が鳴り響く。

 門の先には巨大な大鷲が静かに佇んでいた。

 まおー様の気配に気がつくと「キュエッ」と軽く鳴いた。

 同じくまおー様の気配に気がついた飼育担当は挨拶と共に深々と礼をする。

 

「楽にしてよいぞ。ヴァルフォアルの様子はどうなっておる」

「はい、普段どおりで静かなものです」

「そうか、では後は余が世話をするので休んでいてよいぞ」

「はっ」


 飼育担当のデーモンサーヴァントは一礼すると、

 扉に備え付けられている鎖を全力で引っ張って門を閉めて出て行った。

 実の所、飼育担当用の出口は別にあるので門から入る必要はあんまりない。

 まおー様は単純に近いからそこから入ってるのだ。


 その様子を見ていた大鷲は咎めるかのように首を横に振って鳴いた。

 まおー様はそれを気にせず毛ブラシを棚から拾って大鷲の毛づくろいを始める。


「くく、仕方あるまい。お主が無駄にでか過ぎるからこのような構造になっておるのだからな。まぁ、文句があるならこのように小屋を作った魔王にでも言うのじゃな」


 大鷲も実の所、このやり取りは日常茶飯事のことなのであんまり気にしていない。

 「キュエッ」と軽く鳴くと目を細めてブラッシングを受け入れるのであった。


「さて、これからお前の力を借りることになる」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー……


 そして、獣人要塞へ向けて出陣する直前まで時が進む。


 ヒポクリフに騎乗して隊列を組んでいるデーモンナイト達が集まる広場の中央で、

 フルアーマーで大斧を装備したまおー様はヴァルフォアルに跨る。


 しかし、いつまで経ってもヴァルフォアルは飛ぼうとしない。

 それどころか前のめりに潰れて倒れこんでしまう。


「どうした。ヴァルフォアル」

「キュエ…」

「…もしや、重いのか」

「キュエ!」


 どうやらまおー様があまりにも重過ぎて背に乗せて飛べないらしい。

 フルアーマー時のまおー様の重量は大よそ1トンにもなる。

 これは全長6mあるヴァルフォアルの重量で言うと大よそ2倍にあたる。


 まおー様の装備は特注なので凄まじく重い。

 デーモンナイトの標準装備の大よそ10倍くらい。

 これは初代魔王の遺品だったりするわけなのだが。使うのは今回が初めてだった。


 いくら大鷲の大魔獣であっても流石に辛い。


「…仕方がない。脱ぐか……」

「キュエ!」


 まおー様が鎧を脱ぎ捨てる様子を苦笑いしながら見守るデーモンナイト達なのであった。

 そして、上裸丸腰の状態で戦場に向かうまおー様が爆誕することになる。

なんでまおー様が腰巻一丁で出て来るんだよって言い訳。

そして、これによりまおー様が空中戦をする際に裸にならないといけなくなる呪いがかかるのであった。


魔王の装備(初代魔王サルヴァシリーズ)の重量設定

大斧の重量で200kg、上半身の鎧の重量で300kg、その他具足装備で400kg

ついでに持ってきてないけど大盾の重量が500kg(大斧は片手斧なので)


ヴァルフォアルの積載重量が500kgを限度とすると…

ヒポクリフの積載重量は150kg~200kgくらいかな…


大斧装備して空中戦をしようと思うとほぼゼヌーラになる必要がある。

これが後に大きな問題を引き起こすことになる。


ダークソウルとかで胴だけマッパーにしてるアレみたいな感じになってしまった。

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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