表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生リセマラします!!  作者: 卑屈な大学生
4/5

人生のレアリティ

紛れもないそれは俺のスマホだった。多少ボロくなっているが間違いない。


「ゼンは本当にそのオモチャが大事なんですね、昔近くの森で貴女が迷子になってしまった時に拾ってきたものですよね」


俺が森で迷子になった時に俺自身が拾ってきたもの?全く身に覚えがない。

しかし、「いつも大切そうにしていた」といっていたから当時の俺はスマホの重要性を理解していたのか?


「前から思っていたのですが、それは一体?」


スマホを知らないのか?このご時世で?俺が今いる場所は日本ではない上にド田舎の国なのかもしれない。


「えっと、スマホっていうものだよ」


「スマホとは何ですか?」


「携帯電話みたいなものかな」


「携帯電話とは何ですか?」


「・・・・・・」


この女、携帯電話も知らないとは無知にも程がある。

説明するのは面倒臭いから


「わ、わたしのお友達の名前よ!スマホっていうのはニックネームよ!」


無生物を「わたしのお友達」だなんて言うのは至極恥ずかしいことであり、惨めである。

いくら自分の発言を誤魔化すためとはいえ、いくら今俺が幼女だからといって

中身は二十歳の立派な大人である故、自分が気持ち悪くて吐きそうだ。


「そうだったのですね!お友達でしたか!なるほど」


どうやら納得してくれたらしい。苦肉の策が実を結んだか。

とりあえず、自分のスマホを持って彼女のいう「稽古」へ共に向かうことにした。


どうやら稽古する場所は森のようだ。俺が家に出るときに気が付いたのだが、この家は町外れの山に建っているらしい。


山の標高の高い位置に建っているので、町を一望することができた。

やはり日本ではないか、どこかの外国の町だろうか?何しろ携帯電話を知らない奴がいるくらいだ。

どこかの国の秘境とかだろうか?


「では、始めましょうか」


銀髪の女は家を出るとき持っていた布にくるんだ棒状のモノを手に取り布を外した。


「え?剣?」


紛れもない本物の剣であった。稽古というのは剣術のことだったのか、彼女は上着を脱いで素振りを始めた。


俺も剣術というか剣道をやっていた時期があったため分かるのだが。彼女はかなり剣の腕が良いと思った。

筋トレではつかない、実戦を重ねることでついた強靭かつしなやかな筋肉のつきかたをしていた。


ところで彼女は稽古をし始めたようだが、俺は何の稽古をしたらいいのか?

剣は彼女が持っている一本だけであり俺が持ってきたのは自分のスマホだけなのだが・・


「ゼンは剣を持つには早いからそこら辺で私の剣裁きを見ていて下さい」


なるほど、見て学べということか。


しかし、何故剣術の稽古を?俺が見た感じここ一辺は別に物騒な感じではないし。こんな山奥で暮らしているというのに剣術の需要はないと思うのだが。


「お母さんさ、どうして剣術の稽古をしているの?」


と、気になって思わず聞いてしまった。彼女は少し驚いたようだが質問に答えてくれた


「あなたを守るため、それが私の使命だから」


敬語じゃなくなった口調の変化と声のトーンの違いで彼女の「あなたを守る」という言葉に本気の覚悟を感じた。


母親が自分の子供を守るというのは当然なのかもしれないが、「使命」というのは些か言いすぎな気がする。


彼女の意思が分かったところで、俺は虫取りを・・・

誰がするか!遠い昔はしていたけども。


俺は剣術の稽古を一人でやっている彼女から距離をとるために森の薄暗いところまで移動し、自分のスマホを操作することにした。


これは電源がつくのか?数年前に俺自身が拾ってきたのなら、普通に考えて充電は切れているはずだ。


電源ボタンを入れてみる


「・・・マジか」


電源がついた。自分のパスワードを入れて開いてみる。


「!」


こうなった全ての元凶であろう『人生』という名のアプリがホーム画面に堂々と存在していた。

俺は画面をタップしてアプリを起動してみる



レアリティ・SSR

名前・サクリファイス・ガーディアン

IQ・120

限界値・寿命90歳(今の生活スタイルの場合)身長171.5㎝バスト88㎝

両親・カース・ガーディアン(母)×アンセルム・アバック(父)

顔面偏差値・81.8


アプリを起動したら以上のような表が出てきた。アルファベットの「SSR」とはよくガチャで目にするレアリティの表し方で「超激レア」のことを指す。この幼女のレアリティが超激レアということなのだろうか?


幼女のレアリティとか意味不明で少し危ない感じもするが「希少」という意味では確かにそうだろう。

この表を下にスクロールすると俺ことサクリファイスの顔写真があった。


「可愛い」


思わず声が出てしまった。こんな可愛らしい幼女がこの世にいたとは驚きである。

そうそうこんな美人とは出会えないだろう。さすが顔面偏差値81.8である。


今の状況だと自分の写真を自分で可愛いといっているようなもので不思議な気分になる。


容姿の話はこのくらいにしておいて問題はこの表についてである。人物のプロフィールのように見えるが書き方が変だし(限界値ってなんだよ)大きく異なる。

それと両親の表記の仕方をDQMの配合表みたいにしないでほしい。


俺はこの表にあるレアリティに目をつけた。希少度を意味する言葉でありガチャなどでよくみるものだ。

サクリファイスをガチャの排出キャラと置き換えると・・・


「なるほど、俺はサクリファイスの人生を引き当てたというわけか」


どういうことかといえば、「キャラガチャ」ならぬ「人生ガチャ」を俺は引いて超激レアであるサクリファイスの人生を当てた。ということになる。


信じられないことで馬鹿馬鹿しいことこの上ないのだが、状況から考えてこの説が有力だろう。

もしこの説が本当だとするのならこの『人生』というアプリは一体何なのか恐怖まで感じてしまう。


「君が、サクリファイス・ガーディアンちゃんかい?」


不意に声がした。あの銀髪の女ではない男の声だ。


「え?はい、そうですけど・・」


この場所で初めて銀髪の女以外の人間に会った。これはいい機会だ、サクリファイスのことを知っているようだし色々と聞いてみよう。


「あ、でもここ最近はゼンっていう名前に変わったんだっけ?まぁどうでもいいけど」


声はするのに男の姿は見えない、森の木にでも隠れているのか?


「あの・・あなたの名前は」


「死人に名乗る名前は無いよ」


「え?」


その瞬間辺りが稲妻のような青白い光で包まれた































評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ