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13話

新キャラが……ほとんど名前だけですけど

 今日は土曜日、朝8時に起きた。『俺勇者』を手に入れるまでは10時くらいに起きてテレビを見ながら一日ダラダラしていたが、今日からは一日ゲームの中でレベル上げだ。

 母親にほどほどにするようには言われているが、そんなの気にしない。勉強も何とかなってるしね。


△ ▲ △ ▲


 昨日ログアウトした宿で目覚めた俺はひとまず最初の街に戻った。雷さんに新しい防具を作ってもらうのと、ω姐さんのところに情報収集に行くためだ。マリオは午前中は寝てるから午後にでも顔を出してみよう。


 先に雷さんの店に行く。この時間でもログインしているのはフレンドリストから確認済みだ。


「こんにちは〜今いいですか」

「お前か、何の用だ。また新人の子守か?」

「いえいえ、今日は新しい装備を作ってもらおうと思って」

「そうか、またかと思ったぞ。もう二度とあんなことしないからな。で、今日はどんな素材だ?」

「王都の東に出るゴブリンの素材です。今回もたくさん集めてきましたよ。たぶんレア素材も結構あると思います」

「……お前昨日レベルいくつだった」

「え、昨日は14でしたけど」

「で、今はいくつだ」

「25です」

「昨日はソロか?」

「はい」

「いや、無理だろ。あの森はゴブリンがパーティ単位で出るし、14でソロなんかじゃ入り口辺りでも無理だろ」

「なんか、転移系のトラップに引っかかって歩いてたらゴブリンの巣みたいな場所見つけたんですけど、出てこない限り反撃してこなかったんで入り口で待ち構えてそこでレベル上げしてました。三時間くらい」

「お前……どんな武器使ってるんだ?このゲーム変な武器とかあるからみんな把握してないんだよな」

「麻雀の点棒とトランプです。両方とも攻撃力がLuc依存なんで俺は楽ですよ。ただお金の消費が激しいですけど」

「Luc依存って……なんかお前って変な奴だなというか、ジョブが変」

「え? 何でですか」

「いや、もういい。持ってきた素材見せろ」

「は、はぁ。これです」


 なんか雷さんに変な人認定されたけど、なんでだろう? 確かに変なジョブだけど。

 トレード画面にゴブリンからドロップした素材を全部乗せる。また雷さんが驚いてるし。


「レアドロップな筈の素材が大量にあるんだが……、まあLuc高いからこんなもんか。もう俺は驚かないぞ……」

「今回も服っぽい軽いやつでお願いしますね」

「ああ、出来たら連絡する」


 使わない素材を返してもらい、俺はマーケットに向かって歩いていった。残りはω姐さんに売って防具代にしよう。


△ ▲ △ ▲


 マーケットに着いていつもの場所に行くとω姐さんがいた。今はどこか虚空を眺めている。きっと掲示板でも見ているのだろう。今は朝だし暇なんだろうな。


「おはようございます、今暇ですか」

「ん、ああキントウか。おはよ〜、今暇」

「素材の買取お願いします」

「はいはい、見せて。今回は何の素材かな?」


 トレード画面に余った素材を乗せると、その素材を見ていた姐さんが驚いていた。口の形がωから○になってる。


「キントウくんさー、君いまレベルいくつ?」

「25っす!」

「どうやったらそんなにレベル上がるのさ、今攻略組のトッププレイヤーが28とかだよ? ほとんど攻略組と一緒じゃん」

「そうなんですかー」

「そうなんですかーって! まだ掲示板見てないの?」

「実は、忙しくてつい……」

「今最前線は第三の街に行くためのボス攻略の準備中だよ。明日にでも行くんじゃないかな」


 姐さんによると、ボスは王都から西に行ったフィールドの奥にいるらしく、三つのパーティが攻略に向けて準備を進めているらしい。

 その三つのパーティのリーダーが現トップクラスのプレーヤーで、【戦槌】のダイモン、【火属性魔法使い】のクーデル、そして【双剣】のミチルの三人だそうだ。第三の街に行けばギルドを作ることが出来るのでみんな早く攻略したいのだろう。


「それで、キントウはどうするの?」

「どうするって何をですか」

「ボス戦に行くのかってこと」

「いや、でも俺一人ですよ」

「私ダイモンの防具作ってるんだけどね、ダイモンのパーティメンバーの一人がリアルの事情で明日ログインできないんだって。それでダイモンから良い人いないか聞かれてるんだけど、行く?」

「いいんですか」

「レベルは足りてるし大丈夫でしょ。それにゴブリンの森をソロで行けるくらいだし」

「いや、まあそうなんですけど……」

「大丈夫だって! みんないい人だからさ」


 姐さんがβ参加者なのは知ってたけどまさか攻略組の装備まで作ってるとは。恐れ入りました。雷さんも作ってたりして。

 攻略組に追いつくのは俺の目標だけど、いきなり最前線に行くのは気が引けるなぁ、でもω姐さんに薦めてもらってもらったし一回行ってみるのもいいかもしれない。デスゲームじゃないんだしね。


「わかりました。それじゃあお願いします」

「はいはーい、時間とか決まったら私から連絡するからね。あ、それとちゃんとスキル取ってる? 今スキル枠2個増えてるでしょ?」

「まだいいのが無くて余ってるんですよね」

「焦って新しいスキル取っても熟練度を上げないと意味ないからねそれもいいいんじゃない」

「え、熟練度ってなんですか?」

「ホントに掲示板見てないんだね。熟練度っていうのは隠しステータスの一つで、熟練度を上げると威力が上がったりスキルが進化したりするんだよ。熟練度が上がったスキルが複数あると合成もできるからね。アビリティにも熟練度があるからちゃんと使いなよ?」

「わかりました」

「マリオちゃんに明日攻略に行く前にみんなでポーション買いにいくから数揃えておいてって伝えといてね」


 姐さんからお金を受け取り、その場を後にする。そろそろマリオもログインしてる頃かな。明日に備えてポーションを補給したい。


△ ▲ △ ▲


 マリオの店に行くとちょうど客足が途絶えたところだった。今日も店は繁盛しているようだ。


「よう、今日もよく売れてるな」

「ええ、今のところポーション市場を独占してるからもうがっぽりよ。そろそろ店が買えそうね」

「そのうち他に調薬のスキル持ちが出てくるかもしれないけどな」

「それまで売れるだけ売るわよ。それでどうしたの?」

「ポーションの補給。5個くれ」

「はい、600エンになります」

「サンキュー」

「そういえば、明日攻略組の奴らがポーション買いにくるから用意しとけって姐さんから」

「ダイモンさんたち?」

「知ってるのか」

「そりゃお得意様だからねここ最近は来てないけど。フレンド登録もしてるわよ」

「さすが、ポーション市場独占者。顔が広い!」

「ほとんどの戦闘職のプレイヤーと顔を合わせたと思うわ」


 マリオと話していると新しいお客が来た。装備を見る感じ生産職の男のプレイヤーのようだけど。見た目は大学生くらいのその人がふいに話しかけてきた。誰かの代わりに買いにきたのだろうか。


「この店の店主さんはどちらで?」

「私ですけど、何か御用でしょうか」

「ここに売られているポーション類をすべて買い取りたいのですが」

「え……」


 ポーション類全部買うって、どういうことだよ。コイツ何考えてるんだ。


「すいません、ポーション類はすべてお一人5つまでなんです」

「そこをなんとか、3倍の値段で買いますから」

「さ、3倍ですか……」

「ええ、ですからお願いします」

「それじゃあ前の買い占めと同じでしょう」


 マリオと男の人の話だから黙って聞いてようかと思ったけど、さすがにやり過ぎだ。このままじゃ前に起こった買い占めと同じじゃないか。それに値段に吊られるマリオも悪いが。

 なんでこの男は買い占めようとするんだ、もしかして……


「キミは?」

「俺はコイツ(マリオ)の友人です。あなたもしかして買い占めの犯人?」

「そうだと言ったら?」

「ただ知りたいだけなんでどうもしませんけど」

「まあそこらへんは秘密ってことで。じゃあ、ポーション類を5つずつください」

「あ、はい。1200エンです」

「ありがと、それと僕とフレンド登録してくれない?これでも僕も生産職の端くれだからね。君みたいなトップ生産者と知り合いになっておきたくて。できればでいいから」

「ええ、いいですよ。……ええとヘムジンさんですか」

「ヘンジン?」

「ヘ・ム・ジ・ン!」

「ああ、すいません。聞き間違えて」

「よくあるから逆に嫌なんだよね。まあイントネーションは『変人』と同じなんだけどね〜」

「余計間違えやすいでしょ……」

「よければキミともいいかな?」

「まぁ、いいですけど……」


 こうして俺はヘンジンーーもといヘムジンさんとフレンド登録をした。多分あの人が買い占め犯だろうし、また何かやらかしそうな気がするな……流れでフレンドになったけど大丈夫かな?

改稿しました。

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