表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

第一話

 親父はよく言っていた。

「魔族も人も結局は、形が違うだけで中身は一緒なのだから、少しずつゆっくりと時間を掛ければ分かり合える日が来る」

 だけれど、結果は人間達に魔族は滅ぼされた。

 その人間達とは、無論、勇者御一行だ。

 しかも目の前で、父親は勇者に殺された。憎くて、憎くて、どうしようもなかった。

 大切な仲間や父親を殺されたんだ幼い子供の心でも憎しみが溢れ出た。


 が、今どういう訳か――。


 日本のとある県、都心から離れた住宅にある1軒の家。

現代よりも昭和の雰囲気がある、木の壁に屋根瓦の二階建ての家、その二階の奥の1部屋に、

蒼真(そうま)君、朝だよ! 早く起きてご飯食べて!!」

 僕、古崎蒼真は居た。

 黒髪ボサボサで、父親譲りの怖い目付き、身長も185㎝に中高揃って帰宅部なのに、ガタイが良いと来た。

 そう、僕は魔王の息子だ。

 先程僕の名を呼んで、軋む階段を気にせず登って、今いる部屋に入ってきたのは、

「うっせーよ、着替えてる最中に入ってくんな光子(ひかるこ)!」

「ほとんど着替え終わってるじゃない、早く食べて!」

 彼女、聖本(ひじもと)光子、職業は聖職者であり、今は皆の世話役として家政婦と言うかお義母さん的な存在だった。

 光子は綺麗なピンク色の長い髪に、穏やかさのある目付き、身長は170㎝とここ日本では高い方で、胸は意外と大きいのはちょっと驚くがそこは秘密にしておこう。

 僕は呆れ返りながらも、光子の後に続き、階段を下りた。

 庭先を見ると、安いラジカセで音楽を流し、パフォーマンス練習をする長い黒髪をお団子にしているのは、

「はい! ……あっ、ソウ君おはよう!」

「はよ、炎花(ほのか)

 闘田(とうた)炎花、職業は格闘家であり、今は細々とだが路上パフォーマーとして活躍中だ。

 目はくりくりしていて大きく、身長は150㎝と凄く小柄だ。

 そこへ丁度玄関に入ってくるランニング帰りの筋肉ムキムキ、190㎝の色黒の男性が、

「ソウ君、おはよう、今日から学校かい?」

「はよ、そうだよ、(たける)さん」

 商塚(しょうづか)武だ。

 僕が知っている商塚は中年太りのどこかのゲームでて来そうな、まさに職業が中年太りの商人という人だったが、日本に来た直後、どう言う訳かこのマッチョ姿となった。

 軽く挨拶して、そのまま台所へと向かった。 

 テーブルにはもう朝食が出来上がっていた。

 そしてすぐに光子が僕を無理矢理椅子に座らせて言った。

「蒼真君、早く食べちゃって」

 本来なら普通に食べたい処だが、僕は光子の様子が朝からおかしいと感じ、つい訊いてみた。

「ねぇ、光子、今日はやけに僕を追い出したいみたいだけど、何かあるの?」

 光子から軽い汗が流れ、目を背けた。

 僕は、思って口を開いた直後、いきなり扉が開いた。

「あぁ、腹減った。おはよう、(ぼん)に光子。ちょっと遊び過ぎた」

「おはようって、徹夜かよ正宗(まさむね)

 先程入ってきた彼は、遊佐(ゆざ)正宗、職業は遊び人だ。

 身長は僕に続いて182㎝と高く、昔は掛けていなかった眼鏡に、長くて黒い髪を後ろで束ねると言った引きこもり名雰囲気のある男性だ。

 でも意外とアルバイトしているうえ、何より株で稼いでいたりと、それなりにチャンとしている部分はあった。

 しかも機械オタクなだけで、変なモノはほとんどなかったりするから凄いとも思えた。

 で、話を戻すも、

「だって、オンラインゲームで激レアアイテムを手に入れる為、ずっと戦い続け、漸くゲットしたばっかなんだよ」

 すでに正宗の会話が始まってしまった。

「もう! 正宗! もうちょっと規則正しく生活してよ!」

 いつものように怒っている光子が少し、安堵しているようにも見え、僕はなんとなく察しがついた。

 アイツだ。

 それ以外考えられず、正宗と光子の喧嘩を見ながら朝食を取った。

 アイツは僕が最も嫌いな奴だ。

 そして同時に、この借家から出られない大元凶でもあった。


 時間的にはまだ登校しなくても余裕だ。

 何より僕は何の部活もしていない帰宅部であり、朝の部活なんてやってもいないのだ。

 それでか、朝食を食べ終わっても、茶の間にあるテレビでニュースを見てしまいがちだが、案の定、光子から早く行くよう急かされ、仕方が無く行く事にした。

 なんとなく、ここまでされたらもうアイツが帰ってくるに違いないだろうなと心底感じて仕方が無かった。

 とりあえず、もう高校に行ってしまおうと、玄関先で靴を履いていると、急に玄関の古めかしい引き戸が開いた。

 僕は開いた引き戸を見て、顔を上げた瞬間、硬直してしまった。

 目の前にいたのは、前の職業は勇者である男だ。

「たっだいまぁ……頭痛てぇ、飲み過ぎた」

 今で言う、さらふわな金髪で綺麗な顔立ち、目は碧眼で身長は184㎝とやや僕よりは低いが、ガタイはほっそりしているが、筋肉のお蔭でそこまで弱そうとは感じさせない。何より今着こなしているスーツ姿に、酒の香りが漂っているのは、コイツが、

「おい、ホスト勝手に帰ってくんな、そのままのたれ死ね!」

 勇崎(ゆうざき)クリストファー、現就職はホストクラブのナンバーワンホストだからだ。

「なんだよ、その言い方、まっ俺があんまり言う資格ないしね。光子、水ない? それか、なんか二日酔いに効く某ドリンクとか?」

 コイツの声で光子がやってきて早々、やってしまったとばかりに自分の顔を手で覆っていた。

 光子がコイツに対しての第一声は、これだった。

「本当にのたれ死んでくれた方が良かったわ」

 まさに僕と同じことを言ってくれるとは思ってもみなかったから、コイツは呆れながら言ってきた。

「酷いな光子! 俺、意外と頑張っているのに!」

 これをきっかけに光子が切れた。

「何が意外と頑張ってるよ! 家に金は入れない、金はほとんど、どこぞの女どもに積み込んでいるクソリトファーに飯も水も風呂も布団もないわよ!」

「声がデカいし、トーンも高いから、めっちゃ頭に響くからやめてくれ、そしてここ玄関先だ。それからクソリトファーじゃなくて、クリストファーだ」

「ちょっと来なさい! いっぺん絞めないと気が済まない! 蒼真君時間大丈夫?」

 コイツの首根っこを突かんで今にも引っ張ろうとする光子が、いきなり普段通りに僕に話しかけ、僕は玄関の棚に掛けてあった時計を見て、そろそろ行かないといけない時間となっていた。

「もう行きます。行ってきます」

「いってらっしゃいね」

 光子に手を振って行こうとしたら、

「気を付けて行けよ、蒼真!」

 むかつくコイツからの言葉にムカッと来て、手を振るのを止めて急ぐように学校へと向かった。

 蒼真が行って早々、光子がクリストファーに言った。

「あんたさ、いい加減ちゃんとした社会人になれないの? 頭悪くたって色々仕事あるでしょうが!」

「お前なぁ、こう見えて俺結構頭良いぞ。それに、普通に社会人になると、蒼真と毎日顔合わせなきゃいけなくなるし」

 クリストファーはあまりに乗り気の無い言葉に光子は腹を立てた。

「合わせなさいよ!」

 しかし、クリストファーなりに思い詰めていて、

「あいつの親父殺したのにか?」

 昔、蒼真の父、魔王とクリストファーが戦い、魔王を打ち破った際、ずっと隠れていた蒼真が出てきて、父さんと叫び続け、この時初めて罪悪感が芽生えた。

 今まで一切なく、旅をしてきて初めての罪悪感がまさか元凶とする魔王を殺した時だとは、クリストファーは思いもよらなかったのだ。

 光子は少し考えて言い返した。

「……それを言ったら、私達は皆同罪よ。いい加減にして」

「光子」

「何?」

 急に切ない声でクリストファーが言うので一体なんだろうと光子が振り向くと、

「水……さっきからちょっとヤバい! うぅ!」

 今にも戻しそうなクリストファーが居たので、完璧に光子は呆れ返ってしまった。

「廊下汚したら掃除してね。ついでにトイレも掃除してね」

「ひどっ!!」

 この後、クリストファーは掃除したのは言うまでもない。


 家を出て、僕は高校へと向かっていた。

 今日は天気がいい、晴天と呼べる位だ。

 風もそんなになく、先程の件が無ければきっと気分のいいまま登校できただろうと、考えていた時、

「蒼真君! おはよう!」

「おは、絵理菜」

 今住んでいる家の大家の娘である熊本絵理菜が走りながらやって来た。

 絵理菜は僕と違って本当に身長も150㎝と小っちゃいうえ、高校の制服も未だにダボダボで、手を振っても制服の裾が踊っていた。

 髪の毛は栗色で肩よりは長いが、背中までで、基本ヘヤピンを付けないと髪の毛のせいで前が見えない程で、目はくりくりして本当に高校生なのかと疑ってしまう程だ。

 ただ、右側の額だけは前髪でしかも3本のヘヤピンで固定されていた。

 絵理菜は凄く明るく話しだした。

「蒼真君、今日は数学の小テストだね!」

 元気はとてもいいが、

「あぁ、僕は平気だけど、絵理菜は?」

 ちょっとした事で180度も明るさから青ざめ暗いオーラを出して黙り込んでしまった。

「……」

「自分で話し振って置いてその暗さは何だ! 分かった、僕が小テスト始まるまで教えてやるから」

「本当!? ありがとう!!」

 ちょっとした事でさっきとは違う凄いきらきらとした目で僕を見た。

 絵理菜は本当に小学生みたいだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ