27話
誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします。
あれから何回か戦闘があったが、俺の慰め? のお陰かアガサは怖がらずに自分の仕事をしっかりこなしてくれた。やっぱり補助魔法があるのと無いのとでは全然違うな、こう余裕が持てるというかなんというか……
現在俺達がいる五階も前の階と同じようにくまなく探索していく。マップも半分ほど埋まり、周りを警戒しながら歩いている時、ふいにユリアさんが立ち止まる。
「キントウ様、前方から敵らしき魔力を感知しました」
「ガイコツ兵士じゃないんですか?」
「いえ、おそらく別の敵かと思われます。今までとは魔力の反応が違います」
ユリアさんの一言で俺達の間に緊張が走る。やっと新しい敵が来たか、このままずっとガイコツ兵士だけっていうのもおかしい話だしな。アガサは大丈夫だと思うけど、馬鹿でかいゾンビとか現れたら流石にパニックになるだろうな……
ユリアさんは矢を番えたまま、俺は両手に点棒を構えたままジリジリと距離を詰めていく。薄暗い所為で視界が悪い。五m先は真っ暗で何も見えない。これ、ユリアさん居なかったら相当苦労しただろうな。
「敵との距離、約十m……九、八、七、六……来ます!」
ユリアさんの声と共に現れたのはガイコツ兵士よりも大きな身長が二m程もあるガイコツ兵士だった。装備も普通のより若干豪華になっている。その手に持つ二本の大きなサーベルが今まで一味違うことを物語っていた。
「な、なんなんだよコイツ!?あぁ、ボクもうダメだ、後は任せた……」
「おい!アガサしっかりしろ!さっきより少し大きいだけだろっ!」
先ほどまでのリラックスは何処へ行ったのか、その場にへたり込むアガサ。ちょ、こういう時にこそあなたの魔法が役に立つんですけど。
軽くパニック状態の俺達など関係ないと言わんばかりに襲い掛かってくるガイコツ兵士。四階までに出てくる奴を普通の兵士とすれば今目の前にいるのは部隊長クラスだろうか。今までとは段違いのスピードに戸惑いつつも、なんとか攻撃を避けながらこちらからも攻撃を与える。叩きつけるように振り下ろされる右手のサーベルを左に一歩ずれて避け、左手のサーベルから繰り出される胴を狙った横薙ぎをしゃがんでやりすごす。空振りに終わった攻撃の後に生まれる隙に後ろを振り返ってユリアさんに守られているアガサを見るが、まだ戦闘に参加出来る状態ではない。その様子を見て思わず声を荒げてしまう。
「おいアガサ!頼むから足手まといになるなよ!こっちはもういっぱいいっぱいなんだよ!」
「っっ……!ご、ごめん。でも本当に怖くて……」
「じゃあ、どうやったら怖くなくなる? ユリアさんだけじゃ不安なのか?」
「キントウも……守ってくれる?」
「ああ、守るから!」
「絶対?」
「絶対お前を守るって!うぉっと、あぶねー」
アガサとの会話中にも関わらず攻撃を再開するガイコツ部隊長。ちょっとは空気読んでもらいたいんだけど。今アガサが戦闘に復帰できるかどうかの瀬戸際なんだよ? そこんとこ分かってんの?KYな上司だと部下が苦労するよね。
だが、俺の説得が上手くいったのかアガサは無事戦線復帰したようだ。流石にさっきの言い方はマズかったかな、後で謝っておこう。誰だって怖い物はあるもんな。
「ごめん、遅くなっちゃった。ボクも頑張るね!【疾風の応援歌】×2!」
アガサの歌の効果で俺のステータスが上昇する。いきなり感覚が変化し、自分の体に違和感が残るが気にせず戦闘を続行する。俺が前で敵を引き付け、ユリアさんがカバーし、アガサが後ろで歌を歌う。ようやくこのパーティーの本調子が出てきたな。このまま一気に行くぞ!
△ ▲ △ ▲
あの後、アガサの戦線復帰で流れに乗った俺達は次々と現れるガイコツ部隊長を撃破していき、五階も全てマッピングし終えた。そして今日はここまでにしようということでギルドに戻ってきているわけなんだが……
「今日はお疲れ様でした。探索で見つけたアイテムだけど、武器・防具系はこっちで預かるけど欲しい物があったら言ってね。消費アイテムはみんなで分けて下さい……キントウとアガサ、何かあったの?」
「まあ、ちょっとありまして……」
「……戦闘班は君に任せているからまあいいんだけど。ケンカはだめだからね、わかったカナ?」
笑顔でそう言い残して地下へ降りていくヘムジンさん。言えない、『戦闘中に軽く怒ったらその後から口聞いてもらえない』なんて絶対言えない。あの笑顔は『問題を起こすな』って顔だった。
隣ではアガサが顔を赤くしたまま俯いている。ダンジョンをを出てからというもの、一回も俺と目を会わせようとしない。困ったな、気まずい空気のままだと今後に影響するし。きちんと謝っておこう。
アガサと向き合うようにして立つ。こうやって目の前に立っても目を合わせてくれない。それどころか顔の赤みが増している。これは相当怒ってるな。謝って許してくれなかったらどうしよう……
「なあアガサ、さっきは悪かったよ。ごめんな」
「……別に怒ってない……」
「え? なんて言った?」
「べ、別に怒ってないって言ったの!」
「お、おう。そうか」
よく聞こえなかったので聞き返したらキレ気味に返された。思わず、変な返事をしてしまった。怒ってないって言ってるけど、絶対怒ってるよね。俺のことチラッと見ては視線を外して、また合わせたと思ったらすぐに逸らすし。こういう時はどうすればいいんだ? 何処かに【怒っているいる女性の攻略Wiki】とかありませんかね?
「今度さお詫びの印にどこか美味い飯でも奢るからさ、許してくれよ」
「怒ってないって言ってるのに……」
「ごめん、聞こえなかった。もう一回頼む」
「ああもう!じゃあ今度の土曜に行くから! ボク今日は落ちるから、じゃあね」
アガサが何か呟いたようなので聞いたら半ギレ気味に奢る約束をされ、アガサは自分の部屋へ入ってしまった。謝ったのにまた怒らせちゃったかな。土曜に精一杯お詫びしよう。
△ ▲ △ ▲
『ああもう!今度の土曜に行くから! ボク今日は落ちるから、じゃあね』
そう言ってボクは自分の部屋に逃げ込んだ。そのまま備え付けのベットに飛び込み横たわる。今日は苦手なガイコツのウヨウヨ出るダンジョンに行ったり、怒られたりとさんざんな日だった。確かにボクはあのダンジョンでは足手まといだ。それに出来る事といったら歌でステータスをちょっぴり上昇させることだけ。これをお荷物と言わないで何と表現すればいいのか?
『ああ、守るから!』『絶対お前を守るって!』
あの時ダンジョンでキントウが言ってくれた言葉がずっと頭の中でリピートされ続けている。あの時は少し格好良かったな。ボクだって女の子だし守ってくれる王子様には憧れるんですよ? キントウは王子様に見えないけどね。
さっき恥ずかしくて目を合わせられないボクを怒っていると勘違いしたキントウが謝ってくれたけど、つい大きな声を出してしまった。しかも流れでご飯奢ってもらうことになったし。しかもあの感じだと二人でってことだよね? もしかしてこれって、デートなのかな?
「ま、まあお詫びの印にご飯ご馳走してもらうだけだしねっ」
自分に言い聞かせるように呟く。でも二人でご飯かぁ、別にキントウのことが好きってわけじゃないし、ゲームの中の話なんだから気楽に行けばいいはずなんだけど。
しばらくベットの上で悶々としているがそれで問題が解決するはずも無く、時間だけが過ぎていく。
「はぁ、とりあえず落ちよ」
ボクはVRから現実へと帰っていった。
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「……っていうことがあったんだけど、どうすればいいか女の子目線で教えてくれないか?」
「あんたってそんなに鈍感キャラだったっけ?」
「は、そんなわけないだろ? マンガじゃあるまいし」
アガサが部屋に帰っていった後マリオに相談に行ったのだが、呆れられてしまった。俺、鈍感じゃないよな? 確かにアガサは怒ってたよな?
まさかアガサに限ってそんなことは無いだろう、明日から気まずくなりませんように。




