魔法使いと夏の出会い2
大変遅くなりました。マイペースに進めるにしても1ヶ月も空いたことには謝罪以外何もないです。すいませんでした。
「はぁ・・・。ナツヤが〔夏の象徴〕の魔法使い、ねぇー。」
「あ、それ信じてないでしょ。」
薄暗くなった森の中、俺とナツヤは話しながら歩く。
ついさっき、空から落ちてきた俺に心配する声で話しかけてきた和服の少年。名前はナツヤ、苗字とかそういうのはない・・・らしいのだが。本人の紹介はそれだけでは終わらず。
―――僕も君と同じ魔法使いなんだ。〔夏の象徴〕のね。
と、言われたが会って早々そんなこと言われて誰が信じるよ?
「それにしてもハヤテも鈍感だよねー。魔力の濃度とか感じ取れば飛べるほどの魔力は漂ってないってわかるのに。もしかして魔力感知とか下手?」
「悪かったな。ちょっと余所見してたんだよ。」
「ふーん。まぁ怪我も大したことないしよかったね!」
「お、おう。」
怪しさ満点だが、別に悪い奴じゃないのはさっきから話している間にわかった。
―――まぁズバズバ人の気にしてること言ってくるけど悪い奴じゃないんだ。
「どうしたのハヤテ。もしかしてあの時頭も打ってボケた?」
・・・自分にそう言い聞かせないと殴りそうになる。
「ボケてねーよ。まだ16歳だぞ。」
「だよねー。まだ若いのにもうボケちゃったら老後が大変だもんね。」
「「アッハッハッハッハ!」」
額に青筋、拳を固く握ってナツヤに顔を見せないように笑ってごまかす。ナツヤと俺の笑いに含まれる意味が違うのはさておき―――。
「そういやナツヤはなんでこんな森に1人で来てるんだよ?御使いかなんかか?」
「あー…。うん、まぁ…御使い…みたいな…ものかな?」
妙に途切れ途切れに言葉を返してきたナツヤ。目があちらこちらに動いている。明らかに嘘、だと思うから。ここは切り込んでみる。
「他に何か隠「僕の話なんかよりさ、ハヤテも何で1人で居たの?」
『隠していることあるんじゃないのか?』と言おうとしたら。口早にナツヤが言葉を被せてきた。焦ったような表情ではないけどそんなに聞かれたくないのか?
「俺は配達業しているんだけど。」
「配達業?魔法使いなら自分の箒ですれば良いんじゃないの?」
「そ、箒に乗って荷物運んで代金受け取ってる。案外皆面倒くさがってるから代わりに請け負っているんだよ。」
「へぇー。」
感心したような声で反応してくるナツヤ。そんな珍しいようなもんではないと思うが。
「まぁ、それでその今日の配達が終わったから。帰り道に変な物……なのかな。それを見つけたからそれ目指して飛んでたら……」
「魔力の薄いこの森の上空で落ちてきたんだね。間抜けだねー。」
「っるせぇやい。」
まぁ、実際その通りであるから何も言い返せない。
「ところでさ。」
「ん?どうしたナツヤ?」
「これ何処に向かって歩いてるの?」
「…………え」
いきなりのことにすっとんきょうな声が出てきた。いや、ホントマジで。迷いなく歩くナツヤだからどこかへ行くために歩いていたんじゃないのか?
「何か行く宛があって歩いていた訳じゃないんですか、ナツヤさん?」
「いや、無いよ?」
サラッと間を貯めることもなく。サラッと(重要なのでもう一度)平気な顔をしてナツヤは言った。
会って間もないが、俺には分かった。…………これマジなやつだ。
夕日も落ちた暗い森の中、少年二人は遭難することとなった。
拙い文ながらここまで読んで下さりありがとうございました。