第8話 封じと秒殺
ギィィン
ギィィン
片手剣と大剣がぶつかり合い火花と共に鳴り響く金属音。
もう少しでバフが切れるぐらい剣を交えてる。言わせていただきたい、そろそろ疲れてきたとーーーー。
何回目か分からない鍔迫り合いをし、一旦退く。
「だぁぁぁ!!!これじゃあらちがあかねぇ。何か手はないか………」
「こんなもんか………ユウヤ?予選の力は偽物か?」
大剣を肩に担ぎ皮肉を交えて言われる。
バフがあれば何とかなるとか思ってたが甘かった。スキルはある、ただし解放されていない。ならば今使えるスキルでどうにかするしかないのだが。
「あの大剣………魔力の『補充』と『変換』が特性ってところか」
「ほぅ………良くわかったな。分析魔法の類だな」
バレてるし………バレちゃってるし。まぁバフで俺の持つ観察力を強化し、勝手な解釈だったけど。
だがしかし特性が分かってたとしても今の俺にはどうにもならんのは事実。
「考えてるだけでは俺には勝てんぞ!!!」
いつのまにか間合いを詰め大剣を振りかぶってくる。空気を切り裂きながら接近してくるタトンノを取り敢えず
打撃強化 チェイン4
衝撃波強化 チェイン3
ダメージ増加 チェイン3
殴る。
「オラァ!!!!!!」
「な……??!ぬん!!!!」
顔面を殴ったと思ったが、紙一重のところで大剣で防がれる。
キリキリと音を立てながら拳を押し付けるが大剣はビクともしない。
ヤベェ……完全に手詰まりかもしれねぇ
「危ないところだった………予選の時に見せたアレは通じんぞ?」
「なるほど俺の衝撃波を『変換』しやがったのか」
「ご名答。君の衝撃波を魔力に『変換』した………では説明も済んだところで返そう」
ヘ………?とか言う間も無く不自然に爆発が起 こる。俺の突き付けていた大剣からーーー。 爆発はタトンノの魔力と俺の魔力が反発しあって起きた現象だ。
爆発と共に起きた爆風に吹き飛ばされフィールドのはじまで飛ばされる。
「ガハッッ………グォォッッ!!!」
ステータス0だとダメージがやばい。いや、普通にキツイ。
チェイン下げていたにも変わらず魔力に変えるとあんだけの威力が出んのかよ………。
あの大剣に備わってるスキルをどうにかするしかない。
地を吐き出しながらそんなことを思っているとピコンッと音がする。
「なんだ………?」
視界の左下にバナーが表示されている。
【条件を満たしたためスキルが解放されました】
[封じ手]
詳細
対象のスキルを一時的に封じる。またスキルだけではなく魔法や能力を封じることが可能。
こりゃまた凄いのが追加されたな……だがこのスキルのおかげで勝機が見えた。
右手に持っていた鉄の剣を杖代わりにして立ち上がる。その様子を見たタトンノは口元に笑みを浮かべ盛大に笑う。
「ふははは………ふははははははは!!!俺の爆破を喰らって尚、動けるか………良かろう!さぁかかってこい!!!」
「そうさせて……もらうよ」
自動回復付与状態をかける余裕もない、というか多分速攻で終わると思うし
身体強化 チェイン4
攻撃強化 チェイン4
を使用し地面を蹴りタトンノへと駆け出す。俺はただ一点へと視線を向ける、大剣だ。
タトンノは大剣を両手で持ち構えてくる。そしてタトンノの間合いへと入ると同時に大剣を振り上げ斬り上げてくる。
それを上手く鉄の剣で威力を受け流しながら、懐へと入り込む。その時に魔力の流し込みが感じ取れたので
「悪いもう視えてる」
と言っておく。予想通り驚愕に目を見開いている。そんな事を無視し、大剣へ触れる。そしてポツリと
「[封じ手]」
呟く。直後大剣へ流し込まれていた魔力が止まり『補充』されていた魔力が空っぽになる。
そしてそのままタトンノの腹を全力で蹴り飛ばす。
衝撃波強化 チェイン5
脚力強化 チェイン5
もちろんオマケ付きで
「グォォッッ!!!」
と間抜けな声と共に場外へと吹っ飛ぶ。
場外を確認したアイムさんが声をあげる。
「勝者、ユウヤ・ウヅキぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
「「「「「オォォォォォォォォォ」」」」」
歓声があがる。俺は脱力しながらもフィールドから去る。
「マジ疲れた………」
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「実力は把握した………よ、ユウヤ」
未だ止まぬ歓声の中、金髪の青年。エイジ・アルファンはその場を立ち去る。
目的地は転移魔法の術式、次の2試合目に出るためだ。
「この試合に勝って決勝戦で君と当たれば、相応しいか相応しくないか……ね」
そして2試合目が始まる。
一瞬だった。
勝者はエイジ・アルファン、秒殺だった。