57話
誤字脱字等ありましたら、よろしくお願いします。
「あぁー終わったー!」
「前回よりも早く倒すことが出来ましたね」
「ちょっと、今のなんだったの? いきなり動くなんて聞いてないのに」
「そうだぞキントウ、なんだったんだよ今の石像みたいなやつ」
前回の経験がある俺達とは違い、初見のネコネコさんパーティーはわけもわからず突然始まった石像との戦闘に終始、動揺しっぱなしだった。
俺達が南の半島の塔の地下にある扉を見つけたことと前回戦ったことをかいつまんで説明すると、ネコネコさんは石像が落としていった【Eの珠】を、しげしげと見つめていた。
「じゃあこれを扉の前まで持って行けば開けられるってことなのね?」
「おそらくですけど」
「ふーん、じゃあまた後で行ってみるか。それより、解呪アイテムだよね」
ようやく本来の目的の話に戻ることができた。まさか彼女たちが扉を開けようとしてたなんて思ってもみなかったからな。
ネコネコさんがイベントリから取り出したのは青白く光るビー玉くらいの大きさの珠だった。それが二つ、掌の上に乗っかっている。レアアイテムなのに二つも持っていたんですか。
「これが解呪アイテム、【天使の涙】だよ」
「これが……」
「きれいだね!」
「私も初めて見ます」
と三人で見惚れていると、「はい、あげる」と余ったポーションをわけてくれるような感じで渡してきた。
「ちょ、ちょっと待ってください。流石にタダでも貰うわけには……」
「そうですよネコネコさん! いくら使わないといっても一応レアドロップなんですよ? 次にいつ落とすかも分からないのに」
後ろに控えるコージ達パーティーメンバーが反対する。せっかく手に入れたレアアイテムを無料で別のギルドのプレイヤーにあげるというのは納得がいかないようだ。まあ当たり前だよな。
がネコネコさんはコージ達の訴えを一蹴する。
「別にいいでしょ? こんなの持ってても使わないし、必要とする人に使われるほうが良いに決まってるじゃない。それにキントウ君は困ってた私を助けてくれたしね」
そう言って明るく笑うネコネコさんを見て、胸が熱くなった気がした。
ネコネコさん良い人過ぎる、思わず惚れそうになったよ。
△ ▲ △ ▲
ネコネコパーティーとは舞台で別れ、再び元来た道をギルドに向かって走る。予想外の戦闘があった所為でだいぶ時間をロスしてしまった。
【Eの珠】はネコネコさんに持って行って貰った。せめての恩返しになればいいけど……
ギルドに戻ると、行く前よりもさらに顔色の悪くなった二人がいた。そばには居たはずのマリオが消え、変わりにレイさんが椅子に座ってのんびりしていた。
「お、ようやく帰ってきたのね。ずいぶんと遅かったのね」
「あれレイさんじゃないですか。マリオは?」
「マリオなら『やっぱり待ってられない』って行って飛び出していったのね。で変わりにそばにいたのね。まぁ、居たとしても何も出来ることはないのね」
マリオの奴、待ってろっていったのに。そもそも俺達が持ってるアイテムじゃなきゃ解呪できないはずだろ? 解呪ポーションなんて作れるのかよ。
マリオはともかく、先にマスターとヘムジンさんの解呪を済ませないといけない。
二人にアイテムを渡し、使うと無事解呪できたようだ、自分のステータスを確認し、立ち上がった二人はとて元気そうに見えた。
「ふっっかぁぁつ!」
「いやー、苦労かけてごめんね〜」
いつもの状態に戻った二人はとてもさっきまで呪いに苦しんでいたようには見えない。
ふと、そこであることに気がついた。
「俺達が帰ってくるまでログアウトしておけば良かったんじゃないですかね?」
「「…………」」
そう言った途端、再び呪われたような顔に戻ってしまう二人。あれ、もしかしてマズイ事言った?
先に回復したマスターが俺のところに来て、がっちりと両肩を両手で掴んでこう言った。
「キントウ、よく聞けよ? 男には逃げちゃいけない時ってものがあるんだ……」
後ろでヘムジンさんもウンウンと頷いている。
二人とも、今まで思いつかなかったのかよ……
△ ▲ △ ▲
翌日、俺達は南の半島の塔の前に来ていた。以前来た時に開かなかった扉が開くかどうか確かめる為だ。
「じゃあ今回も外で待ってるから、いってらっしゃい!」
「お前も一緒に行くんだよ!」
「ええぇ! 行きたくないよー!」
逃げようとするアガサを引っ張って小屋から塔に侵入する。
相変わらず、暗い雰囲気の漂う塔の階段を下りて行き、扉の前で立ち止まる。やはり扉にはSのような模様が刻まれている。
早速、イベントリから【Sの珠】を取り出し、扉に近づけると、一瞬ポワッと珠が光り扉が音も無くスーっと奥に向かって開いた。
中を覗いてみるが暗くてよく見えない。意を決して足を踏み入れた瞬間、壁に掛けてあった松明に火が灯った。後ろで『ひゃぁぁ!』とか悲鳴が聞こえたけど気にしない。
明るくなって扉の中がよく見えるようになった。どうやら部屋のようだ。六畳くらいの広さの部屋の中心に何かがポツンと一つあるだけの部屋だ。
部屋の中心にある物が何か確かめるために中へ入っていく。
「これなんだろう?」
「石が刺さってる?」
「石柱のようですが……」
松明の火に照らされているこの部屋の中央にあったのは月日が大分経ったのであろう、表面のところどころに苔の生えた石で出来た柱のようなものだった。
「これをどうすればいいんだ?」
「他には何も無いしねぇ」
部屋の中を歩き回っていたアガサが柱の前まで戻ってくる。
直径約三十cm、高さ二mほどの地面に突き刺さる石の柱はじっとそこにあるだけだ。俺達が触っても何の反応も無い。試しに【Sの珠】を近づけたけどこちらも効果なしだった。
触っても反応なし、アイテムも反応なしと来れば、選択肢は自ずと限られてくる。さて、次の手は……
「よし、壊すか」
「えええ! ちょっと、壊していいの!?」
「大丈夫、脆そうだしすぐ終わるって」
「そういう問題じゃないでしょ!」
なんでそんなに慌てているんだよ? 勇者なら壷の一つや二つ、いつも壊すのが当たり前だろ? 柱だって壊すくらいなんともないだろ。
「まぁ、一つの手ではありますが」
「ユリアさんまでっ?」
多数決的に二対一で柱を壊すことになり、俺とユリアさんは武器を構える。
「じゃあ、行きますよ!」
「畏まりました」
俺の合図で同時に攻撃する。ユリアさんの弓と点棒が柱に刺さり、そこから蜘蛛の巣状にヒビが広がっていく。
そして、二mほどの石で出来た柱は根元を残して崩れていった。




