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生まれつき目を悪くした王女:後編

>>>とある世界のハザマで――<<<

MCーA:(ヒロイン役)紫式の魔女ことサー・アーサー・ソフィー・ヴァイオレッタ

MC-B:(物語の書き手役)暴食の魔王ベル様


「んまぁ、開発ざますよカイハツ! ここでムーンライトノベルズ(女性向け)ならエロに目覚めたうぶな少女がセイの快楽にめざめちゃうわけですが、そんなシーンを一般小説で書くわけにも行かないでここは当然、カット、カット、カーーーーーットざます」


ソフィー「開発って私に何を開発させる気よ、何を!」


ベルさま「え、もちろんお子様よお子様。かわいい魔人になるのかなー」


ソフィー「そういうナマナマしいのはヤメて!」


ベルさま「うん。で、ともかくムーンライトノベルズではなく、一般小説で限界を攻めてみました。オーソドックスなシナリオを目指してみたのだけれど、ソフィーはどう思う?」


ソフィー「一体これのどこがオーソドックスなのよ!?」


ベルさま「えー。サブタイトル見てよ! 『魔王に拾われた少女』『魔法の使えない侯爵の娘』『生まれつき目を悪くした王女』……、ほら。どう見ても王道じゃないの」


ソフィー「だからベル様! いや、それを全部くっつけたらダメだってば。混ぜるな危険! 混ぜるな危険よ! 酸とアルカリを混ぜるとしょっぱい塩しか出来あがらないんだから」


ベルさま「えー。だって普通のネットの人気小説の代表っていったら、居酒屋〇〇とか、〇世界食堂とかあるじゃない。そうした小説だと短話完結でおいしー食べ物を紹介していっているんだから、この乙女系風恋愛ノベルでだって、いろいろお食事を出した方がおいしく食べられて人気が出そうだと思わない? 私だったら暴食しちゃう」


ソフィー「それで暴食できるのはベル様だけですってば! 食べないでくださいッ」


ベルさま「あぁそうね。貴方はエディに食べられる側だものね」


ソフィー「(顔が真っ赤)えーっと。まぁそうなんですが」


ベルさま「私が貴方の立場だったら貪るように暴食するのに……」


ソフィー「あら? あらあら? 私のお父さんに、いったいナニをする気なのかな?」


ベルさま「うわ、怖い。ソフィー怒らせたらまじ怖い――。その顔やめて――。ほら、私も眼球特化型の特級ポーションあげるからさ――。目の見えない娘だったらこれでいちころさッ」


ソフィー「いや、それはいいから」


ベルさま「え、だめ? じゃぁもっと可愛らしくソフィーのこと書くよ? それで赦して! シーンの導入とか頑張るし!」


ソフィー「頑張ったっていうか、半分エロシーン突っ込んでますよね?」


ベルさま「いや、でも私がバイブルにしている創作講座本によれば、エロシーン以外の物語フェーズは、ほんとにエロエロなシーンとは分けて書け(そうしないと読者の頭に入らないから)ってドクトリンがあるのよ。で、そーいうのを前の方に持ってきているんだよね。だから、ソフィー喜びなさい。この後編部分がムーンライトノベルズにいったらすごいよ。全編エロしか書かないつもり」


ソフィー「うわぁ、どんだけなのよ。私に一体なにする気なのよ」


ベルさま「もし書くならやっぱりおフランスな書院の淫語辞典とか買って勉強するべきかしら? バイブルに従って」


ソフィー「あぁ、ベル様の灰色の脳に無駄に変な知識が蓄積されていく――。ってそんな辞典が必要なほど淫語ってあるものなのかしら?」


ベルさま「ほら、謎の白い液体とか、お肉のツボとか、愛の液体とかいろいろあるじゃない?」


ソフィー「なにそれ? 謎の白い液体ってウィスキーの原料? お肉のツボってあれでしょう? 小籠包(しょうろんぽう)とか。あぁ、いきなり被りつくと肉汁が溢れちゃうから穴をあけて吸うんでしたっけ?」


ベルさま「ソフィーは初心(うぶ)で可愛いね」


ソフィー「それから愛の液ってあー。あれでしょう!? おしゃれなカフェで恋人と同士が1つのグラスに2本の絡めたストロー突っ込んでお互いにちゅっ、ちゅっ、ってするやつでしょ!? それで間違えて彼氏のストローで飲んだりして、『あ。間接キスっ』とか言っちゃうやつ。もうドキドキしちゃーぅ。さすがは淫語ね」


ベルさま「――リア充死ねばいいのに」


ソフィー「私ならお父さんのストローは持ち帰るのになぁ。なぜみんなそうしないんだろう」


ベルさま「――。ソフィー、貴方さすがに犯罪はやめようね」


ソフィー「大丈夫よ。お父さん成分ならいつでも補充できるから」


ベルさま「お熱いことで。あめちゃんいる?」


ソフィー「さすがに、今どきあめちゃんで釣られる人はいなんじゃないかなー?」


ベルさま「でもね。あのバイブルは非常に使えるものではあるけれど。気にいらないこともあるのよ」


ソフィー「あれ? ベル様ってばひたすらそのバイブル押しだと思ったら違うんですね? 〇ディア〇ークスに喧嘩売っちゃうの?」


ベルさま「なんと、あの乙女系ノベル創作講座には、魔王はあっても『お兄様』と『先輩』はないのだ!」


ソフィー「別にいいじゃない? さすがに肉親は攻略しちゃいけないでしょ」


ベルさま「なんと、あの乙女系ノベル創作講座には、魔王はあっても『お父さん』はないのだ!」


ソフィー「うわそれ最低ね。さすがの私でも引くわ~」


ベルさま「大体『お父さんのお嫁さんになりたい』系と『悪役令嬢ざまぁ』系はネット恋愛小説の2台巨頭だというのに、なぜお父さんがいないんか不思議でしょうがないわね。悪役令嬢はヒロインの恋のライバルだから出てこないのは当然として」


ソフィー「いやその視野の狭さはさすがにどうかと思うけど」


ベルさま「――というわけで、そろそろ字数的にも良いかなッ! 以上『魔法の使えない侯爵の娘』編でした。次回は『おしおきされる獣人族の少女』です。いやー、初めてのエッチ、快楽の目覚めときて、強引なのがついに来ましたざますよ。おーほほ」


ソフィー「ベル様ぁ。タイトルから既におしおきされるって、超強引な展開しか見えないのですが……」


ベルさま「あぁ、むりやりされちゃうソフィーの耽美な肢体を見てみたいわぁ」


ソフィー「以上、幕間MCは私こと紫式の魔女サー・アーサー・ソフィー・ヴァイオレッタと、暴食の魔王ベル様でお送りしました。次のシーンは学園の優雅な昼食会からです。ブックマーク、感想、評価、よろしくねッ☆」


ベルさま「恥ずかしすぎて感想とかたぶん見ないけどね」


ソフィー「またか――」

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