魔法使いというより宅配便
マイペースに書いてるせいで昨日投稿出来そうだったのが、今日にずれ込んでしまいました。申し訳ないです。言い訳これくらいにして、どうそ。
「ふんふふーん。…っ。」
真昼の空、俺は鼻歌を歌いながら空を飛び次の届け先の家へと目指す。途中で強風に煽られたりしたけど、まぁ荷物は無事だ。荷物はな。荷物支えて態勢を整えようとしたら腰に負担がかかったのかめちゃくちゃ痛い。
「16だってのに、もう腰痛に悩まされるようなことになるなんて御免だぞ…。」
腰をさすりながら愚痴をこぼす。
「っと、そろそろだな。」
メモによればもうすぐ家が見えてくるはずだ。しばらく周辺を旋回していると小さな家が木々に紛れるように建てられているのを見つけた。高度を下げながらバランスを崩さないように慎重に降りる。……よし、上手く降りられた。手早く渡す荷物を取り出し玄関へと歩く。
「どもーお届け物でーす。」
ドンドン玄関扉を叩いて来訪を告げると。家の中から物音が聞こえてきた。と思ったらすぐに扉が開いて中から中年のおばちゃんが出てきた。
「あら、アカネのところの子じゃない。」
「どもっす。これ、魚屋のおっちゃん所からと俺の母さんからのね。」
”ありがとう”とおばちゃんは言うと、そそくさと荷物を家の中へと持って入っていった。まぁ魚は鮮度が大事だもんね。あ、アカネっていうのは俺の母さんの名前ね。
「おばちゃーん、代金払うの忘れてるよー!」
「魚入れるのに少し時間かかっちゃうから、ちょっと待ってて―」
「はーい」
家の中に入ったきり、なかなか出てこないおばちゃんに代金を忘れたんじゃないかと思って言うと、どうやら魚を保存するのに時間がかかるらしく忘れてはいなかった。一応言っとかないとね。ほら、こっちも小遣い稼ぎとはいえ仕事だから。
「ごめんねー待たせちゃって。はい、銅貨5枚のお代金。これで丁度かしら?」
「…うん、これで丁度っすね。」
「あ、そうだ。今西瓜あるんだけど。よかったら食べていかない?」
おー、西瓜。塩まぶして食べると甘くておいしいんだよなー。代金を財布代わりの小さな袋に詰め込んでいるとおばちゃんに西瓜を食べようと提案をされた。
「じゃあ、お言葉に甘え………っあ。」
まだ、配達の途中だったことを思い出した。箒をみればまだ、届けなければいけない荷物が多くあった。
「ごめん、おばちゃん!まだ配達の途中だったからまた今度!」
「あら、私の方こそごめんなさいね。邪魔しちゃ悪いわねー。また今度、次は配達の仕事がない時に食べにいらっしゃい。」
頭を下げて両手をあわせて謝るも気さくに笑って許してくれた。それどころか、招待までしてくれた。
「それじゃあ、その時にまた食べに来ます!」
いつまでもグダグダしているわけにもいかない。再び訪れることをおばちゃんと約束をして、箒に跨り次の届け先へと目指し空を飛んだ。
***
「さて、次の荷物は……。」
袋の中身を確認すると、袋の中身には荷物が……ない。そういえばさっきおじいさんに渡した荷物で最後だったな。ってことは
「―――っっしゃあ、終わった終わった!」
腕を大きく伸ばし、伸びをしながら今日の仕事が終わったことを発した。気づけば太陽も西へと傾きだしており、空は太陽の橙色と同じような色をしている。
「さぁって、さっさと帰って夕飯食べて寝るとしますか。」
呑気に帰った後の母さんの料理を思い浮かべながら家の方角へと向きを変える。確か今日は兎使うとか言ってたな。あれ、やわらかいしジューシーなんだよなぁ。
――――――っ
「んあ?」
ふと、視界の片隅にほんの一瞬だけ何かが光ったのが見えた。
――――――っ
まただ。さっきは視界の片隅だったから気のせいかと思えばまた同じような光を今度はしっかりととらえた。思えばそれを『気のせい』ということで済ましていればよかったのかもしれない。だけど、俺は光に群がる虫のように先ほど光った場所へと方向を変えてゆっくりと進んでいく。
興味本位に近づくと痛い目をみるとわかっていてもこの時の俺はそんなことは頭から抜けていて、何なのかがとても知りたかった。
――――――っ
あぁ、また光った。
拙い文ながら、ここまで読んで下さりありがとうございました。